2001.09.16

【日本骨粗鬆症学会速報】 変形性脊椎症と骨粗鬆症とは合併するか?、ワークショップで大激論

 骨粗鬆症と変形性脊椎症は対極にある疾患なのか、それとも合併し得るのか−−。9月14日に行われたワークショップ2「骨粗鬆症と変形性脊椎症」では、三洋骨粗鬆症研究所の内科医、岡本純明氏が「見かけ上の骨量から、両疾患を“対極”とする整形外科医の先入観は誤り」との持論を展開。大激論を巻き起こした。

 骨粗鬆症は、骨量が極端に減少して骨の微細構造が劣化し、圧迫骨折などを起こしやすくなった病態。女性に多く、脊椎X線像では円背や縦の骨梁が目立つ。一方の変形性脊椎症は、椎間板が薄くなって椎体間のすき間が狭まり、脊柱が不安定になる病態。男性に多く、脊柱X線像では側彎や、脊柱の不安定性を補うために椎骨が代償的に伸ばす「骨棘」が目立つ。こうした臨床的な特徴から、骨粗鬆症は「骨の老化」、変形性脊椎症は「椎間板(軟骨)の老化」と捉えられており、骨量が前者で減少、後者で増加を呈することから「対極の疾患」と位置付けられてきた。

 これに対し、岡本氏は「整形外科の教科書には、骨棘があれば変形性脊椎症であり、(対極の疾患である)骨粗鬆症は除外できるとの記述があるが、これは明らかな誤り」と主張。骨粗鬆症から椎体に圧迫骨折を起こし、その椎体が高度の骨棘を生じた症例を次々と示し、骨粗鬆症でも骨棘が生じる、つまり骨棘があっても骨粗鬆症は除外されないことを強調した。

 この状態を岡本氏は「OP-OA症候群」と名付けており、骨粗鬆症(OP)に変形性脊椎症(OA)が続発した状態と定義している。これを骨粗鬆症と変形性脊椎症の合併と捉えるべきかや、こうした病態がどの程度存在するのかについては、整形外科側にも見解の違いがあるようだ。

 兵庫医科大学整形外科の楊鴻生氏は、両疾患が合併し得ることを前提に、脊椎X線像から高齢者の脊椎病変を4分類(骨粗鬆症、脊椎症様骨粗鬆症、骨粗鬆症様脊椎症、変形性脊椎症)することを提案。両疾患の合併例(脊椎症様骨粗鬆症と骨粗鬆症様脊椎症)には、骨粗鬆症の治療(投薬など)と変形性脊椎症の治療(骨セメントなどを用いた脊椎の安定化、骨棘の除去手術など)の両方を適用すべきとした。

 一方、秋田大学整形外科の宮腰尚久氏は、臨床の場で両疾患の合併例はさほど多くないと指摘。その上で、変形性脊椎症の特徴とされる「骨棘」と「椎間板狭小化」をスコア化し、重症度を定量化することを提案した。このスコアを用いて変形性脊椎症症例を分析すると、大腿骨近位部など、骨棘などの変形性変化の影響を受けない部位でも、スコアの上昇に伴い骨量が増えることが判明。「変形性脊椎症と骨粗鬆症は、合併したり一方が続発的に生じるものではなく、対極する疾患である」とした。

 質疑応答やワークショップ後の自由討論では、岡本氏が整形外科教科書における「問題記述」や、教科書の「変形性脊椎症の定義の不明瞭さ」などを示す“挑発的なスライド”を提示したこともあり、発言を求める大御所が続出した。議論にはかみ合わない点も多かったが、反論は「骨粗鬆症に続発して生じる脊椎症様の病態と、原発性の変形性脊椎症とは別に論じるべき」との点にほぼ集約された。

 議論が拡散した背景には、「日常診療で診ている患者層の差(地域、職業、年齢等)」と「変形性脊椎症の定義のあいまいさ」があるようだ。しかし、合併があるにせよ、対極の疾患であるにせよ、患者側から見れば適切な診断、そして治療が必要なことは言うまでもない。骨粗鬆症学会などの専門医集団から、まずは実用的な診療指針が示されることを望みたい。


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