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アフィニトール分散錠2mgの基本情報
基本情報
がん細胞の増殖や血管の新生などに必要な物質の働きを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
- トーリセル
- アフィニトール
- 結節性硬化症
- 1.成人の結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の場合:エベロリムスとして10mgを1日1回、用時、水に分散して経口投与する
- なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する
- 2.前記以外の場合:エベロリムスとして3.0mg/㎡を1日1回、用時、水に分散して経口投与する
- なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する
副作用
注意事項
- 禁止
- 過敏症
- 慎重投与
- 肝機能障害
- 感染症
- 結核
- 肝炎ウイルス感染
- 肺に間質性陰影
- 小児の肝機能障害
- 注意
- 肝機能障害
- B型肝炎ウイルスキャリア
- 肝炎ウイルスキャリア
- HBs抗原陰性
- 投与に際する指示
- 肝機能障害
- 禁止
- 妊婦・産婦
- 慎重投与
- 幼児・小児
- 高齢者
- 注意
- 幼児・小児
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
- 小児の肝機能障害(0歳〜14歳)
- 注意
- 小児(0歳〜14歳)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- 生ワクチン
- 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症
- 麻疹ワクチン
- 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症
- 風疹ワクチン
- 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症
- 経口生ポリオワクチン
- 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症
- BCGワクチン
- 免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症
- リファンピシン類
- 本剤の血中濃度が低下
- リファブチン
- 本剤の血中濃度が低下
- 抗てんかん剤
- 本剤の血中濃度が低下
- フェノバルビタール
- 本剤の血中濃度が低下
- フェニトイン
- 本剤の血中濃度が低下
- カルバマゼピン
- 本剤の血中濃度が低下
- HIV感染症治療薬
- 本剤の血中濃度が低下
- エファビレンツ
- 本剤の血中濃度が低下
- ネビラピン
- 本剤の血中濃度が低下
- 副腎皮質ホルモン剤
- 本剤の血中濃度が低下
- デキサメタゾン
- 本剤の血中濃度が低下
- プレドニゾロン
- 本剤の血中濃度が低下
- アゾール系抗真菌剤
- 本剤の血中濃度が上昇
- イトラコナゾール
- 本剤の血中濃度が上昇
- ボリコナゾール
- 本剤の血中濃度が上昇
- フルコナゾール
- 本剤の血中濃度が上昇
- マクロライド系抗生物質
- 本剤の血中濃度が上昇
- エリスロマイシン
- 本剤の血中濃度が上昇
- クラリスロマイシン
- 本剤の血中濃度が上昇
- カルシウム拮抗剤
- 本剤の血中濃度が上昇
- ベラパミル
- 本剤の血中濃度が上昇
- ニカルジピン
- 本剤の血中濃度が上昇
- ジルチアゼム
- 本剤の血中濃度が上昇
- HIVプロテアーゼ阻害剤
- 本剤の血中濃度が上昇
- ネルフィナビル
- 本剤の血中濃度が上昇
- インジナビル
- 本剤の血中濃度が上昇
- ホスアンプレナビル
- 本剤の血中濃度が上昇
- リトナビル
- 本剤の血中濃度が上昇
- オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
- 本剤のAUCが27倍・Cmaxが4.7倍に上昇
- 不活化ワクチン
- 効果が得られない
- インフルエンザワクチン
- 効果が得られない
- シクロスポリン
- 本剤のバイオアベイラビリティが有意に増加
- ミダゾラム
- Cmaxが25%・AUCが30%上昇
- グレープフルーツジュース
- セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含むもの
- 薬の代謝に影響する食品
処方理由
添付文書
結節性硬化症。
<効能又は効果に関連する使用上の注意>
1.成人腎血管筋脂肪腫、上衣下巨細胞性星細胞腫及びてんかん部分発作の場合、臨床試験に組み入れられた患者の腫瘍径やてんかん発作型等について、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行う。
2.成人腎血管筋脂肪腫、上衣下巨細胞性星細胞腫及びてんかん部分発作以外の症状に対する本剤の有効性及び安全性は確立していないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮する。
3.てんかん部分発作の場合、本剤単剤での投与及び抗てんかん薬で十分な効果が認められる患者に対する本剤の併用投与における有効性及び安全性は確立していない。
1.成人の結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の場合:エベロリムスとして10mgを1日1回、用時、水に分散して経口投与する。なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する。
2.前記以外の場合:エベロリムスとして3.0mg/㎡を1日1回、用時、水に分散して経口投与する。なお、患者の状態やトラフ濃度により適宜増減する。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
1.結節性硬化症に伴う成人腎血管筋脂肪腫及び上衣下巨細胞性星細胞腫に対する本剤の使用は、原則として、アフィニトール錠の服用ができない場合とする。
