2002.03.13

試験管ベビー、重度先天性障害の発生率が2倍に

 体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を用いて妊娠した子供では、自然妊娠の場合よりも高率で重度の先天性障害が発生することがわかった。母体の年齢や子供の性別、多胎かどうかなどで補正した後も、重度の先天性障害を持つ子供の割合は2倍になるという。生殖補助医療を希望する夫婦に対して、医療者側はこうした事実をきちんと説明する必要がありそうだ。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌3月7日号に掲載された。

 この研究を行ったのは、オーストラリアWestern Australia大学小児健康研究センターのMichele Hansen氏ら。オーストラリアのWestern Australia州では、1991年に制定されたヒト生殖技術法(Human Reproductive Technology Act)により、生殖補助医療で生まれた子供に関する全ての情報を、「Reproductive Technology Register」というデータベースに登録することになっている。Hansen氏らはこのデータベースから、1993〜1997年に体外受精または顕微授精で生まれた子供のデータを抽出。先天性障害の発生率について、ランダムに集めた自然妊娠例と比較した。

 その結果、顕微授精で産まれた子供では301人中26人(8.6%)、体外受精では837人中75人(9.0%)が、1歳時までに重度の先天性障害を持っていることが判明。一方、自然妊娠で生まれた子供では、4000人中168人(4.2%)が重度の先天性障害を持っていた。

 生殖補助医療を用いて生まれた子供が重度障害を持つオッズ比は、母体年齢などで補正した後も、顕微授精で2.0倍(95%信頼区間:1.3〜3.2)、体外受精でも2.0倍(同:1.5〜2.9)、自然妊娠より高くなることが明らかになった。先天性障害の種類では、染色体や筋骨格系が多く、複数の障害を合併している比率も高かったという。

 わが国では毎年、約120万人の子供が生まれているが、生殖補助医療による出生数はそのうち1%近くを占める(関連トピックス参照)。生殖補助医療の適用範囲も、非配偶者間にまで広げる方向で検討が進められており、生殖補助医療で生まれる子供は今後も増える見通しだ。生殖補助医療を希望する夫婦に対しては、こうしたネガティブな面も含め、正確な情報が公開される時代が来たと言えるだろう。

 この論文のタイトルは、「The Risk of Major Birth Defects after Intracytoplasmic Sperm Injection and in Vitro Fertilization」。アブストラクトは、こちらまで。

■ 関連トピックス ■
◆ 2001.9.26 日本産科婦人科学会、体外受精など生殖補助医療の最新臨床成績をHPで公表

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