処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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インビラーゼカプセル200mgの基本情報
基本情報
- HIV感染症
- サキナビルとして1回1000mgを1日2回、リトナビルとして1回100mgを1日2回、同時に、食後2時間以内に経口投与する
- 投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用する
副作用
注意事項
- 禁止
- B型肝炎
- QT延長
- 過敏症
- 肝硬変
- 肝疾患
- 低カリウム血症
- 低マグネシウム血症
- 先天性QT延長症候群
- C型肝炎
- ピモジド投与中
- アミオダロン投与中
- キニジン投与中
- トリアゾラム投与中
- ミダゾラム投与中
- リファンピシン投与中
- 重度肝機能障害
- エルゴタミン製剤投与中
- シンバスタチン投与中
- バルデナフィル投与中
- ベプリジル投与中
- フレカイニド投与中
- プロパフェノン投与中
- アゼルニジピン含有製剤投与中
- トラゾドン投与中
- ペースメーカーを装着していない完全房室ブロック
- 慎重投与
- 虚血性心疾患
- 血友病
- 心筋症
- 心疾患
- 不整脈
- 重度徐脈
- 著しい出血傾向
- 中等度肝機能障害
- 重度腎機能障害
- 注意
- 肝疾患
- 投与に際する指示
- 腎機能障害
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 慎重投与
- 高齢者
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- アミオダロン
- 血中濃度が増加
- フレカイニド
- 血中濃度が増加
- プロパフェノン
- 血中濃度が増加
- ベプリジル
- 血中濃度が増加
- キニジン
- 血中濃度が増加
- キニジン硫酸塩水和物
- 血中濃度が増加
- トラゾドン
- 血中濃度が増加
- ピモジド
- 血中濃度が増加
- バルデナフィル
- 血中濃度が増加
- アゼルニジピン
- 血中濃度が増加
- 抗不整脈剤
- 血中濃度が増加
- リドカイン<全身>
- 血中濃度が増加
- ジソピラミド
- 血中濃度が増加
- リファブチン
- 血中濃度が増加
- ベンゾジアゼピン系化合物
- 血中濃度が増加
- アルプラゾラム
- 血中濃度が増加
- クロラゼプ酸
- 血中濃度が増加
- フルラゼパム
- 血中濃度が増加
- ジアゼパム
- 血中濃度が増加
- カルシウム拮抗剤
- 血中濃度が増加
- フェロジピン
- 血中濃度が増加
- ニフェジピン
- 血中濃度が増加
- ニカルジピン
- 血中濃度が増加
- ジルチアゼム
- 血中濃度が増加
- ベラパミル
- 血中濃度が増加
- アムロジピン
- 血中濃度が増加
- ニソルジピン
- 血中濃度が増加
- HMG−CoA還元酵素阻害剤
- 血中濃度が増加
- アトルバスタチン
- 血中濃度が増加
- 免疫抑制剤
- 血中濃度が増加
- シクロスポリン
- 血中濃度が増加
- タクロリムス水和物
- 血中濃度が増加
- PDE5阻害薬
- 血中濃度が増加
- シルデナフィル
- 血中濃度が増加
- タダラフィル
- 血中濃度が増加
- 肝薬物代謝酵素<CYP3A4>の基質となる薬剤
- 血中濃度が増加
- キニーネ
- 血中濃度が増加
- フェンタニール
- 血中濃度が増加
- ミルタザピン
- 血中濃度が増加
- テムシロリムス
- 血中濃度が増加
- P糖蛋白の基質となる薬剤
- 血中濃度が増加
- アジスロマイシン
- 血中濃度が増加
- ジゴキシン
- 血中濃度が増加
- ダビガトラン
- 血中濃度が増加
- アミオダロン
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- フレカイニド
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- プロパフェノン
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- ベプリジル
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- キニジン
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- キニジン硫酸塩水和物
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- トラゾドン
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- ピモジド
- 重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>
- エルゴタミンを含有する製剤
- 血中濃度が増加し急性麦角中毒<末梢血管痙攣・四肢の虚血等>
- シンバスタチン
- 血中濃度が増加し横紋筋融解症等のミオパシー
- ミダゾラム
- 血中濃度が増加し持続的又は過度の鎮静・呼吸抑制
- トリアゾラム
