2001.08.09

【日本骨代謝学会速報】 骨移植用骨材としての同種骨、依然高い臨床的意義−会長講演より

 骨腫瘍や外傷で骨が欠損した部位を、元通りに治す−−。骨形成蛋白(BMP)は、こうした夢をかなえる骨移植用骨材として脚光を浴びている。今期の学会長を務める名古屋共立病院リウマチ・人工関節センターの岩田久氏は、このBMP研究に早期から関わってきた一人だ。岩田氏は、8日に行われた会長講演で、BMP研究のこれまでの歩みを解説。併せて、BMPが臨床現場に登場した現在も、同種骨移植の臨床的意義は薄れていないことを強調した。

 BMPは、骨マトリックスに含まれる有機物質の0.1%を占める微量蛋白。間葉系細胞から軟骨細胞への分化を促進する作用がある。現在までにBMP-2〜BMP-9の8種が見つかっており、遺伝子組み替え手法を用いて大量生産も可能になった。

 しかし、岩田氏は「人工的に作製した組み替えBMPが、脱灰凍結乾燥骨材(DBM)など人骨由来の骨材に勝るとする確固たるデータは得られていない」と指摘。骨マトリックスにはBMPのほか、インスリン様成長因子(IGF)やトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)、線維芽細胞成長因子(FGF)など種々の成長因子が含まれており、骨移植の材料として人骨の臨床的な意義は依然として高いと強調した。

 米国では既に、人骨由来のDBMを添加した骨材が骨移植用に市販されている。しかし日本では、各医療機関が院内でDBMを作製し、骨移植に用いているという。このDBMの材料となる人骨は、手術の際に除去されたものや、献骨されたもの。わが国では、日本整形外科学会が1991年に「整形外科移植に関するガイドライン」を作成(1995年に一部改訂)。同学会が1996年に制定した「日本整形外科学会冷凍ボーンバンクマニュアル」に則り、現在では500カ所以上の医療機関が、院内に骨バンクを設置している。

 ただし、わが国の骨バンクのほとんどは、手術で切断された四肢などの骨を病院が独自に保存するというもの。地域内の複数の医療施設が協力し、亡くなった人から提供された献骨を保存する「地域骨バンク」は、岩田氏が理事長を務める愛知骨移植研究会の骨銀行など数カ所しかない。そのため、靭帯の再建や人工関節再置換など、同種骨移植の適応となる患者の多くは、移植を受けられずにいる。

 こうした現状の打開に向け、岩田氏らは「Bone Bank Network」の整備に着手している。これは、大腿骨頭など手術で除去されることの多い骨を医療機関の枠を越えて保存し、同種骨移植材料として役立てるというもの。医療機関が院内に持っている骨バンクを、広域でネットワーク化すれば実現できる。ネットワーク化に向けた第一段階として、岩田氏は「現在、患者へのインフォームド・コンセントや保存骨の質の管理などに関する、統一プロトコールの作成に取り組んでいる」と述べた。

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