2002.05.29

米国厚生省の下部組織、成人に対する外来でのうつ病スクリーニングを推奨

 米国厚生省(HHS)の下部組織、Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ:医療分野の研究と質向上を支援する部門)は5月20日、うつ病のスクリーニングに関するガイドラインの改訂版を発表した。スクリーニング後の診断・治療が(自院または専門医への紹介などで)実施できる医療機関に限り、外来を受診した成人患者に対するうつ病のスクリーニング検査を推奨するもの。ガイドラインの全文と、根拠となった臨床研究の解析結果は、Annals of Internal Medicine誌5月21日号に掲載された。

 このガイドラインは、AHRQの諮問機関である米国予防医療専門委員会(USPSTF)が検討を進めてきたもの。米国でのうつ病罹患率は、外来を受診する成人で5〜9%、青少年で2〜4.5%と見積もられており、罹患率や「未診断の罹患者」比率が比較的高いと考えられている。そのため、他の疾患での外来受診を機にスクリーニングを行い、適切な治療につなげるべきとの議論があった。しかし、1996年に発表された旧ガイドラインでは、十分なエビデンス(科学的な根拠)が不足しているとの理由で判断が保留されていた。

 しかしその後、外来受診患者を対象としたスクリーニングの有用性を検討した臨床研究が3報報告されるなど、徐々にエビデンスが集積。今回は、それらの臨床研究を検証し、「外来スクリーニング」の手法や有用性について総合的な判断を行った。

 その結果、成人に対しては、スクリーニングで拾い出された「うつ病疑い」患者に対する正確な診断が行え、適切な治療・管理が可能だという条件下で、スクリーニングにうつ病患者の受療率を向上する効果があることが判明。しかし、適切な診断・治療につながらない形で、単にスクリーニングのみが行われた場合は、うつ病患者の受療率を引き上げる効果は認められなかった。一方、青少年に関しては、スクリーニングの有用性を検証できるだけの十分なエビデンスはまだ揃っていなかった。

 以上からUSPSTFは、外来を受診した成人患者に対し、その後のフォローが可能との条件下でうつ病のスクリーニングを推奨。一方の青少年に関しては、今回も判断を保留した。

 スクリーニング手法に関しては、「この2週間、気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気分、絶望的な気分になりましたか」と「この2週間、何をしても楽しくないと感じますか」という二つの簡単な問診に、質問票を用いた検査と同程度のスクリーニング力があるとした。一方、質問票を用いた検査に関しては、様々な手法が提唱されているものの、個々の優劣を判断するだけの情報がないと結論付けている。

 このガイドラインのタイトルは、「Screening for Depression: Recommendations and Rationale」。現在、こちらで全文を閲読できる。根拠となったエビデンス「Screening for Depression in Adults: A Summary of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force」は、こちらまで(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

 なお、AHRQホームページ上の、「Screening for Depression」からも、ガイドラインや関連情報を入手できる。

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