日経メディカル処方薬事典データ協力:株式会社メドレー

基本情報
薬効分類
PDE5阻害薬(肺高血圧症治療薬)詳しく見る
- 血管平滑筋におけるcGMPの分解酵素(PDE5)を阻害することで、血管弛緩作用をあらわし肺動脈圧や肺血管抵抗などを改善する薬
PDE5阻害薬(肺高血圧症治療薬)の代表的な商品名
- レバチオ
- アドシルカ
効能・効果詳しく見る
- 肺動脈性肺高血圧症
注意すべき副作用詳しく見る
頭痛、潮紅、浮動性眩暈、筋痛、浮腫、ほてり、動悸、低血圧、胸痛、失神
用法・用量(主なもの)詳しく見る
- 1日1回タダラフィルとして40mgを経口投与する
禁忌・原則禁忌
- 病気や症状に応じた注意事項
- 過敏症
- 重度肝障害
- 重度腎障害
- 硝酸剤投与中
- 一酸化窒素<NO>供与剤投与中
- チトクロームP450・3A4<CYP3A4>を強く阻害する薬剤投与中
- CYP3A4を強く誘導する薬剤長期的投与中
- 可溶性グアニル酸シクラーゼ<sGC>刺激剤投与中
副作用
主な副作用
頭痛、潮紅、浮動性眩暈、筋痛、浮腫、ほてり、動悸、低血圧、胸痛、失神、レイノー現象
重大な副作用
過敏症、発疹、蕁麻疹、顔面浮腫、剥脱性皮膚炎、Stevens−Johnson症候群
上記以外の副作用
血腫、心不全、霧視、眼充血、視覚障害、回転性眩暈、眼乾燥、眼痛、結膜出血、視力低下、眼異常感、下痢、悪心、消化不良、胃食道逆流性疾患、嘔吐、上腹部痛、腹部膨満、胃炎、口内乾燥、鼓腸、腹部不快感、胃不快感、AST増加、背部痛、四肢痛、筋痙縮、関節痛、関節炎、筋骨格硬直、四肢不快感、睡眠障害、うつ病、下肢静止不能症候群、感覚鈍麻、錯感覚、月経過多、鼻閉、鼻出血、呼吸困難、副鼻腔うっ血、皮膚そう痒症、貧血、INR増加、末梢性浮腫、体重増加、疲労、挫傷、疼痛、腫脹、食欲不振、貪食細胞性組織球症、高血圧、心筋梗塞、心突然死、頻脈、非動脈炎性前部虚血性視神経症、網膜静脈閉塞、視野欠損、腹痛、脳卒中、片頭痛、持続勃起症、勃起延長、多汗症
注意事項
病気や症状に応じた注意事項
- 禁止
- 過敏症
- 重度肝障害
- 重度腎障害
- 硝酸剤投与中
- 一酸化窒素<NO>供与剤投与中
- チトクロームP450・3A4<CYP3A4>を強く阻害する薬剤投与中
- CYP3A4を強く誘導する薬剤長期的投与中
- 可溶性グアニル酸シクラーゼ<sGC>刺激剤投与中
- 希望禁止
- 肺静脈閉塞性疾患
- 慎重投与
- 消化性潰瘍
- 多発性骨髄腫
- 白血病
- 網膜色素変性症
- Peyronie病
- 陰茎屈曲
- 陰茎構造上欠陥
- 陰茎線維化
- 鎌状赤血球性貧血
- 持続勃起症の素因となり得る疾患
- 出血性疾患
- 低血圧[血圧<90/50mmHg]
- 脳梗塞の既往歴が最近6カ月以内
- 脳出血の既往歴が最近6カ月以内
- コントロール不良の高血圧[安静時血圧>170/100mmHg]
- コントロール不良の不整脈
- α遮断剤投与中
- 注意
- 高血圧
- 高脂血症
- 糖尿病
- 喫煙
- 軽度肝障害
- 中等度肝障害
- NAIONの危険因子を有していた
- 冠動脈障害
- アルコールを高用量<0.7g/kg>飲用
- 軽度腎障害
- 中等度腎障害
- 体液減少
- 肺静脈閉塞性疾患
- 抗凝固療法
- 抗血小板療法
- 経鼻酸素療法
- 結合組織疾患に伴う血小板機能異常
- 肺高血圧症に関するWHO機能分類クラス1
- 安静時低血圧
- 自律神経障害に伴う低血圧
- 重症左室流出路閉塞
- 心血管系のリスクファクターを有している
- 出血の危険因子を有する
- 投与に際する指示
- 軽度肝障害
- 中等度肝障害
- 軽度腎障害
- 中等度腎障害
患者の属性に応じた注意事項
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 希望禁止
- 授乳婦
- 慎重投与
- 高齢者
年齢や性別に応じた注意事項
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
- 高齢者<65歳以上>(65歳〜)
- 注意
- 50歳以上(50歳〜)
相互作用
薬剤との相互作用
薬剤名 | 影響 |
---|---|
硝酸剤 | 降圧作用が増強し過度に血圧を下降 |
一酸化窒素<NO>供与剤 | 降圧作用が増強し過度に血圧を下降 |
ニトログリセリン | 降圧作用が増強し過度に血圧を下降 |
亜硝酸アミル | 降圧作用が増強し過度に血圧を下降 |
硝酸イソソルビド | 降圧作用が増強し過度に血圧を下降 |
血液凝固阻止剤 | 出血の危険性が高まる |
抗血小板剤 | 出血の危険性が高まる |
ビタミンK拮抗薬 | 出血の危険性が高まる |
ワルファリン | 出血の危険性が高まる |
硝酸剤 | 降圧作用を増強 |
一酸化窒素<NO>供与剤 | 降圧作用を増強 |
