処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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ラシックス注20mgの基本情報
基本情報
主に腎臓の尿細管におけるヘンレループという部位に作用し、尿による水分排泄を増やし体内の過剰な水分などを排泄し、むくみ(浮腫)などを改善する薬
- ダイアート
- ラシックス
- ルプラック
- 悪性高血圧
- 肝性浮腫
- 高血圧症
- 心性浮腫
- 腎性高血圧症
- 腎性浮腫
- 尿路結石の排出促進
- 脳浮腫
- 本態性高血圧症
- うっ血性心不全
- 通常、成人にはフロセミドとして1日1回20mgを静脈注射又は筋肉内注射する
- なお、年齢、症状により適宜増減する
- 腎機能不全等の場合にはさらに大量に用いることもある
- ただし、悪性高血圧に用いる場合には、通常、他の降圧剤と併用すること
- (用法及び用量に関連する注意)静脈注射時には、緩徐に投与すること
- 特に、大量静脈注射の必要がある場合には、毎分4mg以下となるよう投与速度を調節すること(大量を急速に静脈注射した場合に難聴があらわれやすい)〔11.1.4参照〕
副作用
注意事項
- 禁止
- 過敏症
- 肝性昏睡
- 無尿
- 体液中のカリウム減少
- 体液中のナトリウム減少
- デスモプレシン酢酸塩水和物投与中<男性における夜間多尿による夜間頻尿>
- 注意
- 嘔吐
- 肝機能障害
- 肝疾患
- 下痢
- 減塩療法時
- 重篤な腎障害
- 手術前
- 進行した肝硬変症
- 全身性エリテマトーデス
- 痛風
- 糖尿病
- 重篤な脳動脈硬化症
- 生後数週間以内の呼吸窮迫症の低出生体重児
- ヨード造影剤による造影剤腎症の発症リスクの高い
- 重篤な冠動脈硬化症
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 慎重投与
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 高齢者
- 注意
- 授乳婦
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 乳児
- 投与に際する指示
- 高齢者
- 慎重投与
- 浮腫のある高齢者(65歳〜)
- 高齢者(65歳〜)
- 動脈管開存のため浮腫を生じた重度の低出生体重児(0日〜27日)
- 硝子膜症のため浮腫を生じた重度の低出生体重児(0日〜27日)
- 注意
- 生後数週間以内の呼吸窮迫症の低出生体重児(0日〜27日)
- 乳児(0日〜364日)
- 投与に際する指示
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- デスモプレシン酢酸塩水和物<男性における夜間多尿による夜間頻尿>
- 低ナトリウム血症
- カテコールアミン製剤
- 作用を減弱
- エピネフリン
- 作用を減弱
- ノルエピネフリン
- 作用を減弱
- 非脱分極性筋弛緩剤
- 麻痺作用を増強
- ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物
- 麻痺作用を増強
- 血圧降下剤
- 降圧作用を増強
- β−遮断剤
- 降圧作用を増強
- ACE阻害剤
- 高度の血圧低下
- アンジオテンシン2受容体拮抗剤
- 高度の血圧低下
- ACE阻害剤
- 腎不全を含む腎機能の悪化
- アンジオテンシン2受容体拮抗剤
- 腎不全を含む腎機能の悪化
- アミノグリコシド系抗生物質
- 第8脳神経障害<聴覚障害>を増強
- 硫酸ゲンタマイシン
- 第8脳神経障害<聴覚障害>を増強
- 硫酸アミカシン
- 第8脳神経障害<聴覚障害>を増強
- シスプラチン
- 聴覚障害が増強
- アミノグリコシド系抗生物質
- 腎毒性を増強
- 硫酸ゲンタマイシン
- 腎毒性を増強
- 硫酸アミカシン
- 腎毒性を増強
- セファロスポリン系抗生物質
- 腎毒性を増強
- セファロチン
- 腎毒性を増強
- ジギタリス剤
- 心臓に対する作用を増強
- ジギトキシン
- 心臓に対する作用を増強
- ジゴキシン
- 心臓に対する作用を増強
- 糖質副腎皮質ホルモン剤
- 過剰のカリウム放出により低カリウム血症
- ヒドロコルチゾン
- 過剰のカリウム放出により低カリウム血症
- ACTH
- 過剰のカリウム放出により低カリウム血症
- グリチルリチン製剤
- 過剰のカリウム放出により低カリウム血症
- カンゾウ含有製剤
- 過剰のカリウム放出により低カリウム血症
