2002.03.22

【ACC '02速報】 慢性心不全患者の死亡率、うつ病合併者で2倍に

 慢性心不全(CHF)の人は高率にうつ病を合併することが知られているが、うつ病の合併者では1年後の死亡率がおよそ2倍になることがわかった。特に、抗うつ薬が効かない「治療抵抗性うつ病」の合併者では、死亡率は4倍近くなるという。死亡例に自殺は1例も含まれておらず、なぜうつ病合併者で死亡率が高くなるのかは不明だが、今後は「予後因子」としてのうつ病に注目する必要がありそうだ。研究結果は、米国Duke大学医療センター精神科のGreg L. Clary氏らが、3月18日のポスターセッションで発表した。

 調査の対象は、1997年3月から1998年6月にDuke大学医療センターを受診した心不全患者829人。NYHA心機能分類は2度以上で、左室駆出力(LVEF)は35%未満だ。Clary氏らは、これらの患者がうつ病にかかっているかどうかを調べ、1年後の死亡率との関連を検討した。

 その結果、調査時点でうつ病ではなかったCHF患者では、1年後の死亡率は14.29%だった。ところが、うつ病にかかっていたCHF患者では、1年後の死亡率が22.37%とほぼ倍増していた。ただし、症状が抗うつ薬でうまくコントロールされていたCHF患者の死亡率は12.50%と、うつ病でないCHF患者とほとんど変わらない。

 うつ病合併者全体の死亡率を引き上げていたのは、抗うつ薬が量を増やしても効かない、あるいは副作用などのために量を増やせない「治療抵抗性うつ病」の合併者で、このグループの1年死亡率は39.66%と極めて高くなった。

 Clary氏によると、米国で処方されている抗うつ薬はほとんどが選択的セロトニン受容体阻害薬(SSRI)で、三環系抗うつ薬でみられるような心疾患死につながる副作用は報告されていないという。また、重度のうつ病では自殺も心配されるが、今回の調査例では自殺は1例もなく、「“うつ病が治療されていない”状態が、生命予後に何らかの悪影響を与えているとしか考えられない」とClary氏は考察する。

 ただし、今回の研究ではうつ病の重症度別の検討はなされておらず、会場では「心不全に限らず、重い疾患に罹患していると、“死の予感”のため抑うつ状態になる患者は多い。うつ病は単に心不全の重症度を反映しているだけではないか」との指摘もなされた。Clary氏は「今後心不全の重症度との関連についても調査する」と答える一方、「精神科では、難治性のうつ病患者に対して行動療法など様々な非薬物療法も行っている。通常の薬物療法で改善しないうつ病合併者は、ぜひ精神科に紹介して欲しい」と呼びかけた。

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