処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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アナフラニール錠10mgの基本情報
基本情報
脳内のノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質の働きを改善し、意欲を高め、憂鬱な気分などを改善する薬
- アナフラニール
- トフラニール、イミドール
- トリプタノール
- 遺尿症
- ナルコレプシーの情動脱力発作
- うつ状態
- うつ病
- 1.精神科領域におけるうつ病・うつ状態の場合:クロミプラミン塩酸塩として1日50〜100mgを1〜3回に分割経口投与する
- 但し、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は225mgまでとする
- 2.遺尿症の場合:6歳未満の幼児にはクロミプラミン塩酸塩として1日10〜25mgを、また6歳以上の小児には1日20〜50mgを1〜2回に分割経口投与する
- 但し、年齢、症状により適宜増減する
- 3.ナルコレプシーに伴う情動脱力発作の場合:クロミプラミン塩酸塩として1日10〜75mgを1〜3回に分割経口投与する
- 病気や症状に応じた注意事項
- 過敏症
- 心筋梗塞の回復初期
- 尿閉
- 閉塞隅角緑内障
- 前立腺疾患
- QT延長症候群
- MAO阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内
副作用
注意事項
- 禁止
- 過敏症
- 心筋梗塞の回復初期
- 尿閉
- 閉塞隅角緑内障
- 前立腺疾患
- QT延長症候群
- MAO阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内
- 慎重投与
- 副腎髄質腫瘍
- 開放隅角緑内障
- 褐色細胞腫
- 眼内圧亢進
- 狭心症
- 痙攣性疾患
- 甲状腺機能亢進症
- 刺激伝導障害
- 自殺企図
- 自殺念慮
- 重篤な肝障害
- 重篤な腎障害
- 心筋梗塞
- 神経芽細胞腫
- 心疾患
- 心不全
- 低カリウム血症
- 低血圧
- てんかん
- 排尿困難
- 発作性頻拍
- 不整脈
- 高度慢性便秘
- 脳器質障害
- 統合失調症素因
- 衝動性が高い併存障害
- 躁うつ病
- 希望禁止
- 妊婦・産婦
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 慎重投与
- 幼児・小児
- 高齢者
- 注意
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 乳児
- 幼児・小児
- 投与に際する指示
- 幼児・小児
- 高齢者
- 希望禁止
- 新生児(0日〜27日)
- 慎重投与
- 高齢者(65歳〜)
- 小児(0歳〜14歳)
- 注意
- 小児(0歳〜14歳)
- 50歳以上(50歳〜)
- 24歳以下(0歳〜24歳)
- 投与に際する指示
- 小児(0歳〜14歳)
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- MAO阻害剤<リネゾリド・ゾニサミド以外>
- 発汗
- セレギリン塩酸塩
- 発汗
- ラサギリンメシル酸塩
- 発汗
- ゾニサミド
- 発汗
- MAO阻害剤<リネゾリド・ゾニサミド以外>
- 不穏
- セレギリン塩酸塩
- 不穏
- ラサギリンメシル酸塩
- 不穏
- MAO阻害剤<リネゾリド・ゾニサミド以外>
- 全身痙攣
- セレギリン塩酸塩
- 全身痙攣
- ラサギリンメシル酸塩
- 全身痙攣
- MAO阻害剤<リネゾリド・ゾニサミド以外>
- 異常高熱
- セレギリン塩酸塩
- 異常高熱
- ラサギリンメシル酸塩
- 異常高熱
- MAO阻害剤<リネゾリド・ゾニサミド以外>
- 昏睡
- セレギリン塩酸塩
- 昏睡
- ラサギリンメシル酸塩
- 昏睡
- 副交感神経興奮剤
- 作用が減弱
- ピロカルピン
- 作用が減弱
- セビメリン
- 作用が減弱
- 抗コリン作用を有する薬剤
- 口渇
- トリヘキシフェニジル
- 口渇
- アトロピン
- 口渇
- 抗コリン作用を有する薬剤
- 便秘
- トリヘキシフェニジル
- 便秘
- アトロピン
- 便秘
- 抗コリン作用を有する薬剤
- 尿閉
- トリヘキシフェニジル
- 尿閉
- アトロピン
- 尿閉
- 抗コリン作用を有する薬剤
- 視力障害
- トリヘキシフェニジル
- 視力障害
- アトロピン
- 視力障害
- 抗コリン作用を有する薬剤
- 眠気
- トリヘキシフェニジル
- 眠気
- アトロピン
- 眠気
- 交感神経作動薬
- 心血管作用<高血圧等>を増強
- エピネフリン
- 心血管作用<高血圧等>を増強
- ノルエピネフリン
- 心血管作用<高血圧等>を増強
