処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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カルベジロール錠10mg「サワイ」の基本情報
基本情報
β1受容体遮断作用による心機能の抑制とα1受容体の遮断作用による血管拡張作用などにより、高血圧症や狭心症などを改善する薬
- アーチスト
- アロチノロール
- カルバン
- 腎実質性高血圧症
- 狭心症
- 虚血性心疾患の慢性心不全
- 本態性高血圧症<軽症〜中等症>
- 拡張型心筋症の慢性心不全
- 頻脈性心房細動
- 1.本態性高血圧症(軽症〜中等症)、腎実質性高血圧症:カルベジロールとして、1回10〜20mgを1日1回経口投与する
- なお、年齢、症状により適宜増減する
- 2.狭心症:カルベジロールとして、1回20mgを1日1回経口投与する
- なお、年齢、症状により適宜増減する
- 3.虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全:カルベジロールとして、1回1.25mg、1日2回食後経口投与から開始する
- 1回1.25mg、1日2回の用量に忍容性がある場合には、1週間以上の間隔で忍容性をみながら段階的に増量し、忍容性がない場合は減量する
- 用量の増減は必ず段階的に行い、1回投与量は1.25mg、2.5mg、5mg又は10mgのいずれかとし、いずれの用量においても、1日2回食後経口投与とする
- 維持量として1回2.5〜10mgを1日2回食後経口投与する
- なお、年齢、症状により、開始用量は更に低用量としてもよい
- また、患者の本剤に対する反応性により、維持量は適宜増減する
- 4.頻脈性心房細動:カルベジロールとして、1回5mgを1日1回経口投与から開始し、効果が不十分な場合には10mgを1日1回、20mgを1日1回へ段階的に増量する
- なお、年齢、症状により適宜増減するが、最大投与量は20mgを1日1回までとする
- 病気や症状に応じた注意事項
- 著しい洞性徐脈
- 過敏症
- 肺高血圧による右心不全
- 気管支痙攣
- 気管支喘息
- 心原性ショック
- 代謝性アシドーシス
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 洞房ブロック
- 高度徐脈
- 房室ブロック<2〜3度>
- 未治療の褐色細胞腫
- 強心薬を静脈内投与する必要のある心不全
- 血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全
- 非代償性心不全
- 患者の属性に応じた注意事項
- 妊婦・産婦
副作用
注意事項
- 禁止
- 著しい洞性徐脈
- 過敏症
- 肺高血圧による右心不全
- 気管支痙攣
- 気管支喘息
- 心原性ショック
- 代謝性アシドーシス
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 洞房ブロック
- 高度徐脈
- 房室ブロック<2〜3度>
- 未治療の褐色細胞腫
- 強心薬を静脈内投与する必要のある心不全
- 血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全
- 非代償性心不全
- 希望禁止
- 手術前48時間
- 慎重投与
- 栄養状態不良
- 過度に血圧の低い
- 間欠性跛行症
- コントロール不十分な糖尿病
- 重篤な肝機能障害
- 重篤な腎機能障害
- 徐脈
- 特発性低血糖症
- 房室ブロック<1度>
- 末梢循環障害
- レイノー症候群
- 絶食状態
- 糖尿病を合併した慢性心不全
- 注意
- 褐色細胞腫
- 虚血性心疾患
- 甲状腺中毒症
- 手術前48時間
- 投与に際する指示
- 褐色細胞腫
- 虚血性心疾患
- 甲状腺中毒症
- 重篤な肝機能障害
- 禁止
- 妊婦・産婦
- 慎重投与
- 高齢者
- 注意
- 高齢者
- 投与に際する指示
- 高齢者
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
- 注意
- 高齢の重症慢性心不全(65歳〜)
- 高齢者(65歳〜)
- 投与に際する指示
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- 交感神経遮断剤
- 過剰の抑制
- レセルピン
- 過剰の抑制
- 血糖降下剤
- 血糖降下作用が増強
- カルシウム拮抗剤
- 相互に作用が増強され心不全や低血圧を引き起こす
- ベラパミル
- 相互に作用が増強され心不全や低血圧を引き起こす
- ヒドララジン塩酸塩
- 本剤の作用が増強
- シメチジン
- 本剤の作用が増強
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤
- 本剤の作用が増強
- 塩酸パロキセチン水和物
- 本剤の作用が増強
- クロニジン塩酸塩
- 中止後のリバウンド現象を増強
- クラス1抗不整脈剤
- 過度の心機能抑制作用
- ジソピラミド
- 過度の心機能抑制作用
- プロカインアミド塩酸塩
- 過度の心機能抑制作用
- アミオダロン塩酸塩
- 心刺激伝導抑制障害<徐脈・心停止等>
- シクロスポリン
- 血中濃度が上昇
- リファンピシン類
- 本剤の作用が減弱
- ジギタリス剤
- 心刺激伝導抑制障害<徐脈・房室ブロック等>
