2002.02.11

【日本胃癌学会速報】 CP遵守率の医師によるばらつき、改善に「個人データ」が威力

 クリニカルパス(標準治療過程、CP)を導入している診療科の悩みの一つは、患者の主治医がだれであるかによってCPの遵守率が異なること。癌研究会附属病院消化器外科の大山繁和氏らは、チーム内の医師ごとにCP遵守率を分析。その数値を元に、看護婦も交えて話し合いを行うことで、管理の統一や指示の簡素化が図れたとの経験を報告した。CPに対する主治医の取り組み姿勢のばらつきは、多くの医療機関に共通する悩みであるだけに、この試みは参考になりそうだ。研究報告は、2月9日のワークショップ1「胃癌とクリニカルパス」で行われた。

 大山氏らは、1999年11月に診療科内にクリニカルパス委員会を設置。胃癌患者の術前・術後管理の現状を調査し、大筋で現状に基づく形で胃切除や胃全摘などに対するCPを作成・導入してきた。ところが、CP導入後の調査で、患者の回復度合いには問題が無いのに、術後の胃透視検査や経口摂取を再開する時期が遅れるケースが続出していることが判明。CP完遂率も平均40%と低くなっていた。

 そこで大山氏らが、同科の6人の医師別にデータを分析し直したところ、6人中二人の医師でCPの使用率(担当患者のうちCPを適用した比率)が半数に満たなかったことが明らかになった。これらの医師では、CPを使用した患者についても、CP通りの治療は行っていなかった。

 このデータを大山氏らはそれぞれの医師に示し、看護婦も交えて話し合いをもった。その場で検査の意義の問い直しや、胃管などの管理の統一性を確認し、汎用性の高いCPを作成することでCPの遵守率を高めることができたという。

 大山氏は「CPにバリアンス(実際に行われた治療とCPとのずれ)が生じる一番の要因は医師側にある。具体的なデータを示し、看護婦を交えて協議することで、CPそのものの改善も含め、遵守率を向上できる」とまとめた。

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