2002.04.16

【日本臨床皮膚科医学会速報】 ウイルス性のいぼに尿素軟膏療法、「治癒率92%」が報告

 ウイルス性のいぼ(疣贅)は、治療に苦慮することが多い皮膚感染症の一つ。しかし、尿素軟膏を1日2回十分量塗布すれば、9割以上が数カ月で治癒する−−。4月14日のシンポジウム3「ありふれているが治療に難渋する皮膚疾患」では、市立堺病院前副院長(3月末で定年退職、5月に東皮フ科医院を開業予定)の東禹彦氏が、尿素軟膏の“劇的な効果”を多数の症例と共に提示した。

 疣贅の治療では、液体窒素による凍結療法が行われることが多いが、再発・再燃が繰り返されることも少なくない。内服薬や外用薬も様々なものが試みられているが、臨床試験では治療効果は6割に過ぎず、しかもその効果は“プラセボ並み”だという。東氏は以前から、角質溶解作用や暗示効果などを狙い、様々な外用薬を処方。そうした中で、尿素軟膏を処方したケースでは治癒率が高い傾向があることに気付いた。

 そこで東氏は、尿素軟膏を処方した20人と、他の外用薬を処方した9人とで、治療効果を後ろ向き(レトロスペクティブ)に比較。尿素軟膏群では7人、他剤使用群では3人の経過が不明だったが、それらを除いて治癒率を算出すると、尿素軟膏群では13人中12人(92%)で治癒が得られており、他剤使用群の33%(6人中2人)を大きく上回ったという。

 治癒に要する期間は、扁平疣贅で4カ月、尖形コンジローマで2〜3カ月、尋常性疣贅で8カ月以内。「これだけの高い治癒率が、暗示効果だけで得られるとは考えにくい。足底の疣贅では、塗布した薬剤が取れにくい“くぼんだ疣贅”で治りが早く、塗布薬が取れやすい“突出した疣贅”では治りが遅いとの現象もみられ、薬剤の効果と考えるのが妥当」と東氏は考察する。

 ただし、東氏が使用したのは10%尿素軟膏のウレパール(商品名)だけで、他の濃度の尿素軟膏でも同様の効果が得られるかどうかや、軟膏の基材が効果に与える影響など、検討すべき課題は多い。「尿素がどのような機序でヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)に作用するのか」という薬理作用も不明だ。

 とはいえ、外用薬で“9割治癒”が達成されるなら、疣贅の治療戦略が大きく変わることは間違いない。臨床的なインパクトが大きい指摘であるだけに、尿素以外の含有物を同一としたプラセボを用いる二重盲検試験や、薬理作用のウイルス学的な検討など、より大規模・広範囲の追試が行われることを期待したい。

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