- ジゴキシン
- 心刺激伝導抑制障害<徐脈・房室ブロック等>
- ジギタリス剤
- 濃度が上昇し中毒症状
- ジゴキシン
- 濃度が上昇し中毒症状
- 降圧利尿剤
- 降圧作用が増強
- 交感神経作動薬
- 血圧上昇
- エピネフリン
- 血圧上昇
- 非ステロイド系抗炎症剤
- 本剤の降圧作用が減弱
処方理由
この薬をファーストチョイスする理由(2019年8月更新)
・β遮断だけでなくα部分もコントロールできます。喘息だけがネックですね。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・心不全に対するエビデンスがあり、メインテートよりは徐脈を起こしにくいため。(30歳代病院勤務医、循環器内科)
・降圧と心不全の両方に出しています。用量がそれぞれに合ったものがあり使いやすいです。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・一定の効果も期待でき、心不全への使用も可能である。レートコントロール時なども使用している。(30歳代病院勤務医、消化器外科)
この薬をファーストチョイスする理由(2017年3月更新)
・早くから慢性心不全に適応があったため、心不全患者に処方する機会が多かった。特に頻脈を呈する患者に少量から漸増して処方すると、安全かつ効果的であった。最近では、メインテートを処方する機会も多い。β遮断薬は高血圧治療薬と言うよりは心不全治療薬や不整脈治療薬として処方する場合が多い。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・用量調節により高血圧、心不全、頻脈性心房細動などに対応できる。心不全に対するエビデンスも豊富で、重宝している。(30歳代病院勤務医、内科系専門科)
・拡張期血圧が高めの高血圧管理には持って来いで、頻脈も是正されるため使いやすいです。(50歳代診療所勤務医、一般内科)
・心保護効果にエビデンスがある。降圧効果はさほど高くないが、徐脈を起こしにくい点が良い。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・高血圧症と心不全に適応がある。大規模試験が多数行われている。(50歳代開業医、一般内科)
・用法・用量によって使い分けができ、心不全・高血圧・不整脈に使いやすい。(60歳代病院勤務医、総合診療科)
この薬をファーストチョイスする理由(2015年8月更新)
・心不全、狭心症から高血圧まで、幅広い適応を有する薬剤で有用である。(50代勤務医、神経内科)
・用量設定錠剤が種々あり、降圧および心不全状態に応じた用量を選択でき漸増できるから。(40代勤務医、一般内科)
・α遮断作用とβ遮断作用のバランスが良く、腎不全患者でも常用量投与できる。(30代診療所勤務医、一般内科)
・α、β両方の遮断作用があり、代謝疾患などに関わらず処方ができ、抗酸化作用もあり重宝している。(60代診療所勤務医、小児科)
・β1選択性ではメインテートが勝るが、エビデンスの豊富さではアーチストの独壇場。(40代開業医、循環器内科)
・心不全治療のエビデンスがあることに加え、血圧や脈拍低下が他のβ遮断薬に比してマイルドであり、血圧が低めであったり徐脈気味の患者にも比較的安全に投与できるから。(30代勤務医、循環器内科)
・他剤に比べると、心不全の改善効果が優れているように思われる。ただし気管支喘息では使用禁忌であり、使いずらい点もある。(60代開業医、一般内科)
・心不全及び心房細動などへの有用性も高く、漸増することで微調整し易いので、重宝しています。ただ、一部の医師においては年齢等の要因だけで、耐容能を考慮すれば増量すべき患者に対して低用量のまま維持されている例を散見しているので、その点は非常に残念です。(30代勤務医、循環器内科)
添付文書
1.本態性高血圧症<軽症〜中等症>。
2.腎実質性高血圧症。
3.狭心症。
4.次の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者:虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全。
5.頻脈性心房細動。
1.本態性高血圧症(軽症〜中等症)、腎実質性高血圧症:カルベジロールとして、1回10〜20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
2.狭心症:カルベジロールとして、1回20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
3.虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全:カルベジロールとして、1回1.25mg、1日2回食後経口投与から開始する。1回1.25mg、1日2回の用量に忍容性がある場合には、1週間以上の間隔で忍容性をみながら段階的に増量し、忍容性がない場合は減量する。用量の増減は必ず段階的に行い、1回投与量は1.25mg、2.5mg、5mg又は10mgのいずれかとし、いずれの用量においても、1日2回食後経口投与とする。維持量として1回2.5〜10mgを1日2回食後経口投与する。なお、年齢、症状により、開始用量は更に低用量としてもよい。また、患者の本剤に対する反応性により、維持量は適宜増減する。
