処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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トラスツズマブBS点滴静注用60mg「NK」の基本情報
基本情報
がん細胞の増殖に関わるHER2という物質に結合することで、抗体依存性の細胞障害作用や細胞増殖のシグナル伝達抑制作用などにより、HER2が過剰発現しているがんへ抗腫瘍効果をあらわす薬
- ハーセプチン
- HER2過剰発現が確認された乳癌
- HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌
- HER2過剰発現が確認された乳癌にはA法又はB法を使用する
- HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用する
- A法:1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]として初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する
- B法:1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]として初回投与時には8mg/kg(体重)を、2回目以降は6mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する
- なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる
副作用
注意事項
- 禁止
- 過敏症
- 原則禁止
- 重篤な心障害
- 相対禁止
- 重篤な心障害
- 慎重投与
- 冠動脈疾患
- 狭心症
- 高血圧症
- 心筋梗塞
- 心不全症状
- アントラサイクリン系薬剤の前治療歴
- アントラサイクリン系薬剤投与中
- 安静時呼吸困難<肺転移・循環器疾患等による>
- 胸部へ放射線照射中
- 左室駆出率<LVEF>が低下
- コントロール不能な不整脈
- 臨床上重大な心臓弁膜症
- 注意
- アントラサイクリン系薬剤投与中
- 抗悪性腫瘍剤を併用
- 胸部への放射線照射との併用
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 慎重投与
- 高齢者
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- アントラサイクリン系薬剤
- 心障害
- アントラサイクリン系薬剤
- 心不全
- アントラサイクリン系薬剤
- 呼吸困難
- アントラサイクリン系薬剤
- 起座呼吸
- アントラサイクリン系薬剤
- 咳嗽
- アントラサイクリン系薬剤
- S3ギャロップ
- アントラサイクリン系薬剤
- 駆出率低下
- アントラサイクリン系薬剤
- 末梢性浮腫
- アントラサイクリン系薬剤
- 心原性ショック
- アントラサイクリン系薬剤
- 肺浮腫
- アントラサイクリン系薬剤
- 心嚢液貯留
- アントラサイクリン系薬剤
- 心筋症
- アントラサイクリン系薬剤
- 心膜炎
- アントラサイクリン系薬剤
- 不整脈
- アントラサイクリン系薬剤
- 徐脈
- アントラサイクリン系薬剤
- 心不全等の心障害が現れやすい
- 抗悪性腫瘍剤
- 急性白血病
- 抗悪性腫瘍剤
- 骨髄異形成症候群
- 抗悪性腫瘍剤
- MDS
- 骨髄抑制を有する抗悪性腫瘍剤
- 発熱性好中球減少の発現率が上昇
処方理由
添付文書
1.HER2過剰発現が確認された乳癌。
2.HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
1.HER2過剰発現の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施する。
2.HER2過剰発現が確認された胃癌の場合:
1).胃癌の場合、本剤による術後補助化学療法の有効性及び安全性は確立していない。
2).胃癌の場合、接合部領域における原発部位、組織型等に関して添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知し、適応患者の選択を行う。
HER2過剰発現が確認された乳癌にはA法又はB法を使用する。HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用する。
A法:1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]として初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。
B法:1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]として初回投与時には8mg/kg(体重)を、2回目以降は6mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。
なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法においては、次の点に注意する。
1).乳癌における術後補助化学療法においては、1年を超える投与の有効性及び安全性は確立していない。
2).乳癌における術後補助化学療法においては、本剤は添付文書の【臨床成績】の項を熟知した上で投与する。
2.HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌においては、次の点に注意する。
1).治癒切除不能な進行・再発の胃癌においては、本剤は、他の抗悪性腫瘍剤との併用により開始し、本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、選択する。
2).治癒切除不能な進行・再発の胃癌においては、併用する抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読する。