ニトログリセリン | 降圧作用を増強 |
亜硝酸アミル | 降圧作用を増強 |
硝酸イソソルビド | 降圧作用を増強 |
sGC刺激剤 | 血圧低下 |
リオシグアト | 血圧低下 |
CYP3A4活性を強力に阻害する薬剤 | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
イトラコナゾール | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
リトナビル | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
アタザナビル | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
インジナビル | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
ネルフィナビル | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
サキナビル | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
ダルナビル | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
クラリスロマイシン | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
テラプレビル | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
コビシスタットを含有する製剤 | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
ケトコナゾール | 本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加 |
リトナビル | 本剤<20mg>のAUCが124%増加 |
CYP3A4を強く誘導する薬剤 | 本剤<10mg>のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下 |
リファンピシン類 | 本剤<10mg>のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下 |
フェニトイン | 本剤<10mg>のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下 |
カルバマゼピン | 本剤<10mg>のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下 |
フェノバルビタール | 本剤<10mg>のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下 |
CYP3A4を阻害する薬剤<強く阻害する薬剤は禁忌> | 本剤のAUC及びCmaxが増加 |
ホスアンプレナビル | 本剤のAUC及びCmaxが増加 |
ジルチアゼム | 本剤のAUC及びCmaxが増加 |
エリスロマイシン | 本剤のAUC及びCmaxが増加 |
フルコナゾール | 本剤のAUC及びCmaxが増加 |
ベラパミル | 本剤のAUC及びCmaxが増加 |
CYP3A4を誘導する薬剤<強く誘導する薬剤は禁忌> | 本剤のAUC及びCmaxが低下 |
ボセンタン | 本剤<40mg>のAUC・Cmaxが初日と比べ各41.5・26.6%低下 |
α遮断薬 | 立位収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81及び5.33mmHg下降 |
ドキサゾシン | 立位収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81及び5.33mmHg下降 |
テラゾシン | 立位収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81及び5.33mmHg下降 |
α遮断薬 | 失神等の症状を伴う血圧低下 |
ドキサゾシン | 失神等の症状を伴う血圧低下 |
テラゾシン | 失神等の症状を伴う血圧低下 |
血圧降下剤 | 自由行動下収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ8及び4mmHg下降 |
アムロジピン | 自由行動下収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ8及び4mmHg下降 |
メトプロロール | 自由行動下収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ8及び4mmHg下降 |
