2001.10.02

カルシウムは前立腺癌の危険因子、米コホート研究が示唆

 約2万人の中高年男性を追跡したコホート研究で、乳製品の摂取量が多い人は、前立腺癌の発症率が高いことがわかった。含有カルシウム量に換算すると、摂取量が1日150mg未満の人と比べ、600mg以上摂取する人では前立腺癌リスクが32%高くなるという。この「1日600mg」は決して「過量摂取」とされる量ではないだけに、カルシウムの必要摂取量に関する議論を巻き起こしそうだ。研究結果は、American Journal of Clinical Nutrition誌10月号に発表された。

 この研究は、1982年から1995年にかけて行われた、Physicians' Health Study(PHS)の参加者をコホートとしたもの。 PHSは、心疾患や癌、腎疾患などに罹患していない健康な男性医師約2万2000人が参加した介入研究で、アスピリンの心筋梗塞予防効果を示した研究としてよく知られている。

 米国Harvard公衆衛生大学栄養・疫学部のJune M. Chan氏らは、PHSの開始時に、参加者に対して行われた食生活調査票を解析。乳製品の摂取量と、前立腺癌の発症率との相関を調べた。平均追跡期間は約11年間。

 食生活調査票の記入に不備がなく、1995年まで追跡できた2万885人中、1012人が前立腺癌を発症した。牛乳、スキムミルク、チーズ、アイスクリーム、牛乳をかけたシリアルという5種類の乳製品の摂取量別に参加者を5群に分け、前立腺癌の発症率を調べたところ、これらの乳製品を合わせて1日0.5人前分しか摂取しない群(2980人)よりも、1日2.5人前分以上摂取する群(3588人)の方が、年齢や喫煙歴、運動習慣など他の寄与因子で調整した後も1.34倍発症率が高いことがわかった。食品群の中ではスキムミルクだけが前立腺癌発症率と摂取量とに正の相関があった。

 Chan氏らは次に、これら5種の乳製品に含まれるカルシウム量を求め、カルシウム量に基づく分析を実施。すると、1日摂取量が150mgに満たない人と比べ、600mg以上カルシウムを摂る人では、他の寄与因子で補正後も前立腺癌の発症率が1.32倍(95%信頼区間:1.08〜1.63)になることがわかったという。

 前立腺癌とカルシウム摂取量との関連では、食事とサプリメントから1日2000mg以上カルシウムを摂る人で、1日量が500mg未満の人よりも発症リスクが4.57倍になるとの報告がある。過量のカルシウムが、前立腺癌の予防効果があるとされる活性型ビタミンDの血中濃度を低下させるためと解釈されていた。しかし、今回のように、比較的少ない摂取量で前立腺癌が増加するとの報告は初めてで、カルシウムの必要摂取量を巡る議論に大きな影響を与えそうだ。

 この論文のタイトルは、「Dairy products, calcium, and prostate cancer risk in the Physicians' Health Study」。アブストラクトは、こちらまで。

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