2.食後に本剤を投与した場合、Cmax低下及びAUC低下するとの報告がある。本剤の投与時期は、臨床試験における設定内容に準じて選択し、食後又は空腹時のいずれか一定の条件で投与する。
3.成人腎血管筋脂肪腫以外の場合は、本剤の全血中濃度を測定し、血中トラフ濃度が5〜15ng/mLとなるように投与量を調節する。
4.成人腎血管筋脂肪腫の場合は必要に応じて本剤の全血中濃度を測定し、血中トラフ濃度が5〜15ng/mLとなるように投与量を調節する。
5.血中トラフ濃度は、本剤の投与開始又は用量変更から2週間後を目安に測定するとともに、本剤の血中濃度に影響を及ぼす患者の状態に応じて適宜測定を行う。
6.本剤とアフィニトール錠の生物学的同等性は示されていないので、本剤とアフィニトール錠の切り替えに際しては、切り替えから2週間後を目安に血中トラフ濃度を測定する。
7.間質性肺疾患が発現した場合は、症状、重症度等に応じて、次の基準を考慮して、減量、休薬又は中止する。
間質性肺疾患に対する減量、休薬及び中止基準:
1).間質性肺疾患のグレード1<無症候性の画像所見>:投与継続。
2).間質性肺疾患のグレード2<症候性:日常生活に支障なし>:症状が改善するまで休薬し、投与を再開する場合は、半量の投与とする。
3).間質性肺疾患のグレード3<症候性:日常生活に支障あり・酸素療法を要する>:本剤の投与を中止し、原則として再開しない(但し、症状が改善し、かつ治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、半量の投与で再開可能とする)。
4).間質性肺疾患のグレード4<生命を脅かす:人工呼吸を要する>:投与中止。
グレード:NCI−CTCAE v.3.0。
8.肝機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるため、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意する。また、本剤の血中トラフ濃度に基づいて投与量を調節する。
結節性硬化症又は孤発性リンパ脈管筋腫症に伴う腎血管筋脂肪腫(孤発性リンパ脈管筋腫症に伴う腎血管筋脂肪腫は未承認)患者を対象とした第3相国際共同臨床試験において、本剤投与112例(日本人10例を含む)中、副作用は111例(99.1%)にみられた。主な副作用は、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)79例(70.5%)、感染症64例(57.1%)、高コレステロール血症34例(30.4%)、ざ瘡29例(25.9%)、出血(膣出血、網膜出血、メレナ、血尿等)23例(20.5%)、無月経18例(16.1%)、疲労17例(15.2%)、白血球減少17例(15.2%)、高脂血症15例(13.4%)、低リン酸血症15例(13.4%)、下痢14例(12.5%)、悪心13例(11.6%)、末梢性浮腫13例(11.6%)、不規則月経13例(11.6%)、頭痛12例(10.7%)、血中コレステロール増加12例(10.7%)等であった(2015年2月カットオフ)。
結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象とした第2相海外臨床試験において、本剤投与28例中、副作用は28例(100%)にみられた。主な副作用は、感染症28例(100%)、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)26例(92.9%)、ざ瘡8例(28.6%)、発熱8例(28.6%)、ざ瘡様皮膚炎7例(25.0%)、下痢6例(21.4%)、高トリグリセリド血症5例(17.9%)、血中コレステロール増加4例(14.3%)、血中トリグリセリド増加4例(14.3%)、咳嗽4例(14.3%)、蛋白尿4例(14.3%)、好中球減少3例(10.7%)、鼻漏3例(10.7%)等であった(2014年1月カットオフ)。
結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫患者を対象とした第3相海外臨床試験において、本剤投与111例中、副作用は99例(89.2%)にみられた。主な副作用は、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)74例(66.7%)、感染症52例(46.8%)、好中球減少16例(14.4%)、高コレステロール血症13例(11.7%)、血中コレステロール増加13例(11.7%)、発熱12例(10.8%)等であった(2014年10月カットオフ)。
結節性硬化症に伴うてんかん発作に対する第3相国際共同臨床試験において、本剤投与361例(日本人35例を含む)中、副作用は314例(87.0%)にみられた。主な副作用は、口内炎(口腔内潰瘍等を含む)240例(66.5%)、感染症131例(36.3%)、下痢40例(11.1%)、発熱40例(11.1%)等であった(2017年10月カットオフ)。
これらの臨床試験で現れていない副作用については頻度不明とした。
1.重大な副作用
1).間質性肺疾患(11.6%):間質性肺疾患(肺臓炎、間質性肺炎、肺浸潤、胞隔炎、肺胞出血、肺毒性等を含む)が現れることがあり、未回復のまま死亡に至った例が報告されているので、投与開始後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には、症状に応じて休薬又は減量するなど適切な処置を行う。
2).感染症(28.9%):細菌、真菌、ウイルスあるいは原虫による重篤な感染症(ニューモシスチス肺炎を含む肺炎、アスペルギルス症、カンジダ症、敗血症等)が発現又は重篤な感染症悪化(ニューモシスチス肺炎悪化を含む肺炎悪化、アスペルギルス症悪化、カンジダ症悪化、敗血症悪化等)や日和見感染が発現又は日和見感染悪化することがあり、死亡に至った症例が報告されており、また、B型肝炎ウイルス再活性化により肝不全に至り、死亡した症例が報告されている(更に、結節性硬化症患者を対象とした臨床試験において、6歳未満の患者で感染症の頻度及び重篤度が高くなったとの報告がある)、これらの感染症の診断がされた場合、直ちに本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行う。侵襲性全身性真菌感染の診断がされた場合、直ちに本剤の投与を中止し、適切な抗真菌剤を投与し、この場合は、本剤の投与は再開しない。
