2002.03.08

前立腺癌の死亡率低下はPSA検診とは無関係、カナダの研究が示唆

 住民検診として、前立腺特異抗原(PSA)を用いた前立腺癌検診を取り入れる市町村が増えている。しかし、その根拠として挙げられることの多かった、1990年代後半のカナダにおける前立腺癌死亡率の低下が、PSA検診による癌発見率の増加とは関連がみられないことがわかった。Quebecで行われたコホート研究によるもので、研究結果はCanadian Medical Association Journal誌3月5日号に掲載された。

 Quebecでは1980年代の後半からPSAを用いた前立腺癌検診の受診者が増え、1989年から1993年にかけて、前立腺癌と診断される患者数が急増。これと呼応するように、1995年から前立腺癌による年齢調整死亡率の低下が始まり、「PSA検診による癌の早期発見が死亡率の低下につながったのでは」との見方が強まっていた。

 カナダLaval大学のLinda Perron氏らは、この点を検証するために、Quebecの住民のうち50歳以上の男性を2歳幅で15のコホートに分割。各年齢層ごとに、1989〜1993年における前立腺癌の罹患率推移と、1995〜1999年における死亡率推移とを比較した。

 結果を一見すると、どの年齢層でも前立腺癌の罹患率が上昇し、死亡率が低下する傾向があった。ところが、年齢層ごとの罹患率の上昇幅と、死亡率の低下幅とには何ら相関はみられず、罹患率と死亡率とに因果関係があるとは考えにくいことが判明した。

 論文に対する論説では、PSA検診の根拠として挙げられることの多い他の研究にも、「検査から3〜6年で死亡率に影響が出るのは早過ぎる」「無作為化が不完全」などの批判が出ていることを指摘。この問題に決着を付けるには大規模な無作為化試験が必要で、1990年代前半から「ERSPC」(European Randomized study of Screening for Prostate Cancer)と「PLCO」(Prostate, Lung, Colorectal, Ovarian cancer)という二つの大規模無作為化試験がスタートしていることを紹介している。

 この論文のタイトルは、「PSA screening and prostate cancer mortality」。現在、全文をこちらで閲読できる。論説「Does PSA screening reduce prostate cancer mortality」もこちらから全文の閲読が可能だ(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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