処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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バンコマイシン塩酸塩散0.5g「サワイ」の基本情報
基本情報
細菌の細胞壁合成を阻害し細菌を殺すことで抗菌作用をあらわす薬
- バンコマイシン
- タゴシッド
- 偽膜性大腸炎
- 感染性腸炎
- 骨髄移植時の消化管内殺菌
- 1.感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む):用時溶解し、バンコマイシン塩酸塩として、1回0.125〜0.5g(力価)を1日4回経口投与する
- なお、年齢、体重、症状により適宜増減する
- 2.骨髄移植時の消化管内殺菌:用時溶解し、バンコマイシン塩酸塩として、1回0.5g(力価)を非吸収性の抗菌剤及び抗真菌剤と併用して1日4〜6回経口投与する
- なお、年齢、体重、症状により適宜増減する
副作用
注意事項
- 禁止
- ショック
- 慎重投与
- 過敏症
- 腎障害
- 難聴
- 血液透析中でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の高齢者
- 腎機能障害が高度でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の高齢者
- 注意
- 腸管病変が重篤でかつ高度腎障害
- 腸管病変が重篤でかつ血液透析中
- 投与に際する指示
- 腎障害
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 希望禁止
- 授乳婦
- 慎重投与
- 高齢者
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
- 腎機能障害が高度でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の高齢者(65歳〜)
- 血液透析中でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- コレスチラミン<経口>
- 本剤の臨床効果が減弱
処方理由
この薬をファーストチョイスする理由(2022年5月更新)
・副作用も多い薬だが、皆が使い慣れている。回避方法や対応も比較的確立されており、効果も信頼できる。新規の抗MRSA薬は高薬価過ぎて使用できない。テイコプラニンは切れ味がバンコマイシンより劣る印象がある。(40歳代病院勤務医、消化器内科)
・古くからある薬で薬効が確か。トラフ値を計測する手間が面倒だが、裏返せば確実な効果を得るための方法が確認できるということであり、欠点にはならないと思われる。(40歳代病院勤務医、形成外科)
・血中濃度測定しながら調整可能なほか、使い慣れている。勤務先でバンコマイシンが第一選択と定められている。(30歳代病院勤務医、血液内科)
・よく使っているので使いやすく、副作用も腎機能障害、レッドマン症候群などよく分かっているので、対応しやすい。(40歳代病院勤務医、整形外科)
・バンコマイシンは抗MRSA薬の基本で、これを使いこなしてから他の薬剤を検討したほうが良いと思う。(40歳代病院勤務医、一般外科)
この薬をファーストチョイスする理由(2020年8月更新)
・有効血中濃度が狭くTDMを要するため、以前は使いにくい印象があり、リネゾリドに手が伸びることもあった。しかし最近では、血中濃度のシミュレーションを行える無料のソフトウェアが簡単に入手できるので、以前よりも投与量やTDMのタイミングに注意を払わなくてよくなり、使いやすくなったと感じる。(30歳代病院勤務医、消化器外科)
・MRSAに対してエビデンスがしっかりとある薬剤でありファーストチョイスになりますが、投与時のredman症候群、トラフ値測定、腎機能障害などの副作用については留意して使用しています。(30歳代病院勤務医、小児科)
・エビデンスが豊富で血中濃度をモニタリングしながら投与量の調整ができるところが良いと思いますので、初期治療では使用頻度が高いですが、重症例では組織移行の良いリネゾリドを検討します。(40歳代病院勤務医、呼吸器内科)
・やはり歴史があって使い方に慣れているという点で、第1選択として使っています。あとはときにザイボックスやキュビシンを選択することがあるくらいです。(20歳代病院勤務医、心臓血管外科)
この薬をファーストチョイスする理由(2018年12月更新)
・血中濃度が院内で測定でき量の調節ができること。抗MRSA薬は特定抗生物質に指定されており、ICTの許可がないと使用できませんが、ICTに相談するとたいがい第1選択としてバンコが勧められます。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・検査でMRSAは時々見られるのですが、コンタミネーションか保菌者で、本物の感染症は稀です。古典的なバンコマイシンを使っていますが、これで困ることはないです。(60歳代病院勤務医、呼吸器内科)
・使い慣れている、(たとえば髄膜炎では)ガイドラインに入っている、などが理由。臨床試験の成績などから、他剤より優れているということはないと思っている。(40歳代病院勤務医、神経内科)
・一番使用実績が高く、薬剤コストも他と比べて安い。ほかの抗MRSA薬はVCM耐性菌が出現したときのために残しておくべき。(30歳代病院勤務医、整形外科)