3.本剤を投与する場合に、何らかの理由により予定された投与が遅れた際には、次のとおり投与することが望ましい。
1).投与予定日より1週間以内の遅れで投与する際は、A法では2mg/kgを、B法では6mg/kgを投与する。
2).投与予定日より1週間を超えた後に投与する際は、改めて初回投与量(A法では4mg/kg、B法では8mg/kg)で投与を行う(なお、次回以降はA法では2mg/kgを1週間間隔で、B法では6mg/kgを3週間間隔で投与する)。
4.本剤の投与時には、日局注射用水(3.0mL)により溶解してトラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]21mg/mLの濃度とした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに日局生理食塩液250mLに希釈し、点滴静注する[ブドウ糖溶液と混合した場合、蛋白凝集が起こる]。
HER2陽性早期乳癌患者を対象とした国際共同第3相臨床試験において、本剤が投与された271例中、129例(47.6%)に副作用が認められた。主なものは注入に伴う反応(8.1%)、脱毛症(7.7%)、駆出率減少(7.0%)、好中球減少症(5.9%)、悪心(5.5%)、下痢(5.2%)、疲労(4.8%)、流涙増加(4.8%)、無力症(4.1%)、貧血(4.1%)、発疹(3.7%)、頭痛(3.7%)、口内炎(3.0%)、便秘(3.0%)であった。本試験に参加した日本人症例15例中、14例に副作用が認められ、主なものは便秘(40.0%)、悪心(33.3%)、脱毛症(26.7%)、斑状丘疹状皮疹(26.7%)、倦怠感(26.7%)、皮膚乾燥(20.0%)、爪変色(20.0%)、嘔吐(20.0%)、好中球数減少(20.0%)、背部痛(20.0%)、食欲不振(20.0%)であった(承認時)。
1.重大な副作用
1).心障害(10.7%*):心不全(症候:呼吸困難、起座呼吸、咳嗽等、症状・異常:S3ギャロップ、駆出率低下、末梢性浮腫等)、心原性ショック、肺浮腫、心嚢液貯留、心筋症、心膜炎、不整脈、徐脈等が本剤又は先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)において報告されているので、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて必ず心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察し、また、アントラサイクリン系薬剤投与中の患者では先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)投与により心障害の発現頻度が上昇することが報告されているので、特に注意し、異常が認められた場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与継続を検討し、適切な処置を行う(但し、症状が重篤な場合には、投与を中止し、適切な処置を行う)[*:乳癌における頻度]。
2).ショック、アナフィラキシー(頻度不明):低血圧、頻脈、顔面浮腫、眩暈、耳鳴、呼吸困難、喘息、喘鳴、血管浮腫、咽頭浮腫、気管支痙攣、呼吸不全、非心原性肺浮腫、胸水、低酸素症等が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
3).間質性肺炎・肺障害(頻度不明):間質性肺炎、肺線維症、肺炎(アレルギー性肺炎等を含む)、急性呼吸促迫症候群等の肺障害が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
4).白血球減少(2.6%*)、好中球減少(7.0%*)、血小板減少(0.4%*)、貧血(4.1%*):このような症状が現れることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行う[*:乳癌における頻度]。
5).肝不全、黄疸、肝炎、肝障害(頻度不明):このような症状が現れることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行う。
6).腎障害(頻度不明):腎不全、腎障害が現れることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行う。
7).昏睡、脳血管障害、脳浮腫(頻度不明):このような症状が現れることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行う。
8).敗血症(頻度不明):敗血症が現れることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行う。
9).腫瘍崩壊症候群(頻度不明):腫瘍崩壊症候群が現れることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察する。
2.その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて休薬等の適切な処置を行う。
1).精神神経系:(2%以上:乳癌における頻度)頭痛、(2%未満:乳癌における頻度)末梢性感覚ニューロパチー、味覚異常、浮動性眩暈、錯感覚、不眠症、(頻度不明)ニューロパチー、眩暈、傾眠、不安、うつ病、筋緊張亢進、思考異常、嗜眠、振戦、回転性眩暈、運動失調、不全麻痺、しびれ(しびれ感)、感覚鈍麻。
2).消化器:(2%以上:乳癌における頻度)悪心、下痢、便秘、口内炎、嘔吐、食欲不振、(2%未満:乳癌における頻度)う歯、痔出血、腹痛、上腹部痛、消化不良、(頻度不明)口内乾燥、嚥下障害、胃炎、腸炎、口腔内潰瘍形成、鼓腸。
3).循環器:(2%以上:乳癌における頻度)動悸、(2%未満:乳癌における頻度)頻脈、高血圧、潮紅、低血圧、(頻度不明)血管拡張、熱感、起立性低血圧、リンパ浮腫、ほてり。
4).呼吸器:(2%以上:乳癌における頻度)鼻出血、(2%未満:乳癌における頻度)呼吸困難、鼻漏、咳嗽、(頻度不明)しゃっくり、喘息、胸水、咽喉頭疼痛、気管支炎、鼻乾燥、鼻潰瘍、鼻部不快感。