4.頻脈性心房細動:カルベジロールとして、1回5mgを1日1回経口投与から開始し、効果が不十分な場合には10mgを1日1回、20mgを1日1回へ段階的に増量する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最大投与量は20mgを1日1回までとする。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.褐色細胞腫の患者では、単独投与により急激に血圧が上昇する恐れがあるので、α遮断薬で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα遮断薬を併用する。
2.慢性心不全を合併する本態性高血圧症、慢性心不全を合併する腎実質性高血圧症、慢性心不全を合併する狭心症又は慢性心不全を合併する頻脈性心房細動の患者では、慢性心不全の用法・用量に従う。
3.慢性心不全の場合:
1).慢性心不全患者に投与する場合には、必ず1回1.25mg又は更に低用量の、1日2回投与から開始し、忍容性及び治療上の有効性を基に個々の患者に応じて維持量を設定する。
2).慢性心不全の場合、本剤の投与初期及び増量時は、心不全の悪化、浮腫、体重増加、眩暈、低血圧、徐脈、血糖値変動、及び腎機能悪化が起こりやすいので、観察を十分に行い、忍容性を確認する。
3).慢性心不全の場合、本剤の投与初期又は増量時における心不全や体液貯留の悪化(浮腫、体重増加等)を防ぐため、本剤の投与前に体液貯留の治療を十分に行う。慢性心不全の場合、心不全の悪化や体液貯留悪化(浮腫、体重増加等)がみられ、利尿薬増量で改善がみられない場合には本剤を減量又は中止する。慢性心不全の場合、低血圧、眩暈などの症状がみられ、アンジオテンシン変換酵素阻害薬の減量や利尿薬の減量により改善しない場合には本剤を減量する。慢性心不全の場合、高度徐脈を来した場合には、本剤を減量し、また、これら症状が安定化するまで本剤を増量しない。
4).慢性心不全の場合、本剤を中止する場合には、急に投与を中止せず、原則として段階的に半量ずつ、2.5mg又は1.25mg、1日2回まで1〜2週間かけて減量し中止する。
5).慢性心不全の場合、2週間以上休薬した後、投与を再開する場合には、「用法・用量」の項に従って、低用量から開始し、段階的に増量する。
4.頻脈性心房細動を合併する本態性高血圧症、頻脈性心房細動を合併する腎実質性高血圧症又は頻脈性心房細動を合併する狭心症の患者に投与する場合には、頻脈性心房細動の用法・用量は1日1回5mg投与から開始することに留意した上で、各疾患の指標となる血圧や心拍数、症状等に応じ、開始用量を設定する。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).次記の重大な循環器系の副作用が現れることがあるので、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行い、このような症状が現れた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う:(1)高度徐脈、(2)ショック、(3)完全房室ブロック、(4)心不全、(5)心停止。
2).肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ−GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
3).急性腎不全:急性腎不全が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
4).中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群):中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
5).アナフィラキシー:アナフィラキシーが現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2.その他の副作用:次記の副作用が現れることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じ投与を中止するなど適切な処置を行う。
1).過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒感等。
2).循環器:(頻度不明)徐脈、低血圧、動悸、頻脈、心房細動、期外収縮、脚ブロック、血圧上昇、心胸比増大、顔面潮紅、四肢冷感、房室ブロック、狭心症。
3).呼吸器:(頻度不明)喘息様症状、咳嗽、呼吸困難、息切れ、鼻閉。
4).精神神経系:(頻度不明)眩暈、眠気、頭痛、失神、不眠、抑うつ、注意力低下、異常感覚(四肢のしびれ感等)。
5).消化器:(頻度不明)悪心、胃部不快感、嘔吐、便秘、下痢、食欲不振、腹痛。
6).代謝:(頻度不明)血糖値上昇、尿酸上昇、CK上昇(CPK上昇)、総コレステロール上昇、低血糖、尿糖、Al−P上昇、LDH上昇、トリグリセリド上昇、カリウム上昇、糖尿病悪化、カリウム低下、ナトリウム低下。
7).肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等。
8).腎臓・泌尿器:(頻度不明)腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)、尿失禁、頻尿、蛋白尿。
9).血液:(頻度不明)貧血、白血球減少、血小板減少。