- 糖尿病用薬
- 作用を著しく減弱
- スルホニルウレア系薬剤
- 作用を著しく減弱
- インスリン製剤
- 作用を著しく減弱
- SGLT2阻害剤
- 利尿作用が増強
- V2−受容体拮抗剤
- 利尿作用が増強
- モザバプタン塩酸塩
- 利尿作用が増強
- SGLT2阻害剤
- 脱水症状
- V2−受容体拮抗剤
- 脱水症状
- モザバプタン塩酸塩
- 脱水症状
- リチウム製剤
- リチウム毒性を増強
- 炭酸リチウム
- リチウム毒性を増強
- サリチル酸製剤
- サリチル酸誘導体毒性
- サリチル酸ナトリウム
- サリチル酸誘導体毒性
- アスピリン
- サリチル酸誘導体毒性
- 非ステロイド系抗炎症剤
- 本剤の利尿作用を減弱
- インドメタシン製剤
- 本剤の利尿作用を減弱
- 尿酸排泄促進剤
- 尿酸排泄作用を減弱
- プロベネシド
- 尿酸排泄作用を減弱
- カルバマゼピン
- 症候性低ナトリウム血症
- 塩酸コルホルシンダロパート
- 心室性期外収縮等の不整脈の発現を助長
- シクロスポリン
- 痛風性関節炎
処方理由
この薬をファーストチョイスする理由(2021年12月更新)
・ループ利尿剤で最も普及している薬剤でまず試みるのがフロセミド。ただ、効果は持続性がなく緩徐な利尿は期待できない。(60歳代病院勤務医、心臓血管外科)
・専門なので使い分けはしているが、ラシックスは静注薬としては最もよく使う。内服に切り替える場合で、心不全コントロール維持期にはダイアートやルプラックも使用する。(40歳代病院勤務医、循環器内科)
・やはり他の利尿薬とは切れ味が違う。朝食後服用が大半だが、その場合午後になると反動で排尿が少なくなることがあり、長時間作用をうたっている薬剤(アゾセミドなど)に切り替えたことがあるが、尿量はかなり少なくなってしまい、結局フロセミドに戻した。(60歳代病院勤務医、一般内科)
・やはり長年の使用歴、使用経験等からフロセミドが多い。使い勝手や増減調整も微妙なところまで対応ができる。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・30年以上前の研修医時代から使い慣れている。当時、利尿剤といえば、フロセミド一択だった。最近になってようやく症例に合わせてアゾセミドやトラセミドも使用するようになった。特にトラセミドは強すぎず、弱すぎず、カリウムも下がりにくいのが利点である。アゾセミドはフロセミド・トラセミドと比較してマイルドな効果で、外来での長期投与には安心して使用できる。(60歳代病院勤務医、その他の診療科)
この薬をファーストチョイスする理由(2020年5月更新)
・軽い心不全(うっ血)ならアゾセミドを用いていますが、なかなかアゾセミドでは十分な利尿が得られないことが多いので、やはりフロセミド頼みとなってしまいます。(60歳代病院勤務医、循環器内科)
・静注も含めて考えるといまだにフロセミドが多い。低心機能ならアゾセミド、Kが低めならトラセミドと病態によって使い分けてはいる。(30歳代病院勤務医、腎臓内科)
・即効性、確実性が良い。ただ、長期になりそうならアゾセミドやトラセミドに変えている。(60歳代病院勤務医、一般内科)
・フロセミドは最も使い慣れており効果も十分で薬価も低いので、もっぱら使用しています。(60歳代病院勤務医、一般内科)
・短時間の速効性なので、内服時刻を配慮すれば夜間頻尿の恐れが少ない。(40歳代病院勤務医、一般内科)
この薬をファーストチョイスする理由(2018年3月更新)
・心機能低下があればアゾセミドを用いるが、静注製剤も含めて考えるとやはりフロセミドに頼るところが大きい。フロセミドはオーラルバイオアベイラビリティに個人差があるため,静注から内服への切り替え時は静注時の1.5〜2倍程度多い量で一旦処方して経過をみながら調節している。利尿効果の持続時間も、ラシックス⇒シックス⇒6時間と分かりやすい。(30歳代病院勤務医、内科系専門科)
・抗がん剤使用時のむくみに処方していますが、強い副作用なく使用しやすいと思います。(40歳代病院勤務医)
・基本的にはフロセミドを用いており、治療反応性や病態に応じてトラセミドやブメタニドに変更することがある。(50歳代病院勤務医、内科系専門科)
・救急あるいは術後の心不全患者に投与するケースしかないので、ごく一般的なフロセミドを使用し、循環器内科にコンサルト。(30歳代病院勤務医、整形外科)
・効果が確実。形成外科医にとっては広範囲熱傷の集中治療でラシックス(注射)が欠かせない。(40歳代病院勤務医、形成外科)
・用量依存的に効果があり使い慣れている。短所としては低カリウム血症と高尿酸血症。(50歳代病院勤務医、循環器内科)