- フェニレフリン
- 心血管作用<高血圧等>を増強
- アトモキセチン
- 相互に作用が増強
- 中枢抑制剤
- 中枢神経抑制作用が増強
- バルビツール酸誘導体
- 中枢神経抑制作用が増強
- 全身麻酔
- 中枢神経抑制作用が増強
- ハロタン
- 中枢神経抑制作用が増強
- 抗不安薬
- 中枢神経抑制作用が増強
- アルプラゾラム
- 中枢神経抑制作用が増強
- エタノール摂取
- 中枢神経抑制作用が増強
- サリドマイド
- 中枢神経抑制作用が増強
- フェノチアジン系トランキライザー
- 鎮静
- レボメプロマジン
- 鎮静
- フェノチアジン系トランキライザー
- 抗コリン作用の増強
- レボメプロマジン
- 抗コリン作用の増強
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤
- 本剤の血中濃度が上昇し作用が増強
- フルボキサミン
- 本剤の血中濃度が上昇し作用が増強
- パロキセチン
- 本剤の血中濃度が上昇し作用が増強
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤
- セロトニン症候群
- フルボキサミン
- セロトニン症候群
- パロキセチン
- セロトニン症候群
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
- セロトニン症候群
- ミルナシプラン
- セロトニン症候群
- リチウム製剤
- セロトニン症候群
- 三環系抗うつ剤
- セロトニン症候群
- アミトリプチリン
- セロトニン症候群
- イミプラミン
- セロトニン症候群
- 塩酸トラマドール
- セロトニン症候群
- リネゾリド
- セロトニン症候群
- 肝酵素誘導作用をもつ医薬品
- 本剤の血中濃度が低下し作用が減弱
- バルビツール酸誘導体
- 本剤の血中濃度が低下し作用が減弱
- フェニトイン
- 本剤の血中濃度が低下し作用が減弱
- カルバマゼピン
- 本剤の血中濃度が低下し作用が減弱
- リファンピシン類
- 本剤の血中濃度が低下し作用が減弱
- フェニトイン
- 他の三環系抗うつ剤<イミプラミン>でフェニトインの作用が増強
- キニジン
- 本剤の作用が増強
- プロパフェノン
- 本剤の作用が増強
- メチルフェニデート
- 本剤の作用が増強
- シメチジン
- 本剤の作用が増強
- 黄体・卵胞ホルモン剤
- 本剤の作用が増強
- シナカルセト
- 本剤の作用が増強
- サキナビル
- 本剤の作用が増強
- テルビナフィン
- 他の三環系抗うつ剤<イミプラミン>で活性代謝物の血中濃度が上昇
- ホスアンプレナビル
- 本剤の血中濃度が上昇
- 血圧降下剤
- 作用を減弱
- グアネチジン
- 作用を減弱
- インスリン製剤
- 過度の血糖低下
- スルホニルウレア系薬剤
- 過度の血糖低下
- グリベンクラミド
- 過度の血糖低下
- グリクラジド
- 過度の血糖低下
- クマリン系抗凝血剤
- ノルトリプチリンとの併用によりクマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長
- ワルファリン
- ノルトリプチリンとの併用によりクマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長
- スルファメトキサゾール・トリメトプリム
- 抑うつが再発又は悪化
- QTを延長する薬剤
- QT間隔延長
- スニチニブ
- QT間隔延長
- ダサチニブ
- QT間隔延長
- マプロチリン
- QT間隔延長
- QTを延長する薬剤
- 心室性不整脈<Torsade de Pointesを含む>
- スニチニブ
- 心室性不整脈<Torsade de Pointesを含む>
- ダサチニブ
- 心室性不整脈<Torsade de Pointesを含む>
- マプロチリン
- 心室性不整脈<Torsade de Pointesを含む>
- QTを延長する薬剤
- 重篤な副作用
- スニチニブ
- 重篤な副作用
- ダサチニブ
- 重篤な副作用
- マプロチリン
- 重篤な副作用
- デスモプレシン
- 低ナトリウム血症性の痙攣発作
- ゾニサミド
- 高血圧
- ゾニサミド
- 失神
- ゾニサミド
- 不全収縮
- ゾニサミド
- てんかん
- ゾニサミド
- 動作・精神障害の変化
- ゾニサミド
- 筋強剛
- アルコールを含むもの<ジン、ウオッカ、ラム、ウイスキー、ブランデー など>
処方理由
この薬をファーストチョイスする理由(2020年11月更新)
・処方することはほとんどありませんが、経口内服困難な重症うつ病の患者にクロミプラミン点滴を行ったところ改善の糸口となったことがありました。(30歳代病院勤務医、精神科)
・特に不安・焦燥が強い激越型のうつ病に対し、時に点滴静注で使用することがある。効能は高く、重篤な有害事象も経験していないため、満足している。(50歳代病院勤務医、精神科)