- 血中濃度が増加し持続的又は過度の鎮静・呼吸抑制
- ミダゾラム
- クリアランスが減少し半減期が延長
- リファンピシン類
- 本剤のAUCが減少
- リファンピシン類
- 重度の肝細胞毒性
- デラビルジン
- サキナビルのAUCが348%・Cmaxが317%増加
- デラビルジン
- 併用開始後数週間に肝細胞酵素が上昇
- エファビレンツ
- サキナビル及びエファビレンツのAUC・Cmaxが減少
- ネビラピン
- サキナビルのAUCが24%減少
- インジナビル
- サキナビルのAUCが増加
- ネルフィナビル
- サキナビル及びネルフィナビルのAUCが増加
- ネルフィナビル
- 下痢
- アタザナビル
- サキナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ60%・42%増加
- アタザナビル
- リトナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ41%・34%増加
- ホスアンプレナビル
- サキナビルのAUCが19%・アンプレナビルのAUCが32%減少
- ホスアンプレナビル
- サキナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ15%・9%減少
- ロピナビル・リトナビル配合剤
- サキナビルのAUC・Cmaxが増加
- ロピナビル・リトナビル配合剤
- リトナビルのAUC・Cmaxは減少
- ワルファリン
- 血中濃度が変化
- 抗てんかん剤
- 本剤の血中濃度が減少
- カルバマゼピン
- 本剤の血中濃度が減少
- フェノバルビタール
- 本剤の血中濃度が減少
- フェニトイン
- 本剤の血中濃度が減少
- 三環系抗うつ剤
- 血中濃度を増加
- アミトリプチリン
- 血中濃度を増加
- イミプラミン
- 血中濃度を増加
- クラリスロマイシン
- 本剤及びクラリスロマイシンのAUC・Cmaxが増加
- エリスロマイシン
- サキナビルのAUCが99%・Cmaxが106%上昇
- ストレプトグラミン系抗生物質製剤
- 本剤の血中濃度が増加
- キヌプリスチン・ダルホプリスチン
- 本剤の血中濃度が増加
- 抗真菌剤
- 本剤のAUCを増加
- ケトコナゾール
- 本剤のAUCを増加
- イトラコナゾール
- 本剤のAUCを増加
- フルコナゾール
- 本剤のAUCを増加
- ミコナゾール
- 本剤のAUCを増加
- デキサメタゾン
- 本剤の血中濃度を減少
- フルチカゾン<経口吸入・経鼻>
- 全身曝露症状<クッシング症候群等>
- ブデソニド<経口吸入・経鼻>
- 全身曝露症状<クッシング症候群等>
- ラニチジン
- 食事のみの場合と比較してサキナビルのAUCが67%・Cmaxが74%増加
- HMG−CoA還元酵素阻害剤
- 筋障害の症状<筋脱力感・筋痛・CK<CPK>の上昇等>
- アトルバスタチン
- 筋障害の症状<筋脱力感・筋痛・CK<CPK>の上昇等>
- 経口避妊薬
- 血中濃度が減少
- エチニルエストラジオール
- 血中濃度が減少
- プロトンポンプ阻害剤
- サキナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ82%・75%増加
- オメプラゾール
- サキナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ82%・75%増加
- グレープフルーツジュース
- セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含むもの
- ニンニク成分を含むもの<にんにく(ガーリック) など>
処方理由
添付文書
HIV感染症。
サキナビルとして1回1000mgを1日2回、リトナビルとして1回100mgを1日2回、同時に、食後2時間以内に経口投与する。投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
リトナビル及び他の抗HIV薬との併用に際しては、併用薬剤の用法・用量、使用上の注意等を必ず確認する。
カプセル剤の承認取得時に実施されていた臨床試験40例において、副作用は18例(45.0%)に認められた。主な副作用は、LDH増加5件(12.5%)、ALT(GPT)増加4件(10.0%)、AST(GOT)増加3件(7.5%)、貧血3件(7.5%)であった。製造販売後の調査277例において、副作用は133例(48.0%)に認められた。主な副作用は、肝機能異常・肝障害32件(11.6%)、高トリグリセリド血症26件(9.4%)、高脂血症24件(8.7%)、下痢18件(6.5%)、悪心16件(5.8%)であった(再審査終了時)。
<参考:インビラーゼカプセルにおいて報告された国外の副作用>
国外における臨床第4相試験(MaxCmin1試験)において、サキナビル/リトナビル(1000mg/100mg)と少なくとも2剤の核酸系逆転写酵素阻害剤/非核酸系逆転写酵素阻害剤の併用群148例中104例(70.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢30件(20.3%)、悪心26件(17.6%)、疲労15件(10.1%)、嘔吐14件(9.5%)、腹痛11件(7.4%)、鼓腸11件(7.4%)等であった。
