処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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クエチアピン錠200mg「アメル」の基本情報
基本情報
神経伝達物質のドパミンやセロトニンなどの多種類の受容体に作用することで、幻覚、妄想、感情や意欲の障害などを改善する薬
- ジプレキサ
- セロクエル
- シクレスト
- ビプレッソ
- 統合失調症
- 通常、成人にはクエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する
- 通常、1日投与量は150〜600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する
- なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する
- ただし、1日量として750mgを超えないこと
- (用法及び用量に関連する注意)7.1. 肝機能障害患者には、少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25〜50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること〔9.3肝機能障害患者の項、16.6.1参照〕
- 7.2. 高齢者には、少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25〜50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること〔9.8高齢者の項、16.6.2参照〕
副作用
注意事項
- 禁止
- 過敏症
- 昏睡状態
- 糖尿病
- 中枢神経抑制剤の強い影響下
- アドレナリン投与中<アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く>
- 慎重投与
- 肝機能障害
- 注意
- 肝機能障害
- 痙攣性疾患
- 高血糖
- 自殺企図
- 自殺念慮
- 脱水状態
- 低血圧
- てんかん
- 糖尿病
- 脳血管障害
- 肥満
- 不整脈
- 先天性QT延長症候群
- 心・血管疾患
- 長期臥床
- 糖尿病の危険因子を有する
- 不動状態
- 投与に際する指示
- 肝機能障害
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 慎重投与
- 高齢者
- 注意
- 授乳婦
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 乳児
- 幼児・小児
- 高齢者
- 投与に際する指示
- 高齢者
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
- 注意
- 認知症に関連した精神病症状<承認外効能・効果>を有する高齢(65歳〜)
- 小児等(0歳〜14歳)
- 投与に際する指示
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- アドレナリン<アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く>
- 作用を逆転させ重篤な血圧降下
- 中枢抑制剤
- 中枢神経抑制作用が増強
- エタノール摂取
- 中枢神経抑制作用が増強
- 肝薬物代謝酵素<CYP3A4>を誘導する薬剤
- 本剤の作用が減弱
- フェニトイン
- 本剤の作用が減弱
- カルバマゼピン
- 本剤の作用が減弱
- バルビツール酸誘導体
- 本剤の作用が減弱
- リファンピシン類
- 本剤の作用が減弱
- CYP3A4活性を強力に阻害する薬剤
- 本剤の作用を増強
- イトラコナゾール
- 本剤の作用を増強
- 薬物代謝酵素<CYP3A4>を阻害する薬剤
- 本剤の作用を増強
- エリスロマイシン
- 本剤の作用を増強
- CYP3A4活性を強力に阻害する薬剤
- 本剤の血漿中濃度が高値となりQT間隔が延長
- イトラコナゾール
- 本剤の血漿中濃度が高値となりQT間隔が延長
- QTを延長する薬剤
- QT延長
- アルコールを含むもの<ジン、ウオッカ、ラム、ウイスキー、ブランデー など>
処方理由
この薬をファーストチョイスする理由(2021年10月更新)
・高齢者に用いた場合、有害事象が出ない用量でも睡眠導入や不安の軽減などの効果が得られる。糖尿病に禁忌なのが不便。(50歳代病院勤務医、精神科)
・効果と副作用に比して、効果が高いと感じる。ただし、糖尿病で使用できないのが難点。(50歳代病院勤務医、整形外科)
・統合失調症に限らず、強い不安感や緊張感、抑うつ、躁状態など様々な精神症状に使用できる。(60歳代開業医、消化器外科)
・錐体外路症状が少なく使いやすい。ただ、攻撃的なせん妄には弱い印象。鎮静効果も高いため、夜間の睡眠を促しやすい。(40歳代病院勤務医、緩和ケア科)
・睡眠構築、気分安定など幅広く使いやすい。ただ、糖尿病に禁忌なのと、統合失調症中核群には不向きだと思う。(40歳代診療所勤務医、精神科)
この薬をファーストチョイスする理由(2020年1月更新)
・糖尿病症例には使用できないが、副作用含めて問題を経験したことはほぼなく、使用しやすい。効果もそれなりにありそうな実感を持っています。(50歳代病院勤務医、整形外科)
・鎮静効果がきちんとあり、錐体外路症状の副作用も少ない。抗うつ作用もあり。(60歳代病院勤務医、脳神経内科)
・効果は平均的であるが比較的副作用が少なく安定して効果が得られる。(60歳代病院勤務医、一般内科)
・作用時間が短く色々な症状に効果があり使いやすい。(40歳代病院勤務医、精神科)
この薬をファーストチョイスする理由(2018年1月更新)
・耐糖能異常をきたしていないか時々チェックするのが面倒ですが、あとは支障はないです。(50歳代病院勤務医、総合診療科)
・糖尿病には禁忌で、体重増加がありえますが、その他は効果を含めて満足しています。使い慣れています。(50歳代病院勤務医、整形外科)
・認知症のBPSD治療のためにセロクエルかリスパダールを使用します。副作用が少なく効果がありよい薬だと思います。(60歳代診療所勤務医、一般内科)
・基本的に副作用が少ないこと、効能は他剤と大きな違いがないこと、ジェネリックもあって薬価が手ごろであること、高齢者に使いやすいこと、等による。(50歳代病院勤務医、精神科)
・一般内科で勤務しているのですが、よく夜間せん妄患者に使用します。過鎮静になることもなく一般内科でも比較的使いやすい薬だと思います。(40歳代病院勤務医、一般内科)
・抗幻覚作用が強く、錐体外路症状が出にくい。(50歳代病院勤務医、神経内科)
