2001.09.04

【ESC学会速報】 極めて早期の血栓溶解療法、ダイレクトPCIと同等の有用性−−CAPTIM試験

 有症候性の虚血性心疾患患者に対する病院到着前の血栓溶解療法が、院内で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を直接行う「ダイレクトPCI」と同等に有用であるとする臨床試験結果が、9月2日のホットライン・セッションで報告された。フランスLouis Pradel循環器病院のP. Touboul氏が報告した「CAPTIM試験」の結果だ。

 血栓溶解療法とダイレクトPCIの比較は「GUSTO2b試験」で行われているが、その結果は「血栓溶解療法群で30日後の死亡、再梗塞が増加する傾向」というもの(NEJM;336,1621,1997)。血栓溶解療法を試みるよりも、すぐにPCIを行った方が、患者の予後が優れることを示唆していた。

 しかしGUSTO2b試験では、虚血性心疾患と診断されてから血栓溶解療法が行われるまでの間に、3時間が経過している。Touboul氏はこの点に着目、「より早期に実施すれば、血栓溶解療法はPCIよりも有用」との仮説の基にCAPTIM試験を実施した。

 対象は、移動式救急ユニットに収容された、心筋梗塞発症6時間以内の患者。全例にアスピリンとヘパリンを投与した後、通常のPCI群と、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を用いた病院到着前の血栓溶解療法群とに無作為に割り付けた。割付までにかかった時間は両群とも同じで、心筋梗塞発症から血栓溶解療法施行までの時間は2痔間10分、PCI施行までは3時間10分だった。

 その結果、1次評価項目である30日後の「死亡、心筋梗塞再発、あるいは障害の残る脳卒中」は、両群間で差を認めなかった(PCI群:6.2%、tPA群:8.2%、p=0.29)。2次評価項目では、tPA群で緊急経皮的冠動脈形成術(PTCA)が有意に多かったが、心原性ショックは逆にPCI群で若干増加する傾向が見られた。以上から、心筋梗塞発症後の治療として、極めて早期の血栓溶解療法はPCIと同等の有用性があることが明らかになった。

 しかし、もともとこの試験は、病院到着前の血栓溶解療法がPCIを超える有用性があるという仮説を証明するために行われたもの。それが「同等」という結果に終わった原因について、Touboul氏は、彼らが仮説の基にしたGUSTO2bと本試験では、本試験の方でPCIの臨床成績(死亡、再梗塞または障害の残る卒中発生率)が上回っていることを指摘。その背景因子として、GUSTO2b試験が行われた時代よりも現在の方が、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の処方頻度が増加していること点を挙げた。(指方 通、医療ライター)


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