・やはり、腎機能障害には非常に気を使います。しかし、血中濃度をモニタリングできるので、そういう点では安心感があります。(30歳代病院勤務医、小児科)
この薬をファーストチョイスする理由(2017年5月更新)
・とにかく使い慣れており、副作用や移行性などについて蓄積されたデータが十分ある。ただし難治性肺炎にはリネゾリド、菌血症や深在性軟部組織感染症にはダプトマイシンを用いている。(60歳代病院勤務医、小児科)
・感染巣にもよるが、腎機能に問題がない場合はよく使っている。また値段の関係から第一選択になることが多い。(30歳代病院勤務医、代謝・内分泌内科)
・原則的にはバンコマイシンを処方している。ただし、腎機能などに懸念があるときはテイコプラニン、本剤が使用困難な状況ではザイボックスを使用している。(50歳代病院勤務医、内科系専門科)
・大学病院に勤務していた頃、TDMを行いつつバンコマイシンを使うように指示されていました。副作用の少なさではタゴシッドに分があると思うのですが、やはりエビデンスが豊富なことは大きいです。(40歳代診療所勤務医、循環器内科)
・後発品のおかげでかなり安価で使えるようになった。腎機能障害などの副作用に注意が必要ではあるが、TDMさえ行えば比較的安全に使用できると考えている。(30歳代病院勤務医、内科系専門科)
この薬をファーストチョイスする理由(2016年3月更新)
・使い慣れている。最近はタゴシットが減り、ザイボックス、キュビシンを早めに使う傾向です。(40歳代病院勤務医、整形外科)
・ザイボックスは効果があるのは知っていますが、DPCなので、疾患によってはザイボックスを使うと薬剤のコストだけで赤字になるので、バンコマイシンを優先して使います。(40歳代病院勤務医、呼吸器外科)
・使い慣れているし、テイコプラニンやアルベカシンより切れはいいと思う。(40歳代病院勤務医、麻酔科)
・BBBの透過性は悪い。バンコマイシンを使った後に効かなかったらザイボックスを使って事なきを得る事が多い。(40歳代病院勤務医、脳神経外科)
・使いやすいのはリネゾリドですが、MRSAの第1選択には不適当ですので血中濃度のモニタリングをしながらバンコマイシンを使用する。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・新しい薬も出ているが、バンコマイシンの方が吸収が良いことなどもあり、意外と見直している。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・濃度測定が面倒だがまず第1選択。最近組織移行性の観点からキュビシンが増えている。(40歳代病院勤務医、整形外科)
・ザイボックスにしたいところですが、耐性が早く出来ると困るんで、まずはバンコマイシンから使用する。効果がなければザイボックスを使う。(60歳代開業医、皮膚科)
・当院では抗MRSA薬はICTの承認が必要です。ICTの医師にコンサルとすると、たいていバンコマイシンをすすめられます。血中濃度も院内で測定できます。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・培養検査にて感受性(+)であることが多く、また著効することも多いため、必然的に処方頻度が高くなります。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・先行薬で最も歴史があり有害事象などのプロファイルが既知である。ただし分子量が大きく、骨髄炎等には不適。(50歳代病院勤務医、耳鼻咽喉科)
・やはり、安価であり効きやすいこと。もちろん副作用が多いということは重々承知していますが、まずはこれ。これでダメなら次、というふうにしています。(30歳代病院勤務医、総合診療科)
・使用経験が豊富、血中濃度がほぼリアルタイムでモニタリング可能、副作用の予測がしやすい。新規抗MRSA薬の耐性を誘導しないためにもバンコマイシンをメインで使用している。(30歳代病院勤務医、循環器内科)
・バンコマイシンは、TDMをきちんとすれば他剤以上の効果は期待できる。エビデンスがある。リネゾリドは軟部組織感染や肺炎にはよいかもしれないが、高価で骨髄抑制の副作用に注意が必要。テイコプラニンはよいかもしれないが、エビデンスは不足か。アルベカシンもデータ不足。ダプトマイシンは血流感染によいと思う。(50歳代病院勤務医、内科系)
・偽膜性腸炎などでよく使用します。敗血症の場合はリネゾリドやダプトマイシンを使用します。バンコマイシンは経口投与が可能でない患者さんには使用しずらい点があります。(30歳代病院勤務医、一般外科)
添付文書
1.感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)。
2.骨髄移植時の消化管内殺菌。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与する。
1.感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む):用時溶解し、バンコマイシン塩酸塩として、1回0.125〜0.5g(力価)を1日4回経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
2.骨髄移植時の消化管内殺菌:用時溶解し、バンコマイシン塩酸塩として、1回0.5g(力価)を非吸収性の抗菌剤及び抗真菌剤と併用して1日4〜6回経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の調節を行い、慎重に投与する。