・認知症に伴う精神運動興奮状態に対して、糖尿病でない場合には、ごく少量を屯用で、一つ覚えで使っている。保険病名も一つ覚えで「器質性の幻覚妄想状態」とつけている。統合失調症と事務的に見做されることに抵抗を持つ患者もある。(40歳代病院勤務医、一般内科)
・一般病院で高齢者入院患者を主に見ているため、認知症やせん妄、問題行動などの際、半減期が1番短いクエチアピンの特に12.5mgを頻用している。RISのような半減期の長い薬剤は、蓄積や持越しが多く使い難い印象。QTPだと、そういう心配が少なく、看護師レベルでも指示さえしておけば増減可能で調整しやすい利点がある。(60歳代病院勤務医、精神科)
・認知症のBPSDに使用。糖尿病がなければ、抑肝散と並んで第一選択。(30歳代病院勤務医、神経内科)
この薬をファーストチョイスする理由(2016年9月更新)
・FTDなど、認知症における夜間の興奮によく効きます。(50歳代開業医、一般内科)
・糖尿病の患者さん以外では非常に使いやすいです。ただ、体重が増えることがあります。(40歳代病院勤務医、整形外科)
・パーキンソニズムの発現が少ない点が良いです。糖尿病があればリスペリドン経口薬を使用しています。(40歳代病院勤務医、神経内科)
・認知症の周辺症状、特に易怒性があれば処方しています。糖尿病の禁忌は難点ですが、他剤と比べて副作用も少なく、傾眠傾向に気を付ければ効果はとても高いと思います。(40歳代病院勤務医、代謝・内分泌内科)
この薬をファーストチョイスする理由(2015年3月更新)
・鎮静効果がそこそこあるが、半減期が短く、日中に持ち越しにくいのが良い。幻覚妄想に対する効果は強くないが、抗うつ効果があり、統合失調症以外の患者にもよく処方している。(20代病院勤務医、精神科)
・パーキンソニズムが出にくい。活き活きとした表情を引き出しやすい。(40代病院勤務医、精神科)
・パーキンソン病に伴う幻覚などで使用することがあります。パーキンソニズムの増悪などの副作用が少なく、使いやすいと思っています。(60代病院勤務医、神経内科)
・糖尿病には使用できないのですが、それ以外には比較的副作用も少なく、マイルドで、せん妄などの患者さんによく使用しております。(50代診療所勤務医、総合診療科)
・夜間の不穏・夕暮れ症候群に対して効果がある。持続時間が長くなく、錐体外路症候も出にくい。糖尿病のある人には禁忌である。使いやすい。(50代病院勤務医、神経内科)
添付文書
統合失調症。
通常、成人にはクエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。通常、1日投与量は150〜600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する。
なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日量として750mgを超えないこと。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 肝機能障害患者には、少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25〜50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること〔9.3肝機能障害患者の項、16.6.1参照〕。
7.2. 高齢者には、少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25〜50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること〔9.8高齢者の項、16.6.2参照〕。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明):死亡に至るなどの致命的経過をたどることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと〔1.1、1.2、2.5、8.1、8.3、9.1.5参照〕。
11.1.2. 低血糖(頻度不明):脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと〔8.2、8.3参照〕。
11.1.3. 悪性症候群(Syndrome malin)(0.2%):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加やCK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)。
なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
11.1.4. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.5. 痙攣(頻度不明)。
11.1.6. 無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)〔8.9参照〕。
11.1.7. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.8. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.9. 遅発性ジスキネジア(0.9%):口周部不随意運動等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
11.1.10. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.6参照〕。
11.1.11. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%以上)不眠(19.3%)、易刺激性、傾眠(14.2%)、不安、頭痛、めまい、(1%未満)幻覚の顕在化、健忘、攻撃的反応、昏迷、神経症、妄想の顕在化、リビドー亢進、感情不安定、激越、錯乱、思考異常、自殺企図、人格障害、躁病反応、多幸症、舞踏病様アテトーシス、片頭痛、悪夢、うつ病、独語、衝動行為、自動症、(頻度不明)統合失調性反応、協調不能、レストレスレッグス症候群、軽躁、注意力障害、過眠症、自殺念慮、自傷行動、焦躁感、鎮静、意識レベル低下、せん妄、敵意。
2). 錐体外路症状:(5%以上)アカシジア、振戦、構音障害、(1〜5%未満)筋強剛、流涎過多、運動緩慢、歩行障害、ジスキネジア、嚥下障害、(1%未満)ジストニア、眼球回転発作、(頻度不明)構語障害、錐体外路障害、パーキンソン症候群。
3). 血液:(1%未満)顆粒球減少、(頻度不明)白血球数増加、好酸球増加症、貧血、血小板減少。
4). 循環器系:(5%以上)頻脈、(1〜5%未満)起立性低血圧、心悸亢進、心電図異常、(1%未満)低血圧、高血圧、徐脈、不整脈、失神、(頻度不明)血管拡張、動悸、心電図QT延長。