・20mg以上を使用する際には、低カリウム血症にならないようカリウム剤を併用するようにしている。(60歳代病院勤務医、一般内科)
・ダイアートやルプラックの方が好きですが、他院とやりとりする患者はほとんどラシックスなもので。(40歳代病院勤務医、循環器内科)
・安価で即効性も高いので、使用することが多いです。ただし、漫然と投与し続けると利尿効果が減弱したり、腎機能増悪を来すので、定期的な採血や利尿状況を確認して、他剤への変更等も検討しています。(30歳代病院勤務医、循環器内科)
・使用実績が長い。急性期治療に効果が早く有用。高齢者へは脱水と電解質異常に注意(アルダクトンの併用など)。(40歳代病院勤務医、一般内科)
・アゾセミドと比較して長期予後が芳しくない報告は承知していますが、速効性に勝るので使用する機会が多いです。(60歳代病院勤務医)
・即効性が高くよく使用しているが、カリウムの低下と効果減弱があるため長期には使用しません。(30歳代病院勤務医、呼吸器内科)
この薬をファーストチョイスする理由(2016年11月更新)
・効果が早いので急性期の患者に用いている。落ち着けばアゾセミドへ切り替えている。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・価格が安いことと、長期にわたる実績があること。(40歳代病院勤務医、一般内科)
・最近は症例に合わせてアゾセミド、トラセミドの使用が増えているが、まだまだフロセミドの頻度が高い。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・使い慣れている薬剤であるが、高齢者では電解質異常や脱水をきたしやすいので副作用には注意を要する。漫然とした長期投与は避けている。(60歳代病院勤務医、脳神経外科)
・使い慣れている。しかし、交感神経を興奮させないなどの利点がアゾセミドにはあるようなので、最近はそちらの割合を増やしている。(30歳代病院勤務医、一般内科)
この薬をファーストチョイスする理由(2015年6月更新)
・初めて発売されたループ利尿薬で、歴史もあり、副作用も全て分かっているため使用しやすいから。(70歳以上開業医、一般内科)
・長年使われている「枯れた」薬であるが、それだけに経験の蓄積があり、ファーストチョイスとして今後も生き続けるであろう。(50代病院勤務医、心臓血管外科)
・使い慣れているし、作用時間がシックス(6)時間というのも覚えやすい。(50代開業医、一般内科)
・短時間作用型で利尿効果の立ち上がりが早く、また夜間まで作用しないので、頻尿で睡眠障害が起きにくい。(50代開業医、一般内科)
・注射薬、散剤、錠剤と剤形が豊富。小児・新生児にも使用しやすい。(30代病院勤務医、小児科)
・長所:確実な利尿や浮腫改善など、急性効果が期待できる。処方経験が豊富。何が起きやすいか副作用が予想できる。短所:血圧や電解質の急激な変化に注意が必要。慢性期は尿酸値上昇やHbA1c上昇などが起きやすい。(40代病院勤務医、循環器内科)
・他薬に比べてキレが良く、急性期には必須の薬剤です。最近は、慢性期では長時間作用型が予後改善に良いというデータがあることから、落ち着けばダイアートへ切り替えるようにしていますが。(40代病院勤務医、循環器内科)
・最近は、ループ利尿薬を使い分けることが多くなりました。緩徐な効果が望ましいのならダイアート、カリウムが低めならルプラックを使います。(50代病院勤務医、一般内科)
添付文書
高血圧症(本態性高血圧症、腎性高血圧症等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、脳浮腫、尿路結石排出促進。
通常、成人にはフロセミドとして1日1回20mgを静脈注射又は筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。腎機能不全等の場合にはさらに大量に用いることもある。ただし、悪性高血圧に用いる場合には、通常、他の降圧剤と併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
静脈注射時には、緩徐に投与すること。特に、大量静脈注射の必要がある場合には、毎分4mg以下となるよう投与速度を調節すること(大量を急速に静脈注射した場合に難聴があらわれやすい)〔11.1.4参照〕。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。