5).血液:(頻度不明)ヘモグロビン減少、プロトロンビン減少。
6).皮膚:(2%以上:乳癌における頻度)脱毛症、斑状・丘疹状皮疹、発疹、皮膚そう痒症、(2%未満:乳癌における頻度)皮膚乾燥、ざ瘡、爪変色、そう痒性皮疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、紅斑、蕁麻疹、皮膚炎、全身性皮疹、(頻度不明)爪障害、皮膚色素沈着障害、発汗、爪破損、皮膚亀裂。
7).肝臓:(2%未満:乳癌における頻度)ALT上昇、AST上昇、Al−P上昇。
8).腎臓:(頻度不明)腎クレアチニンクリアランス減少、中毒性ネフロパシー、排尿困難。
9).眼:(2%以上:乳癌における頻度)流涙増加、(2%未満:乳癌における頻度)結膜炎、(頻度不明)霧視、視力障害。
10).その他:(2%以上:乳癌における頻度)無力症、疲労、筋肉痛、発熱、上気道感染(鼻炎、鼻咽頭炎、咽頭炎、副鼻腔炎等)、(2%未満:乳癌における頻度)倦怠感、関節痛、末梢性浮腫、インフルエンザ、背部痛、骨痛、悪寒、LDH上昇、乳房痛、無月経、筋骨格痛、筋痙縮、脱水、高クレアチニン血症、粘膜炎症、胸部不快感、(頻度不明)疼痛、体重減少、インフルエンザ様疾患、胸痛、低カリウム血症、低ナトリウム血症、難聴、浮腫、口腔カンジダ症、耳鳴、過敏症、感染症、頚部痛、尿路感染症、低アルブミン血症、体重増加、膀胱炎、丹毒、帯状疱疹、蜂巣炎、四肢痛、冷感、粘膜乾燥、筋骨格硬直。
副作用の頻度は、HER2陽性早期乳癌患者を対象とした国際共同第3相臨床試験に基づき算出した。
頻度不明:本剤のHER2陽性早期乳癌患者を対象とした国際共同第3相臨床試験では認められておらず、先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)の副作用情報であるため頻度不明とした。
(警告)
1.本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施する。適応患者の選択にあたっては、本剤及び各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意する。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与する。
2.心不全等の重篤な心障害が現れ、死亡に至った例も先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)において報告されているので、必ず本剤投与開始前には、患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察する。特に次の患者については、心機能検査(心エコー等)を頻回に行う。
1).アントラサイクリン系薬剤投与中の患者又はアントラサイクリン系薬剤の前治療歴のある患者[心機能検査(心エコー等)を頻回に行う]。
2).胸部へ放射線照射中の患者[心機能検査(心エコー等)を頻回に行う]。
3).心不全症状のある患者[心機能検査(心エコー等)を頻回に行う]。
4).冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者[心機能検査(心エコー等)を頻回に行う]。
5).高血圧症の患者又はその既往歴のある患者[心機能検査(心エコー等)を頻回に行う]。
3.本剤投与中又は本剤投与開始後24時間以内に多く現れるInfusion reactionのうち、アナフィラキシー、肺障害等の重篤な副作用(気管支痙攣、重度血圧低下、急性呼吸促迫症候群等)が発現し死亡に至った例が先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)において報告されており、これらの副作用は、特に安静時呼吸困難<肺転移・循環器疾患等による>のある患者又はその既往歴のある患者において重篤化しやすいので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与する。
(禁忌)
本剤の成分又は他のトラスツズマブ製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
(原則禁忌)
次の患者については、本剤投与による有益性と危険性を慎重に評価する:重篤な心障害のある患者。
(慎重投与)
1.アントラサイクリン系薬剤投与中の患者又はアントラサイクリン系薬剤の前治療歴のある患者[心不全等の心障害が現れやすい]。
2.胸部へ放射線照射中の患者[心不全等の心障害が現れやすい]。
3.心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者[症状が悪化する恐れがある]。
4.左室駆出率<LVEF>が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、臨床上重大な心臓弁膜症のある患者[症状が悪化する恐れがある]。
5.冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者[症状が悪化する恐れがあり、又は心不全等の心障害が現れやすい]。
6.高血圧症の患者又はその既往歴のある患者[心不全等の心障害が現れやすい]。
7.安静時呼吸困難<肺転移・循環器疾患等による>のある患者又はその既往歴のある患者[Infusion reactionが重篤化しやすい]。
8.高齢者。
(重要な基本的注意)
1.心不全等の重篤な心障害が現れることがあるので、必ず本剤投与開始前には、患者の心機能を確認し、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開、あるいは中止を判断する。また、胸部への放射線照射との併用時には、放射線の適切な治療計画を設定した上で、心障害の発現に留意する。