5). 肝臓:(5%以上)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、(1〜5%未満)Al−P上昇、γ−GTP上昇、(1%未満)ビリルビン血症、(頻度不明)肝機能検査異常。
6). 呼吸器系:(1%未満)去痰困難、鼻炎、(頻度不明)咳増加、鼻閉。
7). 消化器系:(5%以上)便秘、食欲減退、(1〜5%未満)悪心、(1%未満)食欲亢進、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良、(頻度不明)鼓腸放屁、消化管障害、吐血、直腸障害、過食、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、膵炎、胃炎、胃不快感。
8). 眼:(1%未満)瞳孔反射障害、(頻度不明)弱視、結膜炎。
9). 代謝・内分泌:(5%以上)高プロラクチン血症、T4減少、(1〜5%未満)高コレステロール血症、(1%未満)月経異常、甲状腺疾患、高脂血症、高カリウム血症、肥満症、(頻度不明)T3減少、痛風、低ナトリウム血症、水中毒、多飲症、TSH減少、TSH上昇、高トリグリセリド血症、高尿酸血症、尿糖陽性、FT4減少、乳汁漏出症。
10). 過敏症:(1%未満)発疹、(頻度不明)血管浮腫、そう痒、湿疹。
11). 泌尿器系:(1%未満)排尿障害、排尿困難、尿失禁、尿閉、BUN上昇、(頻度不明)持続勃起、射精異常、インポテンス、頻尿、膀胱炎、尿蛋白陽性。
12). その他:(5%以上)倦怠感、無力症、CK上昇、(1〜5%未満)口内乾燥、体重増加、(1%未満)多汗、発熱、体重減少、胸痛、筋肉痛、舌麻痺、しびれ感、背部痛、浮腫、ほてり、歯痛、(頻度不明)顔面浮腫、頸部硬直、腫瘤、過量投与、骨盤痛、歯牙障害、関節症、滑液包炎、筋無力症、痙縮、悪化反応、偶発外傷、耳障害、味覚倒錯、ざ瘡、脱毛症、薬剤離脱症候群(不眠、悪心、頭痛、下痢、嘔吐)、口渇、回転性めまい、悪寒、靭帯捻挫、意欲低下、末梢性浮腫、関節痛。
(警告)
1.1. 著しい血糖値上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔1.2、2.5、8.1、8.3、9.1.5、11.1.1参照〕。
1.2. 投与にあたっては、あらかじめ前記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること〔1.1、8.1、8.3、9.1.5、11.1.1参照〕。
(禁忌)
2.1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある]。
2.2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される]。
2.3. アドレナリン投与中<アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く>の患者〔10.1、13.2参照〕。
2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.5. 糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者〔1.1、11.1.1参照〕。
(重要な基本的注意)
8.1. 本剤の投与により、著しい血糖値上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の致命的経過をたどることがあるので、本剤投与中は、血糖値の測定や口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行うこと。特に、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者では、血糖値上昇し、代謝状態を急激に悪化させるおそれがある〔1.1、1.2、8.3、9.1.5、11.1.1参照〕。
8.2. 本剤の投与により、低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔8.3、11.1.2参照〕。
8.3. 本剤の投与に際し、あらかじめ著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡及び低血糖の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること〔1.1、1.2、8.1、8.2、9.1.5、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.4. 本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。
8.5. 本剤は、特に治療開始初期に起立性低血圧を起こすことがあるので、立ちくらみ、めまい等の低血圧症状があらわれた場合には減量等、適切な処置を行うこと〔9.1.1、9.8高齢者の項参照〕。
8.6. 本剤は主として中枢神経系に作用するため、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.7. 前治療薬からの切り替えの際、精神症状が悪化する可能性があるので観察を十分行いながら前治療薬の用量を減らしつつ、本薬を徐々に増量することが望ましい。また、症状の悪化が認められた場合には、他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
8.8. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、嘔吐等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
8.9. 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔11.1.6参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 心・血管疾患、脳血管障害、低血圧又はそれらの疑いのある患者:投与初期に一過性血圧降下があらわれることがある〔8.5、9.8高齢者の項参照〕。
9.1.2. てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させるおそれがある。
9.1.3. 不整脈又はその既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者:QT間隔延長する可能性がある〔10.2参照〕。
9.1.4. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者:症状を悪化させるおそれがある。