11.1.2. 再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、赤芽球癆(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 水疱性類天疱瘡(頻度不明)。
11.1.4. 難聴(頻度不明)〔7.用法及び用量に関連する注意の項参照〕。
11.1.5. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症(いずれも頻度不明)。
11.1.6. 心室性不整脈(Torsades de pointes)(頻度不明):低カリウム血症を伴う心室性不整脈があらわれることがある。
11.1.7. 間質性腎炎(頻度不明)。
11.1.8. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。
11.2. その他の副作用
1). 血液:(頻度不明)貧血、白血球減少、好酸球増加、溶血性貧血。
2). 代謝異常:(頻度不明)低ナトリウム血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、代謝性アルカローシス、高尿酸血症、高血糖症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、偽性バーター症候群。
3). 皮膚:(頻度不明)発疹、蕁麻疹、発赤、光線過敏症、皮膚そう痒症、水疱性皮膚炎、紫斑、苔癬様皮疹。
4). 消化器:(頻度不明)食欲不振、下痢、悪心・嘔吐、口渇、*膵炎(*血清アミラーゼ値上昇)[*:膵炎があらわれるとの報告があるので、血清アミラーゼ値の上昇に注意すること]。
5). 肝臓:(頻度不明)黄疸、肝機能異常、胆汁うっ滞。
6). 腎臓:(頻度不明)BUN上昇、クレアチニン上昇。
7). 精神神経系:(頻度不明)めまい、頭痛、知覚異常、聴覚障害。
8). その他:(頻度不明)脱力感、倦怠感、起立性低血圧、筋痙攣、味覚異常、血管炎、発熱。
(禁忌)
2.1. 無尿の患者[本剤の効果が期待できない]。
2.2. 肝性昏睡の患者〔9.3.1参照〕。
2.3. 体液中のナトリウム減少、体液中のカリウム減少が明らかな患者[電解質失調を起こすおそれがある]。
2.4. スルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.5. デスモプレシン酢酸塩水和物投与中<男性における夜間多尿による夜間頻尿>の患者〔10.1参照〕。
(重要な基本的注意)
8.1. 本剤の利尿効果は急激にあらわれることがあるので、電解質失調、脱水に十分注意し、少量から投与を開始して、徐々に増量すること。
8.2. 連用する場合、電解質失調があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと。
8.3. 降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 重篤な冠動脈硬化症又は重篤な脳動脈硬化症のある患者:急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮をきたし、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
9.1.2. 本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者:痛風発作を起こすおそれがあり、糖尿病を悪化するおそれがある。
9.1.3. 下痢、嘔吐のある患者:電解質失調を起こすおそれがある。
9.1.4. 手術前の患者〔10.2参照〕。
9.1.5. 減塩療法時の患者:低ナトリウム血症を起こすおそれがある。
9.1.6. 全身性エリテマトーデスの患者:全身性エリテマトーデスを悪化させるおそれがある。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 重篤な腎障害のある患者:排泄遅延により血中濃度が上昇する。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 肝性昏睡の患者:投与しないこと(低カリウム血症によるアルカローシスの増悪により肝性昏睡が悪化するおそれがある)〔2.2参照〕。
9.3.2. 進行した肝硬変症のある患者:肝性昏睡を誘発することがある。
9.3.3. 肝疾患・肝機能障害のある患者:肝性昏睡を誘発することがある。
(妊婦)
妊娠初期又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