1.重大な副作用:次のような副作用が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
1).自殺企図、錯乱(以上頻度不明):自殺企図、錯乱などが現れることがあるので、患者の状態を十分に観察する。
2).痙攣、協調運動障害(以上頻度不明):痙攣、協調運動障害が現れることがあるので、観察を十分に行う。
3).膵炎(0.3%)、腸管閉塞、腹水(以上頻度不明):死亡にいたる膵炎や腸管閉塞、腹水などが現れることがあるので、定期的なアミラーゼ検査を行うなど、観察を十分に行う。
4).重度の肝機能障害(頻度不明)、肝炎(0.3%)、黄疸、門脈圧亢進(以上頻度不明):重度肝機能障害、肝炎、黄疸、門脈圧亢進が現れることがあるので、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行う。
5).高血糖(1.9%)、糖尿病(1.3%):糖尿病、高血糖が現れ、その中には重篤な症例やケトアシドーシスを伴っていた症例の報告があるので、このような症状が現れた場合には、インスリンや血糖降下剤の投与等適切な処置を行う。
6).汎血球減少症(0.3%)、溶血性貧血(頻度不明)、白血球減少症(1.3%)、好中球減少症(0.3%)、血小板減少症(2.2%):汎血球減少症、溶血性貧血、白血球減少症、好中球減少症、血小板減少症が現れることがあるので、観察を十分に行う。
7).出血(頻度不明):死亡にいたる頭蓋内出血や、出血性関節症、筋肉内出血、胃腸出血、硝子体出血、腹膜出血、耳下腺出血等の出血が現れることがあるので、観察を十分に行う。
8).血栓性静脈炎、末梢血管収縮(以上頻度不明):血栓性静脈炎、末梢血管収縮が現れることがあるので、観察を十分に行う。
9).急性骨髄性白血病(頻度不明):急性骨髄性白血病が現れることがあるので、観察を十分に行う。
10).皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群が現れることがあるので、観察を十分に行う。
11).腎結石症(頻度不明):腎結石症が現れることがあるので、観察を十分に行う。
12).無力症、多発性関節炎(以上頻度不明):無力症、多発性関節炎が現れることがあるので、観察を十分に行う。
2.その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。
1%以上:国内の臨床試験及び製造販売後調査の結果を合わせて算出した結果、1%以上の発現頻度であった副作用。
1%未満:国内の臨床試験及び製造販売後調査の結果を合わせて算出した結果、1%未満の発現頻度であるが、国外添付文書に記載のある副作用。
1).精神・神経:(頻度不明)錯感覚、傾眠、振戦、不安、うつ病、不眠症、性欲減退、精神病性障害、睡眠障害、(1%以上)味覚異常、感覚鈍麻、頭痛、(1%未満)浮動性眩暈、意識消失、末梢性ニューロパシー、嗜眠。
2).消化器:(頻度不明)嚥下障害、おくび、鼓腸、胃炎、口内乾燥、口唇乾燥、粘膜潰瘍、血中アミラーゼ増加、(1%以上)下痢(感染性下痢を含む)(5.7%)、悪心(5.7%)、嘔吐、(1%未満)腹痛、便秘、腹部不快感、消化不良、腹部膨満。
3).血液:(頻度不明)リンパ球数減少、(1%以上)貧血、(1%未満)リンパ節症、ヘモグロビン減少。
4).皮膚:(頻度不明)皮膚そう痒、ざ瘡、水疱性皮膚炎、紅斑、多汗症、蕁麻疹、(1%以上)発疹、(1%未満)皮膚乾燥、脱毛症。
5).抵抗機構:(頻度不明)インフルエンザ、乳頭腫、HIV消耗症候群。
6).肝臓:(頻度不明)肝腫大、(1%以上)肝機能異常・肝障害(10.1%)、ALT増加(GPT増加)、AST増加(GOT増加)、γ−GTP増加、LDH増加、Al−P増加、(1%未満)高ビリルビン血症。
7).内分泌・代謝:(頻度不明)低比重リポ蛋白増加、血中ブドウ糖減少、食欲亢進、脱水、(1%以上)高脂血症(7.6%)、高トリグリセリド血症(8.2%)、高コレステロール血症、高尿酸血症、食欲減退、リポジストロフィー(胸部脂肪増加、体幹部脂肪増加、末梢部脂肪減少、野牛肩、クッシング様顔貌)。
8).呼吸器:(頻度不明)気管支炎、副鼻腔炎、呼吸困難、(1%未満)肺炎、咳嗽。
9).循環器:(頻度不明)失神、心雑音、低血圧、(1%未満)高血圧。
10).筋・骨格:(頻度不明)筋痙縮、(1%未満)CK増加(CPK増加)、背部痛、関節痛、筋肉痛。
11).感覚器:(頻度不明)耳鳴、視力障害。
12).腎臓:(1%未満)血中クレアチニン増加。
13).その他:(頻度不明)過敏症、疲労、胸痛、(1%以上)発熱、(1%未満)浮腫、体重増加、倦怠感。
(禁忌)
1.本剤又はリトナビル製剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.重度肝機能障害のある患者[B型肝炎・C型肝炎又は肝硬変等の肝疾患のある患者で、本剤投与中に門脈圧の上昇や肝疾患が悪化し、中には重篤な転帰をたどったとの報告がある]。
3.QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)[QT延長や心室性不整脈を起こす恐れがある]。