3).腎不全(0.9%):重篤な腎障害が現れることがあり、腎不全が急速に悪化した例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬又は投与を中止し、適切な処置を行う。
4).高血糖(8.6%)、糖尿病の発症又は増悪(2.7%):高血糖の発現、糖尿病が発症又は糖尿病増悪することがあるので、定期的に空腹時血糖値の測定を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬又は減量するなど適切な処置を行う。
5).貧血(14.1%)、ヘモグロビン減少(2.1%)、白血球減少(4.9%)、リンパ球減少(3.8%)、好中球減少(6.7%)、血小板減少(8.6%):貧血、ヘモグロビン減少、白血球減少、リンパ球減少、好中球減少、血小板減少が現れることがあるので定期的に血液検査(血球数算定等)を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬又は減量するなど適切な処置を行う(なお、血小板減少が生じた結果、消化管出血等の出血に至った症例も報告されている)。
6).口内炎(62.1%):口内炎、口腔粘膜炎及び口腔内潰瘍等が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬又は減量するなど適切な処置を行う。
7).アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー(呼吸困難、顔面紅潮、胸痛、血管浮腫等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
8).急性呼吸窮迫症候群(0.1%):急性呼吸窮迫症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
9).肺塞栓症(0.3%)、深部静脈血栓症(0.2%):肺塞栓症、深部静脈血栓症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行う。
10).悪性腫瘍(二次発癌)(0.1%未満):悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚悪性腫瘍)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
11).創傷治癒不良:創傷治癒不良(0.2%)や創傷治癒不良による創傷感染(0.1%)、瘢痕ヘルニア(頻度不明)、創離開(0.1%未満)等の合併症が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
12).進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):進行性多巣性白質脳症(PML)が現れることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状が現れた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行う。
13).BKウイルス腎症(頻度不明):BKウイルス腎症が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
14).血栓性微小血管障害(頻度不明):溶血性尿毒症症候群(HUS:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする)、血栓性血小板減少性紫斑病様症状(TTP様症状)(血小板減少、微小血管性溶血性貧血、腎機能障害、精神症状を主徴とする)等の血栓性微小血管障害が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
15).肺胞蛋白症(頻度不明):肺胞蛋白症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
16).心嚢液貯留(0.3%):心嚢液貯留が現れることがあるので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
2.その他の副作用
1).代謝・栄養:(頻度不明)血中カリウム増加、(10%以上)食欲減退、高コレステロール血症、(1%〜10%未満)低リン酸血症、脱水、低カリウム血症、高トリグリセリド血症、高脂血症、低比重リポ蛋白増加(LDL増加)、(1%未満)鉄欠乏、低血糖症。
2).精神・神経系:(10%以上)味覚異常、(1%〜10%未満)頭痛、不眠症、(1%未満)激越、味覚消失、攻撃性、痙攣。
3).眼:(1%〜10%未満)結膜炎。
4).心血管系:(1%〜10%未満)高血圧、(1%未満)うっ血性心不全。
5).呼吸器:(10%以上)咳嗽、(1%〜10%未満)鼻出血、呼吸困難、(1%未満)喀血、咽頭炎症。
6).消化器:(10%以上)下痢、悪心、(1%〜10%未満)嘔吐、口内乾燥、腹痛、消化不良、鼓腸、便秘、歯肉炎、(1%未満)胃腸潰瘍、嚥下障害、胃炎。
7).肝臓:(1%〜10%未満)AST増加(GOT増加)、ALT増加(GPT増加)、γ−GTP増加、Al−P増加、(1%未満)血中ビリルビン増加。
8).皮膚:(頻度不明)白血球破砕性血管炎、(10%以上)発疹(紅斑、丘疹、斑状丘疹状皮疹、全身性皮疹、斑状皮疹)、(1%〜10%未満)皮膚そう痒症、皮膚乾燥、手足症候群、ざ瘡、爪障害、ざ瘡様皮膚炎、(1%未満)血管浮腫。
9).筋骨格系:(1%〜10%未満)関節痛。
10).腎臓・泌尿器:(1%〜10%未満)血中クレアチニン増加、蛋白尿、(1%未満)昼間頻尿。
11).生殖器:(1%〜10%未満)不規則月経、無月経、(1%未満)月経過多、月経遅延、男性性腺機能低下(テストステロン減少、黄体形成ホルモン増加、卵胞刺激ホルモン増加)、卵巣嚢胞、無精子症。
12).全身症状:(10%以上)疲労、無力症、浮腫、(1%〜10%未満)体重減少、発熱、粘膜炎症、(1%未満)胸痛、易刺激性、歩行障害。
13).その他:(頻度不明)血中IgG減少、(1%〜10%未満)LDH増加、*出血(*膣出血、*網膜出血、*メレナ、*血尿等)[*:出血の各事象の発現頻度は1%未満であった]、(1%未満)血中フィブリノゲン減少、高クレアチン血症、APTT延長、血中アルブミン減少。
(警告)
