2002.06.07

尿路結石症の診療ガイドライン案出る、成人・初回・単発の治療手順示す

 尿路結石症の治療や再発予防に関するガイドラインの策定が進められている。これは、日本泌尿器学会、日本Endourology・ESWL学会、日本尿路結石研究会の3者が合同で行っているもので、4月に開催された第90回日本泌尿器学会総会では、シンポジウム「尿路結石症の診療ガイドラインとその上手な使い方」の中で、ガイドライン(案)の内容と使用方法の概要などが紹介された。

 それによると、治療に関するガイドラインでは、対象を「基礎疾患のない成人における初回、単発、X線非透過性の結石」としており、ポイントは1.疼痛に対する処置、2.自然排石の可能性の見極め、3.低侵襲で行える治療の選択、4.再発予防のための努力−−など。本ガイドラインは、特に上記のような患者を診る機会が多いと考えられる内科の医師らを念頭に、確実に尿路結石を診断し、治療法を選択してもらうことを目的にしているという。

 尿路結石が疑われる患者が受診した場合にまず行う初期評価では、病歴、身体所見、検尿、腎尿管膀胱単純X線、腹部超音波診断、血算及びCRP、生化学(S-Cr、UA、Ca、P)−−を基本とする。この際、結石の存在が確認されても、尿路悪性疾患の合併などがないか十分注意するよう警告している。また、疼痛に対する対症療法としては、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)坐剤の使用を第一選択としている(ただし、アスピリン喘息の患者には禁忌のため、喘息患者に対する投与には十分な注意が必要)。

 次に尿路結石と診断された場合、治療方針を決定する上で結石の性状や閉塞状態の評価を行うが、そのための標準的検査法として、超音波検査と泄性尿路造影を挙げている。X線CTや侵襲を伴う逆行性尿路造影などは選択肢とされている。

 これらの検査の結果、水腎がなくて、結石の長径が5mm以下であれば、「飲水・運動などの日常生活の指導のみで自然排出が期待できるので、無治療で経過を観察することも可能」としている。一方、水腎がある場合はもちろん、水腎がなくても、自然排石の可能性に乏しい10mm以上の結石では、専門医への紹介が必要となる。5〜10mmの境界型についても、とりあえず専門医に紹介する。

 なお、治療法の選択にあたっては、各治療の有益性と危険性に関する十分な情報を患者に提供する必要があるとしており、社会的要因なども考慮して相談した上で決定するよう勧めているのも特徴だ。

 具体的な治療指針としては、腎結石、尿管結石、サンゴ状結石のそれぞれの場合において、各治療法を「標準的治療」「指針的治療」「選択的治療」の三つのグループに分けて提示している。

 シンポジウムでは、治療ガイドラインに引き続き、再発予防に関するガイドラインの概要も紹介された。現在は、この時に討論された問題点なども踏まえて、発刊に向けて作成作業が進行中という。(瀬川博子、日経メディカル開発)

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