4.低カリウム血症又は低マグネシウム血症のある患者[QT延長や心室性不整脈を起こす恐れがある]。
5.ペースメーカーを装着していない完全房室ブロックの患者。
6.次の薬剤を投与中の患者:アミオダロン投与中、フレカイニド投与中、プロパフェノン投与中、ベプリジル投与中、キニジン投与中、トラゾドン投与中、ピモジド投与中、エルゴタミン製剤投与中、シンバスタチン投与中、ミダゾラム投与中、トリアゾラム投与中、リファンピシン投与中、バルデナフィル投与中、アゼルニジピン含有製剤投与中。
(慎重投与)
1.血友病患者及び著しい出血傾向を有する患者[本剤投与により、突発性皮下血腫や出血性関節症等の出血事象増加が血友病患者で報告されている]。
2.中等度肝機能障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇する恐れがある]。
3.重度腎機能障害のある患者。
4.重度徐脈等の不整脈、心疾患(虚血性心疾患、心筋症等)のある患者[QT延長や心室性不整脈を起こす恐れがある]。
5.高齢者。
(重要な基本的注意)
1.本剤の使用に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用する。
1).本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医師に報告する。
2).本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明である。
3).本剤による治療が、性的接触又は血液汚染等による他者へのHIV感染の危険を減少させることは明らかではない。
4).本剤を空腹時に服用すると血中濃度が低くなり抗ウイルス作用を発揮できないことがあるため、本剤とリトナビルは食後2時間以内に同時に服用する。
5).用量依存性のQT延長、PR延長が起こる恐れがあるため、不整脈が疑われる徴候や症状(動悸、失神等)が現れた場合には、速やかに担当医師に報告する。
6).担当医師の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしない。
7).本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医師に報告する。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には、事前に担当医師に相談する。
2.本剤投与によりQT延長が起こる恐れがあることから、本剤の投与を開始する前に心血管系の状態に注意し、本剤投与中に不整脈の徴候が現れた場合には心電図検査を行い、QT延長、PR延長が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。
3.本剤を含むHIVプロテアーゼ阻害剤の投与により、糖尿病の発症又は糖尿病悪化が起こり、ケトアシドーシスに至った症例も報告されているため、定期的な検査等を行う。
4.抗HIV薬の使用により、体脂肪再分布/体脂肪蓄積が現れることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
5.本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ぶどう膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮する)。
6.リトナビルの用量の増加に伴い副作用が増加したとの報告がある。ときに、リトナビルとの併用により、重度の副作用、主に糖尿病性ケトアシドーシス、肝機能障害(特に肝疾患の既往歴のある患者)が報告されているので観察を十分に行う。
(相互作用)
本剤は、肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)によって代謝される。更に本剤はP−糖蛋白の基質である。これらと親和性のある薬剤の血中濃度に影響を与えることがある。
1.併用禁忌:
1).アミオダロン<アンカロン>、フレカイニド<タンボコール>、プロパフェノン<プロノン>、ベプリジル<ベプリコール>、キニジン(硫酸キニジン)、トラゾドン<デジレル、レスリン>、ピモジド<オーラップ>[併用薬剤の血中濃度が増加し、重篤又は生命に危険を及ぼすような心血管系の副作用<QT延長等>を起こす恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
2).エルゴタミン製剤<カフェルゴット等>[併用薬剤の血中濃度が増加し急性麦角中毒<末梢血管痙攣・四肢の虚血等>を起こす恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
3).シンバスタチン<リポバス>[併用薬剤の血中濃度が増加し横紋筋融解症等のミオパシーを起こす恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
4).ミダゾラム<ドルミカム>[併用薬剤の血中濃度が増加し持続的又は過度の鎮静・呼吸抑制を起こす恐れがあり、ミダゾラムのクリアランスが減少し半減期が延長したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
