2001.08.17

【日本骨代謝学会速報】 T細胞由来のIFNγが骨破壊を抑制、関節リウマチの骨破壊治療に光明

 慢性関節リウマチ(RA)の関節滑膜では、活性化したT細胞が炎症性サイトカイン産生などを通じて、破骨細胞分化因子であるRANKL(receptor activater of NF-κB ligand)の発現が促進されている。その結果、破骨細胞の分化が亢進して骨破壊の原因となっているが、同時にT細胞はインターフェロン(IFN)γを産生して破骨細胞分化を阻害する作用も持っていることが、分子レベルで明らかになった。

 これは、第19回日本骨代謝学会で、東京大学整形外科・免疫学の高柳広氏が8月10日に報告したもの。「IFNγの直接的臨床応用は困難だが、IFNγの骨破壊阻害作用を応用すれば、RAの骨破壊の治療法に道が開ける可能性がある」と高柳氏は今後を展望した。この報告は、骨代謝と免疫系を融合した新たな成果として注目される。

 活性化したT細胞は、マクロファージ系細胞からの腫瘍壊死因子(TNF)α、インターロイキン1(IL1)などの炎症性サイトカイン産生を促進して、線維芽細胞からのRANKLを発現を促し、破骨細胞を分化させている。一方、T細胞がRANKLを直接発現して破骨細胞分化を促進するとの報告もあるが、免疫系が活性化するたびに破骨細胞分化が促進しているとは考えにくいことなどから、高柳氏らは「T細胞は破骨細胞分化を抑制する機構も有する」と推測。IFNγ受容体欠損マウスと野生型マウスを用いて、活性化T細胞の破骨細胞分化に対する作用を検討した。

 その結果、活性化T細胞はIFNγを介して破骨細胞分化を抑制することが明らかになった。そのメカニズムを検討したところ、IFNγは破骨細胞前駆細胞内でRANKLシグナルを伝達するアダプター蛋白であるTRAF6(TNF receptor-associated factor 6)を、ユビキチン・プロテアソーム系を介して分解することがわかった。

 以上から高柳氏は「IFNγは、T細胞活性化に伴う骨破壊において、TRAF6を分解してRANKLシグナルを阻害することで、防御的に作用する。RA滑膜では、RANKLとIFN-γのバランスが崩れて破骨細胞分化が亢進、骨破壊が生じていると考えられる。TRAF6の機能や発現を抑制することで、RAなどの炎症性骨破壊への新たなアプローチが期待できる」と結んだ。(坂本正、日経メディカル開発)

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