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カーボスター透析剤・Lの基本情報
基本情報
- 慢性腎不全の透析型人工腎臓の灌流液
- 用時、本剤のB剤1容に対し水26容を加えて希釈し、この希釈液34容に対してA剤1容を加えて希釈して用いる
- 用量は、透析時間により異なるが、灌流液として150〜300Lを用いる
副作用
注意事項
- 慎重投与
- ジギタリス配糖体製剤投与中
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- ジギタリス剤
- ジギタリス中毒
処方理由
添付文書
慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として、次の要因を持つものに用いる:無糖の透析液では、血糖値管理の困難な場合、カリウム、マグネシウム濃度の高い透析液では、高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合、カルシウム濃度の高い透析液では、高カルシウム血症を起こす恐れのある場合。
用時、本剤のB剤1容に対し水26容を加えて希釈し、この希釈液34容に対してA剤1容を加えて希釈して用いる。用量は、透析時間により異なるが、灌流液として150〜300Lを用いる。
臨床試験症例128例中6例(4.7%)に自他覚的副作用が認められた。また、臨床検査値の異常は46.9%(60例/128例)に認められ、主なものは、血液pH上昇33.6%(43例/128例)、カルシウムイオン減少15.6%(20例/128例)、血中重炭酸塩増加8.6%(11例/128例)であった(承認時)。
その他の副作用:次のような症状が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。
1.循環器:(0.1〜5%未満)血圧低下、(頻度不明)*ショック、*血圧上昇[*:透析療法により起こる恐れのある副作用]。
2.呼吸器:(5%以上)PO2低下。
3.代謝異常・電解質異常:(5%以上)血液pH上昇、カルシウムイオン減少、カルシウムイオン増加、血中重炭酸塩増加、(0.1〜5%未満)血中重炭酸塩減少、血中ブドウ糖増加、(頻度不明)*低カリウム血症、*低血糖、*骨粗鬆症、*骨軟化症、*線維性骨炎、*異所性石灰沈着症[*:透析療法により起こる恐れのある副作用]。
4.肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇[透析療法により起こる恐れのある副作用]。
5.消化器:(頻度不明)口渇[透析療法により起こる恐れのある副作用]。
6.その他:(0.1〜5%未満)悪心、頭痛、(頻度不明)*不均衡症候群(*意識混濁、*痙攣、*悪心、*嘔吐、*頭痛、*不快、*倦怠等)[*:透析療法により起こる恐れのある副作用]。
(慎重投与)
ジギタリス配糖体製剤投与中の患者[血清カリウム値低下によるジギタリス中毒発症の恐れがある]。
(重要な基本的注意)
本剤は慢性腎不全に対する通常の血液透析に使用するが、次の事項を考慮して使用する。
1.本剤はブドウ糖を含む製剤であるので、ブドウ糖を含まない透析液では、透析中血糖値の急激な低下等、良好な血糖コントロールの困難な場合に使用する。
2.本剤はカリウム、カルシウム、マグネシウム濃度の低い製剤であるので、次のような場合に使用する、1)カリウム、マグネシウム濃度の高い透析液では、高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合に使用する、2)活性型ビタミンD3製剤等の薬剤の使用中で、血液透析による多量のカルシウム付加を必要とせず、カルシウム濃度の高い透析液では、高カルシウム血症を起こす恐れのある場合に使用する。
3.透析中や透析後に過度のアルカローシスとなることがあり、嘔気・嘔吐などの症状や、長期的には異所性石灰化を起こす恐れがあるので観察を十分に行う。
4.長期使用する場合には、次の事項を考慮して使用する。
1).透析中や透析後に低カルシウム血症を引き起こす恐れがあるので観察を十分に行う。
2).透析中や透析後に血中クエン酸濃度上昇する恐れがあるので観察を十分に行う。
3).透析中や透析後にPO2低下及びPCO2上昇が起こる恐れがあるので観察を十分に行う。
(高齢者への投与)
使用にあたっては、他の患者と同様に本剤の特性に十分に留意し、長期使用する場合には、骨合併症が現れることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査、骨塩量測定など)を行い、活性型ビタミンD3製剤の投与などの適切な処置を行う。また、アルミニウム骨症の高齢者は、骨塩量が低下することがあるので、骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度の高い透析液を用いるなど、適切な処置を行う。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊娠中の使用に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用する。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
(適用上の注意)
1.投与経路:本剤は注射又は腹膜灌流に用いない。
2.透析用水:透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照する。
3.調製時:
1).A剤(電解質・ブドウ糖溶液)とB剤(炭酸水素ナトリウム溶液)は各々単独では使用しない。また、両液の濃厚液は直接混合しない。
2).本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液は速やかに使用する。
3).定められた希釈液として調製する。希釈濃度が不正確な場合は、次のような症状が現れることがあるので注意する。特にB剤の希釈濃度が高すぎた場合は、急性代謝性アルカローシスを起こし、テタニー、意識障害、精神障害、呼吸抑制、悪心・嘔吐等が現れることがある。
濃度が高すぎた場合:代謝性アルカローシス、意識障害、血圧上昇、動悸、頭痛。
濃度が低すぎた場合:意識障害、急激な血圧低下、胸内苦悶、全身倦怠、四肢のしびれ感。
4).使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認する。
5).透析液の浸透圧比が0.9〜1.1の範囲にあることを確認する。浸透圧比は生理食塩液の浸透圧に対する透析液の浸透圧測定値の比より求める。
6).透析液のpHは透析用水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpH7.5〜8.0の範囲内にあることを確認する。
7).残液は使用しない。
4.使用時:
1).血清浸透圧と透析液浸透圧とのバランスを保つ。
2).使用に際しては、体温程度に温める。
3).透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しない。
(その他の注意)
本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、酸・塩基平衡、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、血糖等)を行うことが望ましい。
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