2001.10.02

【日本心臓病学会速報】待機的心臓カテーテル検査に抗生物質は不要?感染症予防に差無く、高い副作用出現頻度

 虚血性心疾患あるいは虚血性心疾患の疑いがある患者に対して待機的心臓カテーテル検査を行う際、検査後からの抗生物質の使用は感染症予防にとって有用ではなく、むしろ副作用の観点からみると使用すべきではないとする調査結果が、第49回日本心臓病学会学術集会の一般演題(ポスター)で報告された。

 これは、国立横浜病院循環器科の山下倫生氏らのグループが明らかにしたもの。7月に開催された日本心血管インターベンション学会では、心臓カテーテル検査で抗菌薬の予防投与を行う施設は7割に上るというアンケート調査結果が報告されている。しかし、教科書的には「抗生物質を使用してもよい」などと曖昧な表現が使われがちで、その必要性については明らかにされていないのが現状だという。

 そこで山下氏らは、虚血性心疾患あるいは虚血性心疾患が疑われた患者で、待機的心臓カテーテル検査を施行した344人(うち男性237人、平均年齢65.1±8.9歳)を対象に、感染症予防を目的とした抗生物質使用の有用性と安全性を検討してみた。なお、弁膜症・先天性心疾患・悪性腫瘍の合併例や、ペースメーカー植え込み例は除外した。

 対象は抗生物質未使用のA群(118人)、抗生物質の点滴静注+経口内服のB群(137人)、点滴静注のみのC群(45人)、経口内服のみのD群(42人)に分け、カテーテル検査施行時間、翌日までの発熱(37℃以上)と副作用の有無などを比較した。

 この結果、検査後の発熱例は、抗生物質未使用のA群で2%(3人)だったのに対し、抗生物質を使用したB群、C群、D群ではいずれも9%(13人)、9%(4人)、10%(4人)の頻度で認められた(ただし、発熱例は全例37.5℃以下で翌日中に平熱となった)。

 またカテーテル検査施行時間はA群で有意に短かかったが、発熱した24人の検査施行時間(50.4±14.2分)と非発熱例320人の検査施行時間(47.6±18.7分)には有意な差はなかった。

 さらに、薬疹、嘔吐、心窩部不快感などの副作用はA群ではみられなかったが、点滴静注と経口内服を併用したB群では5%(7例)と最も多く、C群、D群でもそれぞれ1例ずつ認められた。これらの結果から推測して、「今回、PCI施行例については検討していないが、やはり感染症予防のための抗生物質は使わなくてよいのではないか」と山下氏は話している。(瀬川博子、日経メディカル開発)

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