2001.10.08

【日本胸部外科学会速報】 次世代型補助人工心臓「EVAHEART」、いよいよ実用化段階へ

 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科医局長の山崎健二氏らと、米国Pittsburgh大学、早稲田大学、サンメディカル技術研究所が共同で開発を進めてきた次世代型の補助人工心臓「EVAHEART」が、来春にも前臨床試験を始めることが明らかになった。山崎氏が10月5日に行われたシンポジウム3「末期的重症心不全の外科治療」で発表したもの。今回開発された補助人工心臓は、小型・軽量で長期間使用でき、血栓症や感染などの合併症が生じにくいもので、心移植に替わる末期心不全の治療手段として注目を集めそうだ。

 山崎氏らは、補助人工心臓が末期重症心不全の治療法として確立する条件として、1.高い長期信頼性(2〜5年)、2.少ない合併症(出血、血栓症、感染症)、3.小型軽量で携帯性に優れる、4.自宅療養や外来管理が可能、5.割安な価格設定−−の五つを設定。これらの条件を満たす補助人工心臓として「EVAHEART」を開発した。

 「EVAHEART」は、胸郭内への埋め込みが可能な、小型で軽量の遠心ポンプ式補助人工心臓。モーターの回転運動をそのまま拍出に変える無拍動型の補助人工心臓で、手のひらに乗せても振動や熱を全く感じない。チタン製で重量は370g、心尖部から脱血し上行大動脈に送血する仕組みで、1分間で最大12リットルと十分な流量がある。
 
 血液と直接接触する部分には、抗血栓性コーティングを施行。コーティング剤として、メタクリロイロキシエチル・ホスホリルコリン(MPC)という、血管内皮細胞の膜構造(リン脂質膜)に似た物質を用いることで、「動物実験では術後中期までの抗凝固療法が不要になった」(山崎氏)という。

 駆動力は電力で体外から供給するが、2系統のバックアップ付き駆動回路一式を、A4サイズ3.5kgの携帯可能な形にまとめた。充電式リチウム電池で8時間連続で作動するほか、自動車のシガーライターから直接電源を取ることも可能だ。気になる価格も、一体型成型加工技術の開発などで、「500万円程度で抑えられる見込み」と山崎氏は言う。

 山崎氏らは今後、来年春までに試作品の改良を進め、2002年3月から牛を用いた前臨床試験に着手。それらのデータを基に、厚生労働省と米国食品医薬品局(FDA)に治験申請を行い、2003年には臨床試験を日米同時に開始する意向だ。

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