2002.04.25

【日本消化器病学会速報】 アトピー性皮膚炎患者の大腸に慢性炎症、若年者にはまれなメラノーシスも

 重症のアトピー性皮膚炎患者では、大半で大腸粘膜に慢性的な炎症が起こっていることが明らかになった。藤田保健衛生大学消化器内科の有沢富康氏らの検討によるもので、潰瘍などの明らかな病変はないものの、S字結腸が強く屈曲している人が多く、若年者にはまれな色素の沈着(メラノーシス)もみられたという。アトピーの病態解明につながる所見として注目されそうだ。研究結果は、4月25日の一般口演で発表した。

 有沢氏らは、アトピー性皮膚炎患者の消化吸収機能が、通常よりも低下しているとの複数の報告がある点に着目。入院するほどではないが、全身に皮疹がある重症のアトピー性皮膚炎患者15人(うち男性13人、平均年齢26.1歳)に協力してもらい、大腸内視鏡検査を行って、アトピー性皮膚炎患者に特徴的な所見があるかどうかを調べた。

 すると、大腸には肉眼的な病変は認められなかったが、15人中14人で、S状結腸が「骨盤にはまりこむような曲がり方」(有沢氏)をしていることが判明。うち4人では、若年者ではめったにみられないメラノーシスが生じていた。メラノーシスは下剤の使いすぎでも生じることがあるが、今回協力した患者の中に下剤の長期連用者は含まれていない。

 そこで、下行結腸の脾彎曲部から組織を一部取り、免疫染色で調べると、大半の人で炎症性の所見があることがわかった。15人中12人で好酸球が大腸粘膜に強く浸潤しており、炎症細胞の核の破壊も13人でみられた。メラノーシスがある人では、過酸化脂質の産物であるリボフスチン(老化色素)の沈着も認められた。

 なお、アトピー性皮膚炎患者の便には多量のカンジダ菌が排出されることがあり、抗真菌薬の服用で皮膚症状が改善するケースもある。しかし、有沢氏らが免疫染色法やポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)で調べたところ、大腸粘膜にカンジダ菌はまったく見出せなかった。患者の中には抗真菌薬の服用で症状が良くなった人も含まれていたが、服用の後でも大腸粘膜への好酸球浸潤は続いていた。

 有沢氏はこの所見を、「アトピー性皮膚炎患者の大腸に、潜在的な慢性炎症がある可能性を示すもの」と考察。ただし、カンジダ菌の慢性感染が原因とは考えにくく、どのような機序で慢性炎症が起こっているのかはわからないという。大腸の慢性炎症がアトピー性皮膚炎の病態に与える影響も不明で、皮膚症状と共通の病因を持つ可能性も残る。

 この点について、有沢氏は「アトピー性皮膚炎の患者さんでは、入院して中心静脈栄養を行うと症状が改善するケースが多く、消化管の機能が病態に何らかの影響を与えていることは確か」だと述べ、「普通は吸収されない大きさの分子が、消化管を通して体内に入っている可能性もあり、小腸の吸収異常についても検討を進めたい」と話した。

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