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2002.05.10

【日本輸血学会速報】 “狂牛病疑い”の患者は狂牛病ではなかった−−、現在は病状が回復

 昨年夏に新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(nvCJD)を疑わせる症状で入院、10月に「国内初のnvCJDか」と報道された患者が、CJDではなかったことが判明した。5月9日に行われた特別講演4「狂牛病と輸血」で、東北大学大学院医学系研究科病態神経学の北本哲之氏が明らかにした。

 この患者は海外渡航歴のない10歳代の女性で、昨夏に痙攣などの神経症状を発症。記憶障害などnvCJDを疑わせる症状があったため、感染症予防法に基づき届け出が行われた。CJDは感染症予防法で全数把握の対象となる4類感染症に分類されており、7日以内に所管の保健所に届け出なければならない。

 厚生労働省からの連絡を受け、厚生科学審議会クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会の委員が、この患者を9月20日に診察した。北本氏によると、この時点で委員会には「nvCJDではないという感触があった」という。だが、週刊誌などの報道を受け、昨年10月に開催された参議院厚生労働委員会で、坂口力厚生労働大臣が、「nvCJD疑い」の患者がいることを公式に認める答弁を実施。患者に海外渡航歴やヒト乾燥硬膜移植歴などがないことから、「国内で(狂牛病に罹患した牛肉を食べて)感染した患者が発生した」との印象が一般市民の間に広まった。

 しかしその後、患者の病状は徐々に回復。北本氏によると、「てんかんに対する治療に効果がみられたので、おそらくてんかんに伴う後遺症だったと考えている」という。なお、nvCJD疑いで報告された患者はもう一人おり、現在までに通算二人がサーベイランス上はnvCJDとして報告されている。この点について、「40歳未満のCJD疑い患者は、自動的に(nvCJDとして)報告される。この患者も結果的にはnvCJDではなかった」と北本氏は説明した。