処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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トリノシンS注射液10mgの基本情報
基本情報
体内のエネルギー供給物質であるATP(アデノシン三リン酸)を主な成分とする製剤で、血管拡張作用により血流や組織代謝などを改善することで、心不全によるむくみなどの改善、眼精疲労や胃炎の改善、メニエール病などによるめまいやその随伴症状(耳鳴り、難聴など)などの改善が期待できる薬
- アデホス
- トリノシン
- 調節性眼精疲労の眼調節機能の安定化
- 耳鳴
- 急性灰白髄炎
- 筋ジストロフィー症
- 進行性脊髄性筋萎縮症
- 心不全
- 頭部外傷後遺症の諸症状の改善
- 難聴
- 慢性胃炎の消化管機能低下
- 慢性肝疾患の肝機能の改善
- 脳性小児麻痺<弛緩型>
- 1.アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物として、1回5〜40mgを1日1〜2回、等張ないし高張ブドウ糖注射液に溶解して、徐々に静脈内注射する
- 2.アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物として、1回40〜80mgを1日1回、5%ブドウ糖注射液200〜500mLに溶解し、30〜60分かけて点滴静脈内注射する
- 3.アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物として、1回5〜40mgを1日1〜2回筋肉内又は皮下注射する
副作用
注意事項
- 禁止
- 脳出血直後
- 希望禁止
- 妊婦・産婦
- 乳児
- 幼児・小児
- 注意
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 高齢者
- 投与に際する指示
- 高齢者
- 希望禁止
- 乳児(0日〜364日)
- 幼児(0歳〜6歳)
- 小児(0歳〜14歳)
- 注意
- 低出生体重児(0日〜27日)
- 新生児(0日〜27日)
- 高齢者(65歳〜)
- 投与に際する指示
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- ジピリダモール
- ATP分解物であるアデノシンの血中濃度を上昇
- ジピリダモール
- 心臓血管に対する作用を増強
処方理由
この薬をファーストチョイスする理由(2022年3月更新)
・めまい、耳鳴患者によく使う、副作用も特に出にくいので使いやすい。(30歳代診療所勤務医、耳鼻咽喉科)
・上室性頻脈の時に、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物を使う事がある。嘔気などの副作用が出る事があるが、効果は良いと思う。(40歳代病院勤務医、小児科)
・めまいに対する対症薬として処方する機会が多いので必然的に一番多くなってしまう。(30歳代病院勤務医、腎臓内科)
・「メニエール病及び内耳障害に基づくめまい」に効能または効果があるから。(40歳代開業医、耳鼻咽喉科)
・効果は不明だが、めまい、難聴の際に少しでも改善することを期待して処方している。(30歳代診療所勤務医、耳鼻咽喉科)
この薬をファーストチョイスする理由(2020年7月更新)
・めまい治療薬としてよく処方して使い慣れているため、第一選択としています。(60歳代病院勤務医、一般内科)
・耳鳴りで処方されることが多いが、正直特に効いている感じがしない。ただ特に副作用もなく、現状維持ができるので処方している。(60歳代病院勤務医、放射線科)
・めまいの際に処方して改善はすることが多いですが、薬効なのか自然の軽快なのかはわかりません。(40歳代病院勤務医、脳神経内科)
・メニエール病や急性低音障害型感音難聴等の治療に重宝している。(40歳代開業医、耳鼻咽喉科)
・めまいの患者に使用する。大きな副作用なし。(50歳代病院勤務医、代謝・内分泌内科)
この薬をファーストチョイスする理由(2018年11月更新)
・耳鼻科領域ではメニエール病を中心とした末梢性めまい疾患に有効であり多用している。また顔面神経麻痺や耳管開放症にも多く処方する。副作用は少なく他の薬剤との相互作用もほとんどないため非常に使いやすい。(40歳代病院勤務医、耳鼻咽喉科)
・副作用があまりない。不整脈疾患など特になければ使用している。眩暈に対して効果を認めることが多く、左記事情からも非常に使いやすい。(20歳代病院勤務医、小児科)
・めまい患者にしばしば処方します。とくに副作用は気にならず、効果もあるようです。(50歳代病院勤務医、脳神経外科)
・これが一番使いやすい。アマンタジンは別の効能で処方している。(60歳代病院勤務医、内科系診療科)
・突発性難聴、顔面神経麻痺、めまいや耳鳴にも使えて幅広い(50歳代病院勤務医、耳鼻咽喉科)
・副作用が少なく、使い慣れている。(50歳代病院勤務医、一般内科)
添付文書
1.次記疾患に伴う諸症状の改善:頭部外傷後遺症。
2.心不全。
3.筋ジストロフィー症及びその類縁疾患。
4.急性灰白髄炎。
5.脳性小児麻痺<弛緩型>。
6.進行性脊髄性筋萎縮症及びその類似疾患。
7.調節性眼精疲労における眼調節機能の安定化。
8.耳鳴・難聴。
9.消化管機能低下のみられる慢性胃炎。
10.慢性肝疾患における肝機能の改善。
1.アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物として、1回5〜40mgを1日1〜2回、等張ないし高張ブドウ糖注射液に溶解して、徐々に静脈内注射する。
2.アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物として、1回40〜80mgを1日1回、5%ブドウ糖注射液200〜500mLに溶解し、30〜60分かけて点滴静脈内注射する。
3.アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物として、1回5〜40mgを1日1〜2回筋肉内又は皮下注射する。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用
ショック様症状(頻度不明)が現れることがあるので胸内苦悶、悪心、顔面潮紅、咳、吃逆、熱感等が現れた場合には投与を中止する。
2.その他の副作用(頻度不明)
1).消化器:悪心・嘔吐、食欲不振。
2).循環器:一過性動悸。
3).精神神経系:頭痛。
(禁忌)
脳出血直後の患者[脳血管拡張により、再出血など出血を増悪させる恐れがある]。
(相互作用)
併用注意:ジピリダモール[ジピリダモールはATP分解物であるアデノシンの血中濃度を上昇させ、心臓血管に対する作用を増強するとの報告があるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意する(ジピリダモールのアデノシン取り込み抑制作用により、ATP分解物であるアデノシンの血中濃度が上昇する)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意する[外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある(本剤は添加物としてベンジルアルコールを含有している)]。
(適用上の注意)
1.静脈内注射時:ゆっくり(10mgを1〜2分で)静脈内に投与する(急速に投与すると、一過性胸内苦悶、悪心、頭痛、顔面潮紅、咳、吃逆、発熱等が現れることがある)。
2.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に配慮する。
1).筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意する。
2).筋肉内注射時、繰り返し注射する場合には、例えば左右交互に注射するなど、注射部位をかえて行う。なお、乳児・幼児・小児には筋肉内注射を連用しないことが望ましい。
3).注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
3.アンプルカット時:本剤はアンプルカット時にガラス微小片混入の少ないワンポイントカットアンプルを使用しているので、ヤスリを用いずアンプル頭部のマークの反対方向に折り取る。なお、アンプルカット時にはカット部分をエタノール綿等で清拭し、カットすることが望ましい。
(その他の注意)
本剤を急速静注した場合に気管支痙攣を誘発したとの報告がある。
(取扱い上の注意)
1.安定性試験:最終包装製品を用いた長期保存試験(15℃、3年)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内であり、トリノシンS注射液10mg、20mgは冷所において3年間安定であることが確認された。
2.使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用する。
(保管上の注意)
冷所。
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