9.1.5. 糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者〔1.1、1.2、8.1、8.3、11.1.1参照〕。
9.1.6. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者:肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている〔11.1.10参照〕。
(肝機能障害患者)
肝機能障害患者:本剤は主に肝臓により代謝されるため、クリアランスが減少し、血漿中濃度が上昇することがある〔7.1、16.6.1参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット及びウサギ)で胎仔への移行が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある)。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで母乳中へ移行することが報告されている)。
(小児等)
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(高齢者)
非高齢者に比べてクエチアピンの経口クリアランスが30〜50%低く、AUCは約1.5倍であり、高い血漿中濃度が持続する傾向が認められており、また、海外臨床試験において非高齢者と比較し、起立性低血圧の発現頻度が増加する傾向が認められている〔7.2、8.5、9.1.1、16.6.2参照〕。
(相互作用)
本剤の代謝に関与する主なP450酵素はCYP3A4である〔16.4.1参照〕。
10.1. 併用禁忌:
アドレナリン<アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く><ボスミン>〔2.3、13.2参照〕[アドレナリンの作用を逆転させ重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β−受容体の刺激剤であり、本剤のα−受容体遮断作用により、β−受容体の刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。
10.2. 併用注意:
1). 中枢神経抑制剤、アルコール[中枢神経抑制作用が増強することがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与すること(薬力学的相互作用を起こすことがある)]。
2). CYP3A4誘導作用を有する薬剤(これらの薬剤を投与中止する場合には、本剤の減量を要することがある)(フェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体、リファンピシン等)〔16.7.1参照〕[本剤の作用が減弱することがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により、本剤のクリアランスが増加することがある)]。
3). 強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール等)〔16.7.2参照〕[本剤の作用を増強するおそれがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、本剤を減量するなどして慎重に投与すること;併用により本剤の血漿中濃度が高値となりQT間隔が延長するおそれがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を強く阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性がある)]。
4). CYP3A4阻害作用を有する薬剤(エリスロマイシン等)[本剤の作用を増強するおそれがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与すること(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性がある)]。
5). QT延長を起こすことが知られている薬剤〔9.1.3参照〕[QT延長があらわれるおそれがある(併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある)]。
(過量投与)
13.1. 症状
過量投与時、主な症状は傾眠、鎮静、頻脈、低血圧等であり、まれに昏睡、死亡に至る症例が報告されている。
13.2. 処置
過量投与時、低血圧の処置を行う場合、アドレナリン、ドパミンは、本剤のα−受容体遮断作用により低血圧を悪化させる可能性があるので投与しないこと〔2.3、10.1参照〕。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(その他の注意)
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
15.1.2. 国内臨床試験において、本剤と因果関係が不明の心筋梗塞、出血性胃潰瘍が報告されている。また、申請時に用いた外国長期投与試験において、急性腎障害が報告されている。
15.1.3. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状<承認外効能・効果>を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、本剤を含む非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6〜1.7倍高かったとの報告があり、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
15.2.1. イヌで長期大量(100mg/kg/日を6及び12カ月間)経口投与により、コレステロール合成阻害によると考えられる三角状後白内障が認められた。しかし、カニクイザル(最大225mg/kg/日を56週間)及びげっ歯類に投与しても白内障は認められなかった。また、臨床試験においても、本剤と関連した角膜混濁は認められなかった。
15.2.2. ラットに24カ月間経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の雌の投与群で乳腺腫瘍の発現頻度の上昇が報告されている。これらの腫瘍の所見は、げっ歯類においてプロラクチンと関連した所見として報告されているが、ヒトではプロラクチン濃度の上昇と腫瘍形成の関連性は明確にされていない。
(保管上の注意)
室温保存。
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