エナラプリル | 自由行動下収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ8及び4mmHg下降 |
カンデサルタン | 自由行動下収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ8及び4mmHg下降 |
カルペリチド | 降圧作用が増強 |
アルコール<経口> | 眩暈 |
アルコール<経口> | 起立性低血圧 |
飲食物との相互作用
- グレープフルーツジュース
- アルコールを含むもの<ジン、ウオッカ、ラム、ウイスキー、ブランデー など>
処方理由
添付文書
効果・効能(添付文書全文)
肺動脈性肺高血圧症。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
肺高血圧症に関するWHO機能分類クラス1における有効性・安全性は確立されていない。
用法・用量(添付文書全文)
1日1回タダラフィルとして40mgを経口投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.軽度腎障害又は中等度腎障害のある患者では、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性があることから、1日1回20mgを投与する。
2.軽度肝障害又は中等度肝障害のある患者では、本剤の投与経験は限られていることから、リスク・ベネフィットを考慮し、本剤を投与する際には1日1回20mgを投与する。
副作用(添付文書全文)簡潔に見る
承認時までに、肺動脈性肺高血圧患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤2.5〜40mg群に割り付けられた総症例323例(日本人患者23例を含む)中185例(57.3%)に副作用が認められた。また、それに続く長期継続試験において、本剤20〜40mg群に割り付けられた総症例357例(日本人患者22例を含む)中176例(49.3%)に副作用が認められた。主な副作用は頭痛(27.6%)、潮紅(6.2%)、浮動性眩暈(5.3%)、筋痛(5.0%)等であった。
1.重大な副作用
過敏症(発疹、蕁麻疹、顔面浮腫、剥脱性皮膚炎、Stevens−Johnson症候群)(頻度不明):本剤の投与により(男性勃起不全治療剤としての投与を含む)、発疹、蕁麻疹、顔面浮腫、剥脱性皮膚炎、Stevens−Johnson症候群等の過敏症が、ごくまれに報告されており、このような症状が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行う。
2.その他の副作用
1).循環器:(5%以上)潮紅、(1%〜5%未満)ほてり、動悸、(1%未満)低血圧、胸痛、失神、レイノー現象、血腫、心不全、(頻度不明)*心筋梗塞、*心突然死[*:心筋梗塞、心突然死等の重篤な有害事象が本剤の投与後に報告されているが、これらのほとんどの症例が本剤投与前から心血管系障害等の危険因子を有していたことが報告されており、これらの事象が本剤、性行為又は患者が以前から有していた心血管系障害の危険因子に起因して発現したものなのか、又は、これらの要因の組合せにより発現したものなのかを特定することはできない]、頻脈、高血圧。
2).感覚器:(1%〜5%未満)霧視、(1%未満)眼充血、視覚障害、回転性眩暈、眼乾燥、眼痛、結膜出血、視力低下、眼異常感、(頻度不明)非動脈炎性前部虚血性視神経症、網膜静脈閉塞、視野欠損。
3).消化器:(1%〜5%未満)下痢、悪心、消化不良、胃食道逆流性疾患、嘔吐、上腹部痛、(1%未満)腹部膨満、胃炎、口内乾燥、鼓腸、腹部不快感、胃不快感、(頻度不明)腹痛。
4).肝臓:(1%未満)AST増加(GOT増加)。
5).筋骨格:(5%以上)筋痛、(1%〜5%未満)背部痛、四肢痛、筋痙縮、関節痛、(1%未満)関節炎、筋骨格硬直、四肢不快感。
6).精神・神経系:(5%以上)頭痛、浮動性眩暈、(1%未満)睡眠障害、うつ病、下肢静止不能症候群、感覚鈍麻、錯感覚、(頻度不明)*脳卒中[*:脳卒中等の重篤な有害事象が本剤の投与後に報告されているが、これらのほとんどの症例が本剤投与前から心血管系障害等の危険因子を有していたことが報告されており、これらの事象が本剤、性行為又は患者が以前から有していた心血管系障害の危険因子に起因して発現したものなのか、又は、これらの要因の組合せにより発現したものなのかを特定することはできない]、片頭痛。
7).泌尿・生殖器:(1%〜5%未満)月経過多、(頻度不明)持続勃起症、勃起延長。
8).呼吸器:(1%〜5%未満)鼻閉、鼻出血、呼吸困難、(1%未満)副鼻腔うっ血。
9).皮膚:(1%〜5%未満)発疹、(1%未満)皮膚そう痒症、(頻度不明)多汗症。
