2001.10.01

【日本癌学会速報】 樹状細胞と癌細胞の融合細胞、皮内投与で進行癌12人中4人が症状改善

 生体内で最も強力な抗原提示細胞である、樹状細胞を用いる癌免疫療法が注目を集めているが、この樹状細胞と、患者自身の癌細胞ととの融合細胞を用いる「融合細胞療法」で、癌患者12人中4人が症状改善という有望な臨床成績が得られた。東京慈恵会医科大学内科の本間定氏らが昨年12月から開始したパイロット試験の結果で、9月28日の一般口演で報告された。

 樹状細胞は、細胞外から取り込んだ蛋白を分解処理し、生じたペプチドをナチュラルキラー細胞などが認識できる形で抗原として提示する作用を持つ。しかし、癌特異抗原を提示させた樹状細胞を用いる免疫療法では、抗原提示能が特に高い未成熟な樹状細胞の選別に手間がかかる上、効果的な抗原ペプチドの選択に困難な面が多かった。

 本間氏らは、癌細胞に樹状細胞を融合させると、融合細胞が自ら、免疫療法の標的となる抗原を提示することに着目。放射線照射で増殖能を無くした癌細胞と樹状細胞を融合させ、2〜3週間に1回、患者の鼠径部に皮内注射した。1回当たりの投与細胞数は1〜2×106個。

 3回以上の接種が可能だった12人について、8週後の臨床成績を調べたところ二人は死亡、3人は腫瘍が増大(PD)した。しかし、3人は腫瘍の増大が止まり(SD)、4人で癌性腹水の減少や腫瘍マーカー値の低下、リンパ節転移の縮小、癌性疼痛の軽減などが認められたという。

 なお、対象患者の癌種は胃癌が3人、大腸癌が3人、乳癌が3人、卵巣癌が3人、類上皮肉腫が一人で、臨床病期は大半がステージ4。症状改善がみられたのは、胃癌と乳癌で二人ずつだった。副作用は、胃癌患者のうち二人が発熱したほか、大腸癌患者の一人で癌からの出血がみられたが、いずれも軽微だったという。

 融合細胞を用いる癌免疫療法の特徴は、従来の免疫療法と比べ、非常に反応が早い点だ。本間氏は「効果が出る人には、1カ月から1カ月半で、症状の改善が現れる。逆に、その時期までに反応が現れない人では、長期的に続けても効果は出ない」との印象を持っているという。こうした知見の地道な積み重ねから、真に臨床に資する免疫療法が開発されることを期待したい。

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