2001.11.01

【日本アレルギー学会速報】 粉末式吸入ステロイド薬、吸入力の弱い患者で“吸い残し”が発生

 粉末式の吸入ステロイド薬は、「吸入手技が容易」との点で評価が高い。しかし、息を吸う力が弱い患者では、複数回に分けて吸っても3割以上の粉末が容器内に残ってしまうことが、JA岐阜厚生連昭和病院内科の大林浩幸氏らの調べで明らかになった。粉末式の吸入ステロイド薬を処方する際は、患者の吸入力を調べ、吸い残しを少なくするよう指導するなどの工夫が必要になりそうだ。研究結果は、10月31日の一般演題「気管支喘息 管理2」で報告された。

 吸入ステロイド薬は、気管支喘息患者の気道の炎症を抑え、発作を起こしにくくするために欠かせない薬剤。従来はガス状にしたステロイドを噴射して吸入するタイプのみが販売されていたが、1998年末に粉末式のプロピオン酸フルチカゾン(商品名:フルタイド)が登場。吸入手技の簡便さと力価の高さから、多くの喘息患者に処方されている。

 大林氏らは、粉末式のプロピオン酸フルチカゾンでは「吸入流速が1分間に60リットル以上あれば良い」とされている点に着目。本当にその速度以上なら問題が無く、それ未満の場合は不向きなのかを検討した。

 対象患者は、数週間以上病状が安定している気管支喘息患者50人。これらの患者に吸入練習用のドライパウダー(乳糖)を吸入してもらい、最大吸気流速と吸入後の残量との関係を調べた。

 その結果、最大吸気流速が60l/分以上の患者では、吸入後の残量は3割以下で、吸入回数を増やせばさらに残量が減ることがわかった。しかし、高齢者や慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併者など、最大吸気流速が60l/分未満の患者では、流速が下がるにつれて残量が増加。吸入回数を3回に増やしても、3割以上の薬剤が容器内に残ってしまうことが明らかになった。

 ただし、粉末式のプロピオン酸フルチカゾンでは、吸入補助用に添加されている乳糖よりも薬剤の方が粒子が細かい。そのため、「たとえ容器内に粉が残っていても、有効成分は吸い込めている可能性もある」(大林氏)という。その上で大林氏は「現状ではやはり吸い残しのリスクを減らす工夫が必要」と述べ、吸入力が弱い患者には、容器を爪でたたいてトレーに薬剤を完全に落とす、長く吸う、3回に分けて吸うなどの指導を行うべきと強調した。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. ハゲタカジャーナルに奪われた私の1500ドル シリーズ◎医師を狙う悪い奴ら《3》被害者の告白2 FBシェア数:38
  2. 抗インフルエンザ薬ゾフルーザ、迅速に症状緩和 インフルエンザ診療Next:トピックス FBシェア数:3
  3. 親世代に広がる百日咳の見つけ方 トレンド◎百日咳患者の3割は成人、どう診断する? FBシェア数:34
  4. 自覚の薄い「研究不正」に要注意!! 英文校正者が教える医学論文執筆の極意 FBシェア数:26
  5. 教科書に書いてある髄液循環は間違い 今さら聞けない画像診断のキホン FBシェア数:7
  6. GLP-1受容体作動薬は心血管リスクを減らすか 糖尿病治療のエビデンス FBシェア数:30
  7. 吸入ステロイドの長期使用は成長を抑制する? 松本康弘の「極める!小児の服薬指導」 FBシェア数:28
  8. 「着る」除細動器は不整脈死を減らせない NEJM誌から FBシェア数:40
  9. 業務効率化しても長続きしない…対処法は? 診療所経営駆け込み寺 FBシェア数:6
  10. 嗜好用大麻、いよいよ解禁前夜! まいにち薬剤師 FBシェア数:48
医師と医学研究者におすすめの英文校正