授乳しないことが望ましい(ヒト母乳中に移行する)。
(小児等)
9.7.1. 低出生体重児:生後数週間以内の呼吸窮迫症の低出生体重児では、動脈管開存のリスクが増加する可能性がある。
動脈管開存のため浮腫を生じた重度の低出生体重児及び硝子膜症のため浮腫を生じた重度の低出生体重児では、慎重に投与すること(腎石灰化症があらわれたとの報告がある)。
9.7.2. 乳児:乳児では電解質バランスがくずれやすい。
(高齢者)
高齢者:次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・ 高齢者:急激な利尿は血漿量の減少をきたし、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
・ 高齢者:特に心疾患等で浮腫のある高齢者では急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮をきたし、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
・ 高齢者:一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。
・ 高齢者:低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい。
(相互作用)
10.1. 併用禁忌:
デスモプレシン酢酸塩水和物<男性における夜間多尿による夜間頻尿><ミニリンメルト>〔2.5参照〕[低ナトリウム血症が発現するおそれがある(いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある)]。
10.2. 併用注意:
1). 昇圧アミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)〔9.1.4参照〕[昇圧アミンの作用を減弱するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には、本剤の一時休薬等の処置を行うこと(併用により血管壁の反応性が低下するためと考えられている)]。
2). ツボクラリン及びその類似作用物質(ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物)〔9.1.4参照〕[麻痺作用を増強することがあるので、手術前の患者に使用する場合には、本剤の一時休薬等の処置を行うこと(利尿剤による血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用が増強されると考えられている)]。
3). 他の降圧剤(β−遮断剤等)[降圧作用を増強するおそれがあるので、降圧剤の用量調節等に注意すること(作用機序の異なる降圧剤との併用により、降圧作用が増強される)]。
4). ACE阻害剤、A−2受容体拮抗剤[本剤投与中にACE阻害剤又はA−2受容体拮抗剤を初めて投与もしくは増量した際に、高度の血圧低下や、腎不全を含む腎機能の悪化を起こすことがあるので、これらの薬剤を初めて投与する場合や増量する場合は、本剤の一時休薬もしくは減量等を考慮すること(本剤投与中は血漿レニン活性が上昇しており、これらの薬剤を投与することによりレニン−アンジオテンシン系をブロックする結果、急激な血圧低下を起こすと考えられる)]。
5). アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩、アミカシン硫酸塩)[第8脳神経障害<聴覚障害>を増強するおそれがある(アミノグリコシド系抗生物質の内耳外有毛細胞内濃度が上昇し、最終的には外有毛細胞の壊死を引き起こし、永続的な難聴が起こる場合もある)]。
6). シスプラチン[聴覚障害が増強するおそれがある(シスプラチンの内耳外有毛細胞内濃度が上昇し、最終的には外有毛細胞の壊死を引き起こし、永続的な難聴が起こる場合もある)]。
7). アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩、アミカシン硫酸塩)、セファロスポリン系抗生物質(セファロチンナトリウム)[腎毒性を増強するおそれがある(近位尿細管でのナトリウム再吸収の増加に伴い、抗生物質の再吸収も増加することにより、組織内濃度が上昇し腎毒性が増強する)]。
8). ジギタリス剤(ジギトキシン、ジゴキシン)[ジギタリスの心臓に対する作用を増強するおそれがあるので、血清カリウム値及び血中ジギタリス濃度に注意すること(利尿剤による血清カリウム値の低下により、多量のジギタリスが心筋Na+−K+ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる)]。
