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2001.09.28

【日本心臓病学会速報】 AMIの再灌流障害予防を目的としたNicorandil注の試験結果の第1報が発表

 Nicorandil注の投与は急性心筋梗塞における再灌流障害の予防に役立つのか−−。その有効性などを検討するため、4施設共同で行っている無作為化比較試験の第1報を、松阪中央総合病院内科の北井珠樹氏らが9月25日、第49回日本心臓病学会学術集会のポスターセッションで発表した。同薬はカリウムイオンチャンネル開口作用により細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制し、血管拡張作用を示す薬剤。

 この試験では患者を、Nicorandil注を冠動脈内に投与する群(IC群)、Nicorandil注の冠動脈内投与と持続点滴を併用する群(IC+DIV群)、Nicorandil注を投与しない群(C群)の3群に分けて比較検討した。なお、併用薬剤や併用療法については一切制限していない。

 薬剤の投与法は以下の通り。IC群では、カテーテル・インターベンション実施直前から実施後にかけてNicorandilを1回0.5mgずつ、計1〜2mgとなるように冠動脈内に投与。また、IC+DIV群では、診断がつき次第、1mg/ml溶液4mlを静注し、1時間に6mlの割合で持続点滴を約15時間行う。加えて、IC群と同様に、再灌流直前から再灌流後にかけて1回0.5mgずつ、計1〜2mgとなるように冠動脈内に投与する。

 患者背景については、IC群が16人(平均年齢62.6歳、男性13人、女性3人)、IC+DIV群が16人(同60.4歳、男性11人、女性5人)、C群が14人(同64.2歳、男性9人、女性5人)。

 結果については、まず再灌流障害の発生率をみると、IC群は14.3%、IC+DIV群は23.1%、C群は30.8%。カテーテル・インターベンション後のクレアチンキナーゼ(CK)のピーク値は、IC群が1161.4mU/ml、IC+DIV群が3802.8mU/ml、C群が3646.0mU/mlだった。同じくCK-MBのピーク値は、IC群が213.6mU/ml、IC+DIV群が496.0mU/ml、C群が422.3mU/ml。すべてIC群が最も少なかったが、3群間に有意差はなかった。

 IC+DIV群の成績がおもわしくない理由を、北井氏は、「症例数が少ない中で、症状の重い患者が二人いたため」と説明した。また、「患者数が増えれば、はっきり差がでてくるのではないか」と北井氏が述べるように、現在の段階で有効性を論ずるのは難しいようだ。

 なお、慢性期の左室駆出率については、IC群が0.653、IC+DIV群が0.655、C群が0.600で、やはり有意差はなかった。北井氏は、「慢性期における左室壁運動などには、再灌流までの時間や投与された他の薬剤による関与の方が大きい可能性もある」との見方を示した。