10).血液:(1%〜5%未満)貧血、(1%未満)INR増加。
11).その他:(1%〜5%未満)末梢性浮腫、体重増加、疲労、(1%未満)顔面浮腫、挫傷、疼痛、腫脹、食欲不振、浮腫、貪食細胞性組織球症。
使用上の注意(添付文書全文)簡潔に見る
(警告)
本剤と硝酸剤又は一酸化窒素<NO>供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)との併用により降圧作用が増強し過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意する。但し、肺動脈性肺高血圧症の治療において一酸化窒素吸入療法と本剤の併用が治療上必要と判断される場合は緊急時に十分対応できる医療施設において肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで慎重に投与する。
(禁忌)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.硝酸剤投与中又は一酸化窒素<NO>供与剤投与中(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)の患者。
3.可溶性グアニル酸シクラーゼ<sGC>刺激剤投与中(リオシグアト)の患者。
4.重度腎障害のある患者[重度の腎障害のある患者では本剤の血漿中濃度が上昇すること、使用経験が限られていること及び透析によるクリアランスの促進は期待されないため]。
5.重度肝障害のある患者[重度の肝障害のある患者における使用経験がないため]。
6.チトクロームP450・3A4<CYP3A4>を強く阻害する薬剤投与中(イトラコナゾール、リトナビル含有製剤、アタザナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、ダルナビル含有製剤、クラリスロマイシン、テラプレビル、コビシスタット含有製剤)の患者。
7.CYP3A4を強く誘導する薬剤長期的投与中(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール)の患者。
(慎重投与)
1.脳梗塞の既往歴が最近6カ月以内・脳出血の既往歴が最近6カ月以内にある患者[これらの患者における有効性及び安全性は確立していない]。
2.コントロール不良の不整脈、低血圧[血圧<90/50mmHg]又はコントロール不良の高血圧[安静時血圧>170/100mmHg]のある患者[これらの患者における有効性及び安全性は確立していない]。
3.α遮断剤投与中の患者。
4.網膜色素変性症患者[網膜色素変性症の患者にはホスホジエステラーゼ(PDE)の遺伝的障害を持つ症例が少数認められる]。
5.高齢者<65歳以上>。
6.陰茎構造上欠陥(陰茎屈曲、陰茎線維化、Peyronie病等)のある患者[本剤の薬理作用により勃起が起こり、その結果陰茎に痛みを引き起こす可能性がある]。
7.持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者。
8.出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者[in vitro試験でニトロプルシドナトリウム(NO供与剤)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている(出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない)]。
(重要な基本的注意)
1.肺血管拡張剤は、肺静脈閉塞性疾患を有する患者の心血管系の状態を著しく悪化させる恐れがあるので、肺静脈閉塞性疾患を有する患者における有効性及び安全性は確立していないため、このような患者に対しては本剤を投与しないことが望ましい。
2.他のPDE5阻害剤と同様に、本剤は血管拡張作用を有するため軽度の一過性血圧低下が現れる場合がある。患者が重症左室流出路閉塞、体液減少、自律神経障害に伴う低血圧や安静時低血圧等を有する場合には、本剤の血管拡張作用による影響を受ける場合があるため、十分な観察を行う。
3.4時間以上の勃起延長又は持続勃起<6時間以上持続する痛みを伴う勃起>が外国にてごくまれに報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導する。
4.臨床試験において、眩暈や視覚障害が認められているので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。
5.出血の危険因子を有する患者(ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法、抗血小板療法、結合組織疾患に伴う血小板機能異常、経鼻酸素療法)においては、出血の危険性が高まる恐れがあるので投与にあたっては注意する。
