2002.03.19

【ACC '02速報】 ACCは国境を越えた社会貢献を目指す−−会長講演より

 昨年9月にニューヨークで起こった同時多発テロを初め、世界各地で戦争や紛争が繰り返される中、我々に何ができるだろうか−−。今期学術集会の会長を務める米国Indiana大学のDouglas P. Zipes氏は、3月18日の会長講演で、聴衆にこう呼びかけた。

 この問いに対する一つの答えとしてZipe氏が挙げたのが、国家や民族、性別にかかわらず、すべての人に対する循環器疾患のケアの質を向上すること。この目標を実現するために、米国心臓学会(ACC)は二つの具体策を推進しているという。

 その一つが、ACCと科学系出版社のElsevier Science社が共同で立ち上げたウェブサイト、「ACCardio」だ。循環器分野の臨床試験情報や最新ニュース、治療方針決定支援ツールなど、専門医に欠かせない医療情報が1カ所で手に入る。こうした、国境に関わらず、必要な時にいつでもアクセスできる「インターナショナルな情報源を、今後もACCは充実していく」とZipe氏は強調した。

 ACCのもう一つの国際貢献策は、手術手技などのシミュレーターだ。ACCは今回、展示場に「SimTech '02」と題したブースを設けており、血管形成術などのトレーニングを受けることができる。シミュレーターには仮想現実(バーチャル・リアリティー、VR)技術が活用されており、Zipe氏は、「VR技術はこうした医学教育の未来のために欠かせないもので、世界のどこででも役立つだろう」と述べた。

 また、1980年からACCは、循環器分野の様々な診療ガイドラインを作成しているが、Zipe氏は「ガイドラインは所詮ガイドライン。実際の患者に当てはめる、つまり現実の診療(practice)とガイドラインとのギャップを埋める必要がある」と指摘。この目的のために、ACCと米国心臓協会(AHA)とが共同開発した「GAPツール」が、急性心筋梗塞のケアの質を上げたとの研究成果を紹介した。

 最後にZipe氏は、偏見を捨てて患者の声に耳を傾け、患者の良き友人、カウンセラー、アドバイザーになることが、循環器専門医の務めであると強調。今期の学術集会は「一つの命を救うことが人類愛につながる」との精神が生かされるものにしたいと結んだ。

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