5).トリアゾラム<ハルシオン等>[併用薬剤の血中濃度が増加し持続的又は過度の鎮静・呼吸抑制を起こす恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
6).リファンピシン:
(1).リファンピシン<アプテシン、リファジン、リマクタン等>[本剤のAUCが減少したとの報告があるので、リファンピシンの投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおくことが望ましい(併用薬剤はチトクロームP450(CYP3A4)を誘導する)]。
(2).リファンピシン<アプテシン、リファジン、リマクタン等>[本剤/リトナビル/リファンピシンを併用した17例中11例(65%)が28日目までに重度の肝細胞毒性を発現したとの報告がある(併用薬剤はチトクロームP450(CYP3A4)を誘導する)]。
7).バルデナフィル<レビトラ>[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
8).アゼルニジピン含有製剤<カルブロック、レザルタス配合錠>[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
2.併用注意:
1).デラビルジン[サキナビルメシル酸塩(600mg1日3回)とデラビルジン(400mg1日3回)を併用した場合に、サキナビルのAUCが348%・Cmaxが317%増加したとの報告があり、また、併用患者の13%で併用開始後数週間に肝細胞酵素が上昇したとの報告があるため、定期的に肝機能検査を行うことが望ましい(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
2).エファビレンツ[サキナビルとエファビレンツを併用した場合に、サキナビル及びエファビレンツのAUC・Cmaxが減少したとの報告があり、サキナビル/リトナビル/エファビレンツ(1600/200/600mg1日1回)を併用した場合に、サキナビル/リトナビル(1600/200mg1日1回)併用した場合と比較して、サキナビルのAUC、Cmaxに影響がなかったとの報告があり、サキナビル/リトナビル/エファビレンツ(1200/100/600mg1日1回)を併用した場合又はサキナビルメシル酸塩/リトナビル(1000/100mg1日2回)とエファビレンツ(600mg1日1回)を併用した場合に、サキナビル、エファビレンツの血中濃度に影響がなかったとの報告がある(併用薬剤は、チトクロームP450(CYP3A4)を誘導する)]。
3).ネビラピン[サキナビルメシル酸塩(600mg1日3回)とネビラピン(200mg1日2回)を併用した場合に、サキナビルのAUCが24%減少したとの報告がある(併用薬剤は、チトクロームP450(CYP3A4)を誘導する)]。
4).インジナビル[サキナビルメシル酸塩とインジナビルを併用した場合に、サキナビルのAUCが増加したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
5).ネルフィナビル[サキナビルとネルフィナビルを併用した場合に、サキナビル及びネルフィナビルのAUCが増加したとの報告があり、併用により下痢が増加したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
6).アタザナビル[サキナビルメシル酸塩/リトナビル/アタザナビル(1600/100/300mg1日1回)を併用した場合に、サキナビルメシル酸塩/リトナビル(1600/100mg1日1回)を投与した場合と比較して、サキナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ60%・42%増加、リトナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ41%・34%増加したが、アタザナビルのAUC・Cmaxには影響をあたえなかったとの報告がある(機序不明)]。
7).ホスアンプレナビル:
(1).ホスアンプレナビル[サキナビル(800mg1日3回)とアンプレナビル(750又は800mg1日3回)を併用した場合に、サキナビルのAUCが19%・アンプレナビルのAUCが32%減少したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
(2).ホスアンプレナビル[サキナビルメシル酸塩/リトナビル(1000/100mg1日2回)とホスアンプレナビル(700mg1日2回)を併用した場合に、サキナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ15%・9%減少したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
8).ロピナビル・リトナビル配合剤:
(1).ロピナビル・リトナビル配合剤[サキナビル(1200mg1日2回)とロピナビル/リトナビル(400/100mg1日2回)を併用した場合に、サキナビル単独投与の場合と比較して、サキナビルのAUC・Cmaxが増加したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