10).眼:(頻度不明)霧視、涙液分泌減少。
11).その他:(頻度不明)浮腫、脱力感、倦怠感、勃起不全、耳鳴、疲労感、胸痛、疼痛、発汗、口渇。
(警告)
慢性心不全患者に使用する場合には、慢性心不全治療の経験が十分にある医師のもとで使用する。
(禁忌)
1.気管支喘息、気管支痙攣の恐れのある患者[気管支筋を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を起こす恐れがある]。
2.糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[心筋収縮力の抑制が増強される恐れがある]。
3.高度徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック<2〜3度>、洞房ブロックのある患者[症状が悪化する恐れがある]。
4.心原性ショックの患者[循環不全症が悪化する恐れがある]。
5.強心薬を静脈内投与する必要のある心不全患者又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者[心収縮力抑制作用により、心不全が悪化する恐れがある]。
6.非代償性心不全患者[心収縮力抑制作用により、心不全が悪化する恐れがある]。
7.肺高血圧による右心不全のある患者[心拍出量が抑制され症状が悪化する恐れがある]。
8.未治療の褐色細胞腫の患者。
9.妊婦又は妊娠している可能性のある女性。
10.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
(慎重投与)
1.特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態、栄養状態不良の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすいので血糖値に注意する]。
2.糖尿病を合併した慢性心不全患者[血糖値が変動する恐れがある]。
3.重篤な肝機能障害のある患者[血中濃度が上昇するので、投与量を減ずるか投与間隔をあけて使用し、また、肝機能が悪化する恐れがある]。
4.重篤な腎機能障害のある患者[血中濃度の上昇が報告されており、また、特に慢性心不全の患者では腎機能が悪化する恐れがある]。
5.房室ブロック<1度>のある患者[房室伝導時間が延長し、症状が悪化する恐れがある]。
6.徐脈のある患者[症状が悪化する恐れがある]。
7.末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)[末梢血管の拡張を抑制し、症状を悪化させる恐れがある]。
8.過度に血圧の低い患者[血圧を更に低下させる恐れがある]。
9.高齢者。
(重要な基本的注意)
1.投与が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行う。また、徐脈となったとき及び低血圧を起こした場合には、ショックに至る例も報告されているので、観察を十分に行い本剤を減量又は中止し、必要に応じアトロピン硫酸塩、ドブタミン塩酸塩、イソプレナリン塩酸塩、アドレナリン等を使用する。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意する。
2.狭心症などの虚血性心疾患を有する患者において、本剤の投与を急に中止した場合、狭心症発作の頻発・狭心症発作の悪化、まれに心筋梗塞、及び短時間に過度の突然の血圧上昇を起こす可能性があるので、中止を要する場合は原則として1〜2週間かけて段階的に減量し、観察を十分に行い、虚血性心疾患以外の患者についても同様の注意をする(特に高齢者)。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう説明する。
3.手術前48時間は投与しないことが望ましい。
4.甲状腺中毒症の患者では急に投与を中止すると、症状を悪化させることがあるので中止を要する場合は原則として1〜2週間かけて段階的に減量し、観察を十分に行う。
5.眩暈・ふらつきが現れることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期や増量時)には、自動車の運転等危険を伴う機械の作業をしないように注意させる。
6.心不全を合併する頻脈性心房細動患者では本剤投与により心不全を悪化させる可能性があるので、臨床症状に注意し、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を行う等、観察を十分に行う。
7.慢性心不全の場合:
1).重症慢性心不全患者に対する本剤の投与は特に慎重な管理を要するので、本剤の投与初期及び増量時は入院下で行う。
2).慢性心不全の場合、左室収縮機能障害の原因解明に努め、可逆的な左室収縮機能障害については、原因除去あるいは他の治療も考慮する。
(相互作用)
併用注意:
1.交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤(レセルピン等)[交感神経系に対し、過剰の抑制を来すことがあるので、用量を調節する(相互に交感神経抑制作用を増強すると考えられている)]。
2.血糖降下薬[血糖降下作用が増強されることがある(非選択性β遮断薬はカテコールアミンと競合的に拮抗することにより、肝臓での糖新生を抑制すると考えられている)]。
