2002.04.03

慢性炎症が2型糖尿病の誘発因子に、IRAS研究が示唆

 約1000人の健常者を追跡した観察研究で、代表的な炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)値が高い人では、5年以内に2型糖尿病を発症する確率が高いことがわかった。さらに、線溶系の機能低下を反映するプラスミノーゲン活性化阻害因子1(PAI-1)も、インスリン抵抗性とは独立の糖尿病発症因子であることが明らかになった。糖尿病患者は虚血性心疾患に罹患しやすいが、その背景には、慢性的な炎症や凝固亢進状態という共通因子があるようだ。研究結果は、Diabetes誌4月号に掲載された。

 この研究は、IRAS(Insulin Resistance Atherosclerosis Study)研究の一環として行われたもの。IRAS研究の参加者1625人のうち、研究参加時に糖尿病を発症していない1047人を解析対象とした。解析対象者の平均年齢は54.8歳、女性が約6割で、平均体脂肪指数(BMI)は28.4。人種比率は白人が約4割、黒人とヒスパニックがそれぞれ約3割だった。

 5年の追跡期間で144人(14%)が2型糖尿病を発症したが、糖尿病の発症者では、非発症者と比べ、研究参加時のCRP値、PAI-1値や、PAI-1と同じく線溶系のマーカーであるフィブリノーゲン値が有意に高かった。これらの検査値は、人種や性別に関わらず、糖尿病の発症と相関していた。

 ただし、BMIなど体脂肪の指標や、インスリン感受性で補正すると、CRP値やフィブリノーゲン値と糖尿病発症との関連は弱まった。しかし、PAI-1に関しては、補正後もこうした他の危険因子とは独立に糖尿病の発症と強い相関があることがわかったという。

 以上から研究グループは、虚血性心疾患の誘発因子として知られる慢性炎症状態は、肥満とは無関係ではないものの、糖尿病も誘発し得ると結論。血栓のできやすさを反映し、インスリン抵抗性との関連も知られているPAI-1は、2型糖尿病の発症リスクを早期から反映するマーカーとみなし得るとしている。

 この論文のタイトルは、「Elevated Levels of Acute-Phase Proteins and Plasminogen Activator Inhibitor-1 Predict the Development of Type 2 Diabetes」。アブストラクトは、こちらまで。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 抗インフルエンザ薬ゾフルーザ、迅速に症状緩和 インフルエンザ診療Next:トピックス FBシェア数:24
  2. 不眠治療で大事な「3つのP」とは 三島和夫の「知って得する睡眠臨床」 FBシェア数:71
  3. 明日出合うかもしれないまれな疾患に気付くには EM Allianceの「知っ得、納得! ER Tips」 FBシェア数:137
  4. 水分摂取量増加で膀胱炎の再発は減らせる JAMA Intern Med誌から FBシェア数:159
  5. 医師の4割超が詐欺や悪徳業者に遭遇 シリーズ◎医師を狙う悪い奴ら《4》手口の実態(前編) FBシェア数:38
  6. 「病院病床バブル」はいつまで続くか? 東謙二の「“虎”の病院経営日記」 FBシェア数:29
  7. 解決できない問題に遭遇、あなたならどうする? シリーズ◎忘れられないカルテ FBシェア数:15
  8. ハゲタカジャーナルに奪われた私の1500ドル シリーズ◎医師を狙う悪い奴ら《3》被害者の告白2 FBシェア数:43
  9. 自覚の薄い「研究不正」に要注意!! 英文校正者が教える医学論文執筆の極意 FBシェア数:56
  10. ノーベル賞と論文の被引用数「hインデックス」 記者の眼 FBシェア数:31
医師と医学研究者におすすめの英文校正