(2).ロピナビル・リトナビル配合剤[サキナビル/ロピナビル/リトナビル(1000/400/100mg1日2回)を併用した場合に、サキナビル/リトナビル(1000/100mg1日2回)を投与した場合と比較して、リトナビルのAUC・Cmaxは減少したが、サキナビル、ロピナビルのAUC、Cmaxに影響はなかったとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
9).抗不整脈薬(リドカイン<全身投与>、ジソピラミド)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
10).抗凝固剤(ワルファリン)[併用薬剤の血中濃度が変化する恐れがあるので、併用する場合には、INRをモニタリングすることが望ましい(チトクロームP450(CYP3A4、CYP2C9)に対する競合による)]。
11).抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン)[本剤の血中濃度が減少する恐れがあるので、併用する場合には本剤の血中濃度の減少による本剤の効果の減少に注意する(併用薬剤はチトクロームP450(CYP3A4)を誘導する)]。
12).三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、イミプラミン)[併用薬剤の血中濃度を増加させる恐れがあるので、併用する場合には、併用薬剤の治療濃度をモニタリングすることが望ましい(チトクロームP450(CYP2D6)に対する競合による)]。
13).クラリスロマイシン[本剤及びクラリスロマイシンのAUC・Cmaxが増加したとの報告があるので、腎機能障害のある患者は、クラリスロマイシンを減量する:30≦Ccr≦60mL/分;クラリスロマイシンを50%減量、Ccr<30mL/分;クラリスロマイシンを75%減量(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
14).エリスロマイシン[HIV感染患者において、サキナビル(1200mg1日3回)とエリスロマイシン(250mg1日4回)を併用した場合に、サキナビルのAUCが99%・Cmaxが106%上昇したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
15).ストレプトグラミン系抗生物質(キヌプリスチン・ダルホプリスチン)[本剤の血中濃度が増加する恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
16).抗真菌薬(ケトコナゾール(国内では外用剤のみ)、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール)[本剤のAUCを増加させたとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
17).リファブチン[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
18).ベンゾジアゼピン系薬剤(アルプラゾラム、クロラゼプ酸、フルラゼパム、ジアゼパム)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがあるので、併用する場合には、患者の状態(鎮静効果)に注意し、必要に応じて併用薬剤の減量を考慮する(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
19).Ca拮抗薬(フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、アムロジピン、ニソルジピン)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがあるので、併用する場合には、患者の状態を注意して観察する(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
20).デキサメタゾン[本剤の血中濃度を減少させる恐れがあるので、併用する場合には本剤の血中濃度の減少による本剤の効果の減少に注意する(併用薬剤はチトクロームP450(CYP3A4)を誘導する)]。
21).フルチカゾン<経口吸入・経鼻>、ブデソニド<経口吸入・経鼻>[低用量のリトナビルの使用により、経口吸入・経鼻投与された併用薬剤の全身曝露症状<クッシング症候群等>が報告されている(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
22).H2受容体拮抗薬(ラニチジン)[サキナビルメシル酸塩(600mg)を食事とともにラニチジン(150mg1日2回)と併用した場合に、食事のみの場合と比較してサキナビルのAUCが67%・Cmaxが74%増加したとの報告がある(機序不明)]。
23).HMG−CoA還元酵素阻害薬(アトルバスタチン)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがあるので、併用時には、筋障害の症状<筋脱力感・筋痛・CK<CPK>の上昇等>に注意する(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