3.カルシウム拮抗薬(ベラパミル塩酸塩等)[相互に作用が増強され心不全や低血圧を引き起こすことがある(相互に心収縮力・刺激伝導系の抑制作用、血圧低下作用を増強すると考えられている)]。
4.ヒドララジン塩酸塩[本剤の作用が増強される恐れがある(ヒドララジン塩酸塩により、本剤の肝初回通過効果が減少し、血中濃度が上昇する可能性がある)]。
5.クロニジン塩酸塩[クロニジン塩酸塩中止後のリバウンド現象を増強する可能性があるので、クロニジン塩酸塩から本剤へ変更する場合、クロニジン塩酸塩を中止した数日後から本剤を投与し、また、本剤中止後数日間はクロニジン塩酸塩を中止しない(クロニジン塩酸塩中止により末梢でのノルアドレナリン遊離が増加するが、β遮断薬併用の場合、ノルアドレナリンの作用のうち、α刺激作用が優位になり、急激な血圧上昇を起こすと考えられている)]。
6.クラス1抗不整脈薬(ジソピラミド、プロカインアミド塩酸塩等)[過度の心機能抑制作用が現れることがあるので、用量を調節する(相互に心機能抑制作用を増強すると考えられている)]。
7.アミオダロン塩酸塩[心刺激伝導抑制障害<徐脈・心停止等>が現れる恐れがあるので、定期的な心電図モニターを実施する(アミオダロン塩酸塩により、本剤の肝初回通過効果が減少し、血中濃度が上昇する可能性がある)]。
8.シクロスポリン[シクロスポリンの血中濃度が上昇する恐れがあるので、用量を調節する(機序不明)]。
9.リファンピシン[本剤の作用が減弱される恐れがある(リファンピシンにより、薬物代謝酵素P450(主にCYP3A4)が誘導され、本剤の代謝が亢進し、血中濃度が低下すると考えられている)]。
10.シメチジン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(パロキセチン塩酸塩等)[本剤の作用が増強される恐れがある(これらの薬剤により、薬物代謝酵素P450が阻害され、本剤の代謝が抑制される結果、血中濃度が上昇すると考えられている)]。
11.ジギタリス製剤(ジゴキシン等)[心刺激伝導抑制障害<徐脈・房室ブロック等>が現れる恐れがあり、ジギタリスの濃度が上昇し中毒症状が発現する可能性もあるので、用量を調節する(相互に刺激伝導抑制作用を増強する可能性があり、また、ジギタリスの生物学的利用率が上昇し、血中濃度が上昇すると考えられている)]。
12.利尿降圧剤[降圧作用が増強することがあるので、併用する場合は用量に注意する(相加的に降圧作用を増強させる)]。
13.交感神経刺激剤(アドレナリン等)[血圧上昇が現れることがある(本剤のβ遮断作用により、α刺激作用が優位になると考えられている)]。
14.非ステロイド性消炎鎮痛剤[本剤の降圧作用が減弱する恐れがある(非ステロイド性消炎鎮痛剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害する)]。
(高齢者への投与)
本剤は主として肝臓で代謝される薬剤であり、重篤な肝機能障害患者で血中濃度の上昇が認められているので、高齢者では肝機能が低下していることが多いため血中濃度が上昇する恐れがあり、また過度な降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こる恐れがある)ことから、高齢者に使用する場合は低用量から投与を開始するなど、患者の状態を十分観察しながら慎重に投与することが望ましい。特に高齢の重症慢性心不全患者では、本剤の副作用が生じやすいので注意する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない、また、ラットにおける妊娠前及び妊娠初期投与試験において、臨床用量の約900倍(300mg/kg)で黄体数減少及び骨格異常(13肋骨の短小)の増加が報告されている]。
2.授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせる[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
小児等に対する安全性及び有効性は確立していない(低出生体重児、新生児には使用経験がなく、乳児、幼児及び小児には使用経験が少ない)。重症心不全を有する幼児及び重症心不全を有する小児において、本剤の投与により重篤な低血糖症状が現れ、死亡に至った例も報告されている。
(過量投与)
1.症状:過量投与により、重症低血圧、徐脈、心不全、心原性ショック、心停止に至る恐れがあり、また、呼吸器障害、気管支痙攣、嘔吐、意識障害、全身痙攣発作を来す恐れがある。
2.処置:過量投与の場合は、本剤を中止し、必要に応じて胃洗浄等により薬剤の除去を行うとともに、次のような処置を行う(なお、本剤は血液透析により除去されにくい)。
1).過量投与時の過度の徐脈:アトロピン硫酸塩、イソプレナリン塩酸塩等の投与や心臓ペーシングを適用する。
2).過量投与時の心不全、低血圧:強心薬、昇圧薬、輸液等の投与や補助循環を適用する。
3).過量投与時の気管支痙攣:β2刺激薬を静注又はアミノフィリンを静注する。
4).過量投与時の痙攣発作:ジアゼパムを徐々に静注する。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(取扱い上の注意)
安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
処方薬事典は医療・医薬関係者向けのコンテンツです。