1.本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、結節性硬化症治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ投与する。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った例があること等に関する情報)を十分に説明し、同意を得てから投与を開始する。
2.アフィニトールの投与により、間質性肺疾患が認められており、死亡に至った例が報告されているので、投与に際しては咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状に注意するとともに、投与前及び投与中は定期的に胸部CT検査を実施し、また、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討する。
3.肝炎ウイルスキャリアの患者で、アフィニトールの治療期間中に肝炎ウイルス再活性化により肝不全に至り、死亡した例が報告されており、本剤投与期間中又は治療終了後は、劇症肝炎又は肝炎増悪、肝不全が発現する恐れがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意する。
4.本剤とアフィニトール錠の生物学的同等性は示されていないので、切り替えに際しては、血中濃度を測定する。
(禁忌)
1.本剤の成分、シロリムス又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
(慎重投与)
1.肺に間質性陰影を認める患者[間質性肺疾患が発症、重症化する恐れがある]。
2.感染症を合併している患者[免疫抑制により感染症が悪化する恐れがある]。
3.肝機能障害のある患者[血中濃度が上昇する恐れがある。小児の肝機能障害のある患者への使用経験はない]。
4.高齢者。
5.肝炎ウイルス感染、結核等の感染又は既往を有する患者[再活性化する恐れがある]。
(重要な基本的注意)
1.間質性肺疾患が現れることがあるので、投与開始前及び投与開始後は次の点に注意する。また、患者に対し、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状が現れた場合には、直ちに連絡するよう指導する。
1).投与開始前:間質性肺疾患が現れることがあるので、投与開始前に胸部CT検査を実施し、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状の有無と併せて、投与開始の可否を慎重に判断する。
2).投与開始後:間質性肺疾患が現れることがあるので、定期的に胸部CT検査を実施し、肺の異常所見の有無を慎重に観察し、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状がみられた患者で、感染、腫瘍及びその他の医学的な原因が適切な検査で除外された場合には、間質性肺疾患の診断を考慮し、必要に応じて肺機能検査(肺拡散能力[DLCO]、酸素飽和度等)及び追加の画像検査を実施する。本剤による間質性肺疾患が疑われた場合には、適切な処置を行う。
なお、小児に対する胸部CT検査の実施に際しては、診断上の有益性と被曝による不利益を考慮する。
2.本剤の免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルスあるいは原虫による感染症が発現又は感染症悪化や日和見感染が発現又は日和見感染悪化することがあり、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者においてB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎が現れることがある。本剤投与により、肝炎ウイルス再活性化、結核再活性化等することがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置をしておき、本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意する。
3.重篤な腎障害が現れることがあるので、本剤の投与開始前及び投与開始後は定期的に血清クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)等の腎機能検査及び尿蛋白等の尿検査を行う。
4.高血糖が現れることがあるので、投与開始前及び投与開始後は定期的に空腹時血糖値の測定を行い、また、本剤の投与を開始する前に血糖値を適切にコントロールしておく。
5.ヘモグロビン減少、リンパ球減少、好中球減少及び血小板減少が現れることがあるので、本剤の投与開始前及び投与開始後は定期的に血液検査(血球数算定等)を行う。
(相互作用)
本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝され、腸管に存在するCYP3A4によっても代謝され、また、本剤はP糖蛋白(Pgp)の基質でもあるため、本剤経口投与後の吸収と消失は、CYP3A4又はPgpに影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられるので、CYP3A4阻害作用を有する薬剤あるいはCYP3A4誘導作用を有する薬剤又はPgp阻害作用を有する薬剤あるいはPgp誘導作用を有する薬剤については、他の類薬に変更する又は当該薬剤を休薬する等を考慮し、CYP3A4に影響を及ぼす薬剤又はPgpに影響を及ぼす薬剤との併用は可能な限り避ける。また、CYP3A4に影響を及ぼす薬剤又はPgpに影響を及ぼす薬剤を併用したり中止する場合は、必ず本剤の血中トラフ濃度を測定し、投与量を調節する。
1.併用禁忌:生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)[免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症する恐れがあるので併用しない(免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性を現す可能性がある)]。
2.併用注意:
1).リファンピシン、リファブチン[本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用し、やむを得ず併用する場合には、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮する(これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる)]。