24).免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス水和物)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
25).経口避妊薬(エチニルエストラジオール)[併用薬剤の血中濃度が減少する恐れがあるので、併用する場合には、別の避妊方法を考慮する(機序不明)]。
26).PDE5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがあるので、併用する場合には、併用薬剤の副作用(血圧低下、視覚障害等)の増加に注意する(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
27).プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール等)[サキナビルメシル酸塩/リトナビル(1000/100mg1日2回)とオメプラゾール(40mg1日1回)を併用した場合に、サキナビルメシル酸塩/リトナビルのみの場合と比較して、サキナビルのAUC・Cmaxがそれぞれ82%・75%増加したとの報告があるので、併用する場合には、サキナビルの副作用発現に注意する(機序不明)]。
28).グレープフルーツジュース[サキナビルメシル酸塩(600mg)を1倍又は2倍濃縮のグレープフルーツジュースで単回投与した場合に、サキナビルのAUCがそれぞれ50%・100%増加したとの報告がある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
29).ニンニク成分含有製品:
(1).ニンニク成分含有製品[本剤の血中濃度が低下する恐れがあるので、本剤投与時は、ニンニク成分含有製品を摂取しないよう注意する(明確な機序は不明であるが、ニンニク成分により誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP450)が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている)]。
(2).ニンニク成分含有製品[サキナビル(1200mg1日3回)とニンニクカプセル(ニンニク約8gに相当する)を併用した場合に、サキナビルのAUCが51%減少、サキナビルの8時間後の平均トラフ値が49%減少、サキナビルのCmaxが54%減少したとの報告がある(明確な機序は不明であるが、ニンニク成分により誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP450)が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている)]。
30).セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する恐れがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意する(セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP450)が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている)]。
31).CYP3A4の基質となる薬剤(キニーネ、フェンタニル、ミルタザピン、テムシロリムス等)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがある(チトクロームP450(CYP3A4)に対する競合による)]。
32).P−糖蛋白の基質となる薬剤(アジスロマイシン、ジゴキシン、ダビガトラン等)[併用薬剤の血中濃度が増加する恐れがある(P−糖蛋白機能の阻害による)]。
(高齢者への投与)
高齢者へ投与する場合には、次の理由から、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
1.本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続する恐れがある。
2.本剤は、血漿蛋白結合率が高いが、高齢者では血漿アルブミンが減少していることが多いため、遊離の薬物の血中濃度が高くなる恐れがある。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
2.授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせる[本剤の乳汁中への移行については不明である]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない[使用経験が少ない]。
(過量投与)
過量投与が明白又は疑われた場合には、できるだけ速やかに催吐剤の投与又はできるだけ速やかに胃洗浄等の適切な処置を行う。
(保管上の注意)
遮光。
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