6.本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失が現れた場合には、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導する。
7.本剤投与後に急激な聴力低下又は突発性難聴(耳鳴り、眩暈を伴うことがある)が現れた場合には、速やかに耳鼻科専門医の診察を受けるよう、患者に指導する。
(相互作用)
本剤は主にCYP3A4により代謝される。
1.併用禁忌:
1).硝酸剤及びNO供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)[併用により、降圧作用を増強するとの報告がある(NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する)]。
2).sGC刺激剤(リオシグアト<アデムパス>)[併用により、血圧低下を起こす恐れがある(併用により、細胞内cGMP濃度が増加し、全身血圧に相加的な影響を及ぼす恐れがある)]。
3).CYP3A4を強く阻害する薬剤(イトラコナゾール<イトリゾール>、リトナビル含有製剤<ノービア、ヴィキラックス、カレトラ>、アタザナビル<レイアタッツ>、インジナビル<クリキシバン>、ネルフィナビル<ビラセプト>、サキナビル<インビラーゼ>、ダルナビル含有製剤<プリジスタ、プレジコビックス>、クラリスロマイシン<クラリス、クラリシッド>、テラプレビル<テラビック>、コビシスタット含有製剤<スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス>)[強いCYP3A4阻害作用を有するケトコナゾール(400mg/日:経口剤、国内未発売)との併用により、本剤<20mg>のAUC及びCmaxが312%及び22%増加するとの報告がある(CYP3A4を強く阻害することによりクリアランスが高度に減少し、本剤の血漿中濃度が上昇する恐れがあり、また、肺動脈性肺高血圧症患者における併用の経験が少ない)、また、リトナビル(200mg/1日2回投与)との併用により、本剤<20mg>のAUCが124%増加するとの報告がある(CYP3A4を強く阻害することによりクリアランスが高度に減少し、本剤の血漿中濃度が上昇する恐れがあり、また、肺動脈性肺高血圧症患者における併用の経験が少ない)]。
4).CYP3A4を強く誘導する薬剤(リファンピシン<リファジン>、フェニトイン<アレビアチン、ヒダントール>、カルバマゼピン<テグレトール>、フェノバルビタール<フェノバール>)[リファンピシン(600mg/日)との併用により、本剤<10mg>のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下するとの報告がある(CYP3A4誘導によるクリアランスの増加により本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱する恐れがある)]。
2.併用注意:
1).CYP3A4を阻害する薬剤<強く阻害する薬剤は禁忌>(ホスアンプレナビル、ジルチアゼム、エリスロマイシン、フルコナゾール、ベラパミル、グレープフルーツジュース等)[本剤との併用により、本剤のAUC及びCmaxが増加する恐れがある(CYP3A4阻害によるクリアランスの減少)]。
2).CYP3A4を誘導する薬剤<強く誘導する薬剤は禁忌>[本剤との併用により、本剤のAUC及びCmaxが低下する恐れがある(CYP3A4誘導によるクリアランスの増加)]。
3).ボセンタン[ボセンタン(125mg/1日2回投与)との10日間併用により、10日目における本剤<40mg>のAUC・Cmaxが初日と比べ各41.5・26.6%低下するとの報告があるが、本剤によるボセンタンのAUC及びCmaxに対する影響はみられなかった(CYP3A4誘導によるクリアランスの増加により本剤の血漿中濃度が低下する)]。
4).α遮断剤(ドキサゾシン、テラゾシン等)[ドキサゾシン(8mg)と本剤(20mg)の併用により、立位収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81及び5.33mmHg下降するとの報告があり、また、α遮断剤との併用で失神等の症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある(本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強する恐れがある)]。