2.本剤投与中又は投与開始後24時間以内に多く現れるInfusion reaction(症状:発熱、悪寒、悪心、嘔吐、疼痛、頭痛、咳嗽、眩暈、発疹、無力症等)が約40%の患者において報告されており(先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)のHER2過剰発現が確認された転移性乳癌の承認時)、これらの症状は、通常軽度〜中等度で主に本剤の初回投与時に現れやすいので、患者の状態を十分に観察し異常が認められた場合には、適切な処置(解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤の投与等)を行うとともに症状が回復するまで患者の状態を十分に観察する。
3.Infusion reactionのうち、アナフィラキシー、肺障害等の重篤な副作用(気管支痙攣、重度血圧低下、急性呼吸促迫症候群等)が発現し死亡に至った例が先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)において報告されているので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置(酸素吸入、β−アゴニスト・副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察し、また、本剤投与中にこれらの異常が認められた場合には直ちに投与を中止する。なお、このような症状が現れた患者において再投与の可否を判断する基準は確立していない。
4.Infusion reactionの発現回避等を目的とした前投薬(抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤等)に関する有用性は確認されていない。
5.HER2過剰発現が確認された乳癌における術前補助化学療法<A法・B法>、術後補助化学療法のA法及び転移性乳癌のB法に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」等)を熟読する。
6.本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているトラスツズマブ エムタンシン及びトラスツズマブ デルクステカンとの取り違えに注意する。
(高齢者への投与)
高齢者では生理機能が低下しているので、特に心機能、肝機能・腎機能検査、血液検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、本剤投与により胎児に影響を及ぼす可能性があることを十分説明し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与し、妊娠する可能性のある婦人には、本剤投与中、適切な避妊法を用いるよう指導する(また、本剤投与終了後も最低7カ月間は避妊するよう指導する)[先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)を投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告があり、また、羊水過少を発現した症例で、胎児腎不全・新生児腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている(先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)の動物実験(サル)において、胎盤通過(1、5、25mg/kg反復投与)が報告されているが、胎仔への影響は報告されていない)]。
2.授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせる[先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)の動物実験(サル)において、乳汁への移行(25mg/kg反復投与)が報告されている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
(適用上の注意)
1.調製時:
1).本剤の調製時には、次記の換算式により投与に必要な抜き取り量を算出する。
<体重あたりの換算式>
A法:
初回:抜き取り量(mL)=体重(kg)×4(mg/kg)÷21(mg/mL)。
2回目以降:抜き取り量(mL)=体重(kg)×2(mg/kg)÷21(mg/mL)。
B法:
初回:抜き取り量(mL)=体重(kg)×8(mg/kg)÷21(mg/mL)。
2回目以降:抜き取り量(mL)=体重(kg)×6(mg/kg)÷21(mg/mL)。
(添付文書の末尾に、抜き取り量の目安を掲載している)。
2).調製時には、日局注射用水、日局生理食塩液以外は使用しない。
3).溶解時は静かに転倒混和し、ほぼ泡が消えるまで数分間放置する[本剤はポリソルベートを含有しているので、泡立ちやすい]。
4).用時調製し、調製後は速やかに使用する(また、残液は廃棄する)。
2.投与時:
1).他剤<日局注射用水・日局生理食塩液以外>との混注をしない。
2).ブドウ糖溶液との混合を避け、本剤とブドウ糖溶液の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わない[本剤と5%ブドウ糖溶液を混合した場合、蛋白凝集が起こる]。
3).点滴静注のみとし、静脈内大量投与、急速静注をしない。
(その他の注意)
1.本剤投与により抗トラスツズマブ抗体が出現したとの報告(340例中2例)があるが、当該症例において副作用は認められなかった。
2.先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
3.無作為化比較試験にて、他の骨髄抑制を有する抗悪性腫瘍剤に先行バイオ医薬品(トラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤)を併用した場合、その抗悪性腫瘍剤単独と比較し発熱性好中球減少の発現率が上昇したとの報告がある。
(保管上の注意)
2〜8℃に保存、密封容器。
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