2.本剤を感染性腸炎に投与するとき、7〜10日以内に下痢、腹痛、発熱等の症状改善の兆候が全くみられない場合は投与を中止する。
3.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、次のことに注意する。
1).感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行う。
2).原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性を確認する。
3).投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か否か判定し、疾病の治療上必要な最低限の期間の投与にとどめる。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).ショック:ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状(血圧低下、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴り、発汗等)が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2).注射用バンコマイシン塩酸塩製剤で、アナフィラキシー、急性腎障害、間質性腎炎、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎、薬剤性過敏症症候群、第8脳神経障害、偽膜性大腸炎、肝機能障害、黄疸が現れることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
2.その他の副作用(頻度不明)
1).過敏症:発熱、発疹、潮紅、悪寒、蕁麻疹、そう痒[症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
2).血液:好酸球増多、白血球減少、血小板減少、貧血。
3).肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇。
4).消化器:下痢、悪心・嘔吐、食欲不振。
5).腎臓:BUN上昇、クレアチニン上昇。
6).その他:口内炎、舌炎。
(警告)
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「用法・用量に関連する使用上の注意」の項を熟読の上、適正使用に努める。
(禁忌)
本剤の成分によるショックの既往歴のある患者。
(慎重投与)
1.本剤の成分又はペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.ペプチド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者[難聴が発現又は増悪する恐れがある]。
3.腎障害のある患者[重度の腸管炎症のある患者では、吸収され、蓄積する恐れがあり、バンコマイシン塩酸塩の静脈内投与で報告されているものと同様な副作用が発現する危険性があるので注意する]。
4.高齢者。
(重要な基本的注意)
偽膜性大腸炎等の腸管病変が重篤でかつ高度腎障害患者(腸管病変が重篤でかつ血液透析中等)では、本剤の経口投与により蓄積を起こす可能性があり、バンコマイシン塩酸塩の静脈内投与で報告されているものと同様な副作用が発現する危険性があるので注意する。
(相互作用)
併用注意:コレスチラミン<経口>[同時に投与すると本剤の臨床効果が減弱する恐れがあるので、数時間間隔をあけて投与する(コレスチラミンは腸管内でバンコマイシンと結合する)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているが、特に腎機能障害が高度でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の高齢者(血液透析中でかつ偽膜性大腸炎等の腸管病変が高度の高齢者等)では、吸収され、排泄が遅延して蓄積を起こす可能性があるので、腎機能等に注意して、慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
2.授乳中の婦人には、投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を中止する[静脈内投与により、ヒト母乳中への移行が認められている]。
(適用上の注意)
1.調製方法:本剤はバイアル入りの散剤(無菌)である。骨髄移植時の消化管内殺菌を目的とする場合は、注射器を用い5〜10mLの溶解液(注射用水等)で溶解する。
2.調製時:薬剤溶液そのままで服用しにくい場合には、単シロップ等で矯味してもよい。
3.服用時(骨髄移植時の消化管内殺菌を目的とする場合):骨髄移植時の消化管内殺菌を目的とする場合、用時溶解液は無菌のものを用い、溶解後は直ちに服用する。また、服用にあたっては骨髄移植時の消化管内殺菌を目的とする場合、口腔内殺菌のために薬剤溶液で十分含嗽した後飲用することが望ましい。
(取扱い上の注意)
安定性試験:バイアルに充填したものを用いた長期保存試験(25℃60%RH、2年間)の結果、通常の市場流通下において2年間安定であることが確認された。
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