5).降圧剤(アムロジピン、メトプロロール、エナラプリル、カンデサルタン等)[アンジオテンシン2受容体拮抗剤(単剤又は多剤)と本剤(20mg)の併用により、自由行動下収縮期及び拡張期血圧は最大それぞれ8及び4mmHg下降するとの報告がある(本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強する恐れがある)]。
6).カルペリチド[併用により降圧作用が増強する恐れがある(本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強する恐れがある)]。
7).ビタミンK拮抗薬(ワルファリン)[本剤(10及び20mg/日)との併用において、ワルファリン(25mg)の薬物動態及び抗凝固作用に対する影響は認められなかったが、併用により出血の危険性が高まる恐れがある(ビタミンK拮抗薬などの抗凝固療法を施行している患者では出血の危険性が高まる恐れがある)]。
(高齢者への投与)
高齢者では一般に生理機能が低下しているため、慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない]。
2.授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせる[本剤の母乳中への移行は不明である]。
(小児等への投与)
小児等に対する安全性は確立されていない[使用経験がない]。
(過量投与)
1.徴候・症状:外国において、健康成人に本剤を500mgまで単回投与した場合及び勃起不全患者に本剤100mgを反復投与した場合の副作用は、低用量で認められたものと同様の副作用であった。
2.処置:過量投与の際の特異的な薬物療法はないが、適切な対症療法を行う(なお、腎透析によるクリアランスの促進は期待できない)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(その他の注意)
1.勃起不全治療剤として使用されたタダラフィルの市販後の自発報告において、心筋梗塞、心突然死、心室性不整脈、脳出血、一過性脳虚血発作などの重篤な心血管系障害がタダラフィル投与後に発現している(これらの多くが心血管系のリスクファクターを有している患者であった)。多くの事象が、性行為中又は性行為後に認められ、少数例ではあるが、性行為なしにタダラフィル投与後に認められたものもあった。その他は、タダラフィルを投与し性行為後の数時間から数日後に報告されている。これらの症例について、タダラフィル、性行為、本来患者が有していた心血管系障害、これらの要因の組み合わせ又は他の要因に直接関連するかどうかを確定することはできない。
2.薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において男性勃起不全治療剤として使用された本剤を含むPDE5阻害剤投与後に、まれに視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されており、これらの患者の多くは、NAIONの危険因子を有していた[年齢(50歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙等]、外国でNAIONを発現した45歳以上の男性(肺動脈性肺高血圧症に使用された症例は除く)を対象として実施された自己対照研究でPDE5阻害剤の投与から消失半減期(T1/2)の5倍の期間内(タダラフィルの場合約4日以内に相当)はNAION発現リスクが約2倍になることが報告されている。
3.薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において本剤を含むPDE5阻害剤投与後に、まれに、痙攣発作の発現が報告されている。
4.薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において本剤を含むPDE5阻害剤投与後に、まれに、急激な聴力低下又は突発性難聴が報告されており、これらの患者では、耳鳴りや眩暈を伴うことがある。
5.アルコール飲用時に本剤を投与した外国の臨床薬理試験(本剤10mg、20mg)において、アルコール血中濃度、本剤の血漿中濃度のいずれも相互に影響を受けなかったが、アルコールを高用量<0.7g/kg>飲用した被験者において、眩暈や起立性低血圧が報告された。
6.25mg/kg/day以上の用量でタダラフィルをイヌに3〜12カ月間連日経口投与した毒性試験において、精巣重量低下、精細管上皮変性、精巣上体精子数減少が認められたとの報告がある。ヒトにおける精子形成能に対する影響を検討した外国臨床試験の一部では平均精子濃度減少が認められたが、精子運動率、精子形態及び生殖ホルモン値はいずれの試験においても変化が認められなかった。
(保険給付上の注意)
1.本製剤の効能・効果は、「肺動脈性肺高血圧症」である。
2.本製剤が「勃起不全」の治療目的で処方された場合には、保険給付の対象としないこととする。