9). 糖質副腎皮質ホルモン剤(ヒドロコルチゾン)、ACTH、グリチルリチン製剤<強力ネオミノファーゲンC>、甘草含有製剤[過剰のカリウム放出により低カリウム血症が発現するおそれがある(共にカリウム排泄作用を有する)]。
10). 糖尿病用剤(スルホニルウレア剤、インスリン)[糖尿病用剤の作用を著しく減弱するおそれがある(細胞内外のカリウム喪失がインスリン分泌の抑制、末梢でのインスリン感受性の低下をもたらす)]。
11). SGLT2阻害剤[利尿作用が増強されるおそれがあるので、血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を確認し、脱水症状の発現に注意し、必要に応じ本剤の用量を調整するなど注意すること(利尿作用が増強されるおそれがある)]。
12). リチウム(炭酸リチウム)[リチウム毒性を増強するおそれがあるので、血中リチウム濃度等に注意する(リチウムの腎での再吸収を促進し、リチウムの血中濃度が上昇する)]。
13). サリチル酸誘導体(サリチル酸ナトリウム、アスピリン)[サリチル酸誘導体毒性が発現するおそれがある(腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れサリチル酸中毒が起こる)]。
14). 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン)[本剤の利尿作用を減弱するおそれがある(非ステロイド性消炎鎮痛剤が腎でのプロスタグランジン合成を阻害し、水、塩類の体内貯留を引き起こし利尿剤の作用と拮抗する)]。
15). 尿酸排泄促進剤(プロベネシド)[尿酸排泄促進剤の尿酸排泄作用を減弱するおそれがある(尿酸再吸収の間接的増大により、尿酸排泄促進剤の作用が抑制される)]。
16). カルバマゼピン[症候性低ナトリウム血症が発現するおそれがある(ナトリウム排泄作用が増強され、低ナトリウム血症が起こる)]。
17). その他の強心剤(コルホルシンダロパート塩酸塩)[心室性期外収縮等の不整脈の発現を助長させるおそれがある(本剤により電解質失調が引き起こされ、併用により不整脈が発現する可能性がある)]。
18). シクロスポリン[痛風性関節炎を起こすおそれがある(フロセミドによって引き起こされる高尿酸血症とシクロスポリンによる尿酸塩排泄阻害により、副作用が悪化する)]。
19). V2−受容体拮抗剤(モザバプタン塩酸塩)[利尿作用が増強するおそれがあるので、血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を頻回にチェックし、脱水症状の発現に注意すること(利尿作用を増強させる)]。
(過量投与)
13.1. 症状
過量投与時、電解質及び体液喪失により血圧低下、心電図異常、血栓症、急性腎障害、譫妄状態等を起こす可能性がある。
13.2. 処置
過量投与時、本剤は血液透析によって除去できない。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤投与時の注意
14.1.1. 筋肉内注射時
(1). 筋肉内注射はやむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。筋肉内注射時同一部位への反復注射は行わないこと。特に小児等には注意すること。
(2). 筋肉内注射時神経走行部位を避けること。
(3). 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
(4). 筋肉内注射時、注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
(その他の注意)
15.1. 臨床使用に基づく情報
ヨード造影剤による造影剤腎症の発症リスクの高い患者に本剤を投与した時、造影剤投与前に輸液のみ行った群に比べ、造影剤投与後の腎機能悪化の割合が高かったとの報告がある。
(取扱い上の注意)
20.1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2. 低温(8℃以下)で保存する時結晶を析出することがあるが、この場合には室温で溶解してから使用すること(品質には何ら影響はない)。
(保管上の注意)
室温保存。
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