2002.06.06

2002年第1四半期の医薬品費は前年同期の19.3%増、米国のPBM会社が発表

 米国の薬剤給付管理会社(PBM;pharmacy benefit management)であるExpress Scripts社は6月4日、2002年第1四半期の医薬品費が、前年同期と比べて19.3%増加したとの速報値を発表した。ただし、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬など大型医薬品の後発品が今後発売されると考えられるため、2002年全体では医薬品費の伸びは15.9%程度と見込めるという。

 PBMは、民間医療保険会社との団体契約を行っている企業や、メディケイド(米国の貧困者向け公的医療保険)を提供する州などと契約し、処方薬の使用状況を分析して適正使用をアドバイスする会社。Express Scripts社は米国の3大PBMの一つで、同社が管理する被保険者は約300万人。うち3分の1がマネジド・ケア(前払い集団保険方式の民間医療保険)、残りは非マネジド・ケアの被保険者だ。

 同社によると、2001年度の医薬品費の伸びの主因は、保険がカバーする処方薬の増加だという。医薬品の価格が前年より5.5%上昇したこともあり、処方箋1枚当たりの医薬品費が増加。その増加分が、2001年全体の医薬品費の増加分の56.8%を占めたという。

 しかし、2002年にはACE阻害薬のリシノプリル(米国での商品名:米国Merck社がPrinivil、英国AstraZeneca社がZestril)の後発品が発売される予定で、状況によってはプロトンポンプ阻害薬(PPI)のオメプラゾール(米国での商品名:Prilosec)に対する後発品も出てくる可能性がある。こうした大型薬で後発品への切り替えが進めば「医薬品費の伸び率は15.9%程度となるだろう」と同社は予測している。

COX-2阻害薬の4分の3はNSAIDで代用可能?

 Express Scripts社は今回、わが国でも臨床開発が進められている、シクロオキシゲナーゼ−2(COX-2)阻害薬の使用状況に関する分析結果も発表している。同薬は、COX-1とCOX-2の両者を阻害する非ステロイド消炎薬(NSAID)とは異なり、COX-2を選択的に阻害するため、消化器系などの副作用が少ないとされる期待の新薬だ。ただし、効果はNSAIDとほぼ同等で、価格はNSAIDよりはるかに高い。

 COX-2阻害薬の米国での適応症は、変形性関節炎、慢性関節リウマチと月経困難症。Express Scripts社の分析では、同薬を新規に処方された患者の24%はこれらの疾患に罹患している。しかし、適応外である「腰痛」(low back pain)も、新規処方患者の27%を占めることが明らかになった。

 さらに、新規処方患者の74%は「消化器系の副作用を生じるリスクが高い」とはみなせない上、COX-2阻害薬の服用者の方が消化器保護薬の服用率が高く、高用量アスピリンの併用者が多いなど、「適正使用」との観点からは問題があったという。

 こうした点から同社は、まずはNSAIDの後発品を処方し、必要に応じてCOX-2阻害薬に切り替えるとの「ステップ療法」が望ましいと提言している。

 この件に関するExpress Scripts社のプレス・リリースは、こちらまで。このサイトからは関連資料も入手できる。

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