2).抗てんかん薬(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン等)、抗HIV剤(エファビレンツ、ネビラピン等)、副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン等)[本剤の血中濃度が低下する恐れがあるので、併用する場合には、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮する(これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる)]。
3).アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、フルコナゾール等)[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用し、やむを得ず併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意する(代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる)]。
4).マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)、カルシウム拮抗剤(ベラパミル、ニカルジピン、ジルチアゼム等)、HIVプロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビル、インジナビル、ホスアンプレナビル、リトナビル等)[本剤の血中濃度が上昇する恐れがあるので、併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意する(代謝酵素(CYP3A4等)の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる)]。
5).オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル[本剤のAUCが27倍・Cmaxが4.7倍に上昇したとの報告があるので、やむを得ない場合を除き併用は避けるが、やむを得ず併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意する(リトナビルのCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害される)]。
6).不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチン等)[ワクチンの効果が得られない恐れがある(免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られない恐れがある)]。
7).セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)[本剤の血中濃度が低下する恐れがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意する(セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる)]。
8).グレープフルーツジュース[本剤の血中濃度が上昇する恐れがあるので、本剤服用時は飲食を避ける(グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる)]。
9).シクロスポリン[本剤のバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告があるので、併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意する(代謝酵素(CYP3A4等)の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる)]。
10).ミダゾラム(経口剤:国内未販売)等[ミダゾラム(経口剤:国内未販売)との併用により、ミダゾラムのCmaxが25%・AUCが30%上昇したとの報告がある(本剤がCYP3A4の基質となる薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない(妊娠可能な婦人には、本剤投与期間中及び治療終了から最低8週間は適切な避妊法を用いるよう指導する)[動物実験(ラット及びウサギ)で胚毒性・胎仔毒性を含む生殖発生毒性が認められたとの報告がある]。
2.本剤投与中は授乳を避けさせる[動物実験(ラット)において乳汁中に移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児又は乳児に対する安全性は確立していない(臨床試験において使用経験はない)。
(過量投与)
進行性固形癌患者に最大70mgが単回投与されているが、過量によると考えられる症状は特に認められなかった。過量投与が発生した場合は、一般的な処置と対症療法を行う。
(適用上の注意)
1.服用時:コップ等を使用する場合は、本剤を約25mLの水に分散して服用し、コップ等の底に本剤が残った場合は、再度同量の水で分散して服用する。シリンジを使用する場合は、シリンジ内で約5mLの水に分散して服用し、シリンジ内に本剤が残った場合は、再度同量の水で分散して服用する。なお、本剤を噛み砕いたり、丸ごと飲み込んだりしない。
2.薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(その他の注意)
ラットを用いた雄性授胎能試験では、0.5mg/kg以上の用量で精巣の形態に影響が認められたほか、5mg/kg用量(治療量の範囲内)で精子運動能減少、精子数減少及び血漿中テストステロン濃度減少し、これに伴って雄の授胎能が低下した(これらの所見は休薬による回復傾向がみられた)。
(保管上の注意)
光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存する。
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