2002.03.11

【臨床内分泌代謝Update速報】 妊娠糖尿病の新しい診断基準、高感度・高特異度で血糖日内変動異常を検出

 大阪市立住吉市民病院産婦人科の友田昭二氏らは、妊娠糖尿病のリスクが高い妊婦99人を対象に血糖値の日内変動を検査。空腹時血糖と、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の1時間値、2時間値のいずれかが155mg/dl以上となった場合、最も高感度・高特異度で血糖値の日内変動異常を検出できることを見出した。友田氏らはこの研究結果を、3月10日のポスターセッションで発表した。

 糖尿病の家族歴や肥満などがある妊婦では、妊娠中に糖尿病になりやすい。妊娠中に高血糖状態が続くと、胎児体重が増え過ぎたり(巨大児)、流産や死産などが増えることが知られており、妊娠糖尿病を正確に診断して食事療法や運動療法を行うことが大切になっている。

 妊娠糖尿病に対する日本産科婦人科学会の診断基準は、1.空腹時血糖(基準値:100mg/dl)、2.OGTT1時間値(同:180mg/dl)、3.OGTT2時間値(同:150mg/dl)−−の三つのうち、2点以上で基準値以上の異常値を示した場合。一方、世界保健機関(WHO)の診断基準は、空腹時血糖が99mg/dl以上またはOGTT2時間値が144mg/dl以上となっている。しかし、こうした診断基準で「正常」とされた妊婦が、巨大児を出産するケースも少なくなかった。

 友田氏らはこの理由を、巨大児などの原因となる「血糖の日内変動異常」が、従来の診断基準では見落とされる場合があるためと考察した。糖尿病の家族歴や肥満など、妊娠糖尿病の危険因子を持つ妊婦にOGTTを行い、空腹時、1時間値、2時間値のどれか一つでも130mg/dlを示した99人には入院下で3回の食前・食後2時間と眠前の血糖値を測定。「食前100mg/dl以下、食後120mg/dl以下、眠前110mg/dl以下」のすべてを満たした場合を「日内変動正常」として、従来の診断基準が日内変動の異常をどの程度検出できるかを検討した。なお、血糖値の測定は、つわりのためブドウ糖液が飲めない場合を除き、妊娠13〜14週で行った。

 その結果、99人中実に71人で、血糖の日内変動に異常があることが判明。OGTTに基づく日本産科婦人科学会の診断基準を当てはめると、診断の特異度は100%となったが、感度が31.0%と低いことが判明した。WHOの診断基準でも、特異度は82.1%と高いものの、感度が46.5%と、半数近くの妊娠糖尿病を見落としてしまうことがわかった。

 そこで友田氏らは、空腹時血糖と、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の1時間値、2時間値を用い、妊娠糖尿病を最も精度良く診断できる基準値を検討。「上記の3値のいずれかが155mg/dl以上の場合」との診断基準で、妊娠糖尿病を感度71.8%、特異度50.0%で診断できることを見出した。

 友田氏は「現行の妊娠糖尿病の診断基準では、血糖コントロールが不良な妊婦をかなりの確率で見落としている」と指摘。「空腹時とOGTT1時間値、2時間値のいずれかが155mg/dl以上」との新しい診断基準で、血糖の日内変動が大きい妊婦を高精度で診断して欲しいと述べた。

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