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2002.02.21

【生物テロ】 JAMA誌、New York市で肺炭疽に感染した61歳女性の症例報告を掲載

 肺炭疽を発症して昨年10月28日に入院、4日後に亡くなった61歳女性の症例報告が、米国医師会の学術誌であるJournal of American Medical Association(JAMA)誌2月20日号に掲載された。感染経路は依然として不明のままだが、入院当初から肺炭疽を疑い、手を尽くしたにも関わらず、敗血症ショックによる多臓器不全を合併して死亡した様子が克明につづられている。

 患者は市内のManhattan病院で働く61歳のベトナム系女性で、3日前からだるさや咳、寒気などが続くため来院した。症状や検査データから、心不全と市中肺炎、そして肺炭疽が疑われ、利尿薬と抗菌薬を投与されて集中治療室に入院した。

 しかし、入院から数時間後には、呼吸不全と敗血症ショックを併発。血液培養などで炭疽菌(Bacillus anthracis)が同定され、肺炭疽との診断が確定したが、肝不全、腎不全やアシドーシス、播種性血管内凝固症候群(DIC)、心タンポナーデを起こして4日後に死亡している。

 症例を報告したLenox Hill病院のBushra Mina氏らは、感染経路に関する調査結果も紹介している。それによると、患者の自宅や勤務先、同僚など接触者の鼻腔からはBacillus anthracisは見付からなかった。通勤に使っていた地下鉄の空調のフィルターからも菌は検出されず、感染経路は結局不明だという。

 研究グループは、この患者のように炭疽菌への明白な接触経路が見当たらない場合でも、生物テロの被害者になり得ると指摘。医療従事者は、まれな感染症による“普通ではない”臨床症状を軽視すべきではないと強調している。

 この論文のタイトルは、「Fatal Inhalational Anthrax With Unknown Source of Exposure in a 61-Year-Old Woman in New York City」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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