・SSRIやSNRIが無効な症例に処方する場合がある。ただ副作用には注意が必要。注射薬もある。(50歳代、一般内科)
・基本的に三環系抗うつ薬は選択しないが、点滴があるため。(20歳代病院勤務医、精神科)
この薬をファーストチョイスする理由(2019年3月更新)
・精神科領域でも副作用の多い三環系を使う機会はかなり少なくなっている。よっぽどSSRI、SNRIでは効果不十分な場合や、難治性のうつや強迫性障害などでのみ使うといった印象。ただそういった例は、背景にパーソナリティーの問題や発達障害があり、きれいには治らないことが多い。(30歳代病院勤務医、精神科)
・現在は普段使うことはほとんどないが、重症の内因性うつ病等の場合には点滴投与することもある。そういう用途がある点で、やはり今もなお、必要な薬剤と考える。慎重に使用すれば、副作用も特に問題ない。(50歳病院勤務医、精神科)
・強迫性障害の治療でSSRIや抗精神病薬が無効の際にアナフラニールだけ効果を示すというケースがある。他にはアモキサンくらいしか処方することはない。(30歳代診療所勤務医、精神科)
・点滴があるのはこれだけだから、もっぱら入院加療の点滴で使います。(50歳病院勤務医、精神科)
この薬をファーストチョイスする理由(2017年8月更新)
・経口ではほとんど使用しないが、重度のうつ病に対し、今でも点滴で静脈内投与する機会はある。有効性には満足している。(50歳代病院勤務医、精神科)
・効果は最も期待できる抗うつ薬だと考えております。(40歳代病院勤務、精神科)
・点滴で使用すると副作用が内服よりも少なくて効果発現が早い点。(40歳代病院勤務医、精神科)
・内服不能な場合、やむを得ず点滴で投与する。(30歳代病院勤務医、精神科)
・SSRIやSNRIの登場で三環系抗うつ薬の出番はほとんどなくなったが、重度の強迫性障害にはアナフラニール高用量が現在でも選択肢の一つ。(50歳代病院勤務医、精神科)
・半減期が比較的長い分、抗コリン作用が極端には強く出ずに済む。もっとも、神経障害性疼痛に対する薬が他にも出てきた現在、三環系を使うことはほぼなくなった。(60歳代病院勤務医、放射線科)
・排泄行為に制限がかかるのがつらい副作用ですが、しばらく我慢してもらいながら様子をみるようにしている。(30歳代診療所勤務医、一般内科)
添付文書
1.精神科領域におけるうつ病・うつ状態。
2.遺尿症。
3.ナルコレプシーに伴う情動脱力発作。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮する。
1.精神科領域におけるうつ病・うつ状態の場合:クロミプラミン塩酸塩として1日50〜100mgを1〜3回に分割経口投与する。但し、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は225mgまでとする。
2.遺尿症の場合:6歳未満の幼児にはクロミプラミン塩酸塩として1日10〜25mgを、また6歳以上の小児には1日20〜50mgを1〜2回に分割経口投与する。但し、年齢、症状により適宜増減する。
3.ナルコレプシーに伴う情動脱力発作の場合:クロミプラミン塩酸塩として1日10〜75mgを1〜3回に分割経口投与する。
うつ病・うつ状態での副作用は、承認時まで及び承認後の副作用調査例数の累計1,964例中673例(34.3%)に認められ、主な症状としては口渇351件(17.9%)、眠気152件(7.7%)、立ちくらみ・眩暈・ふらつき144件(7.3%)、食欲不振76件(3.9%)等がみられている。
遺尿症での副作用は、承認時までの調査198例(二重盲検比較試験を含む)中69例(34.8%)に認められ、主な症状としては食欲不振31件(15.7%)、早朝覚醒23件(11.6%)、口渇18件(9.1%)等がみられている。
1.重大な副作用
1).悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇(血清CPK上昇)がみられることが多く、またミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
2).セロトニン症候群(頻度不明):不安、焦燥、譫妄、興奮、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクロヌス、反射亢進、下痢等を主症状とするセロトニン症候群が現れることがあるので、これらの症状が出現した場合には投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。
3).てんかん発作(頻度不明):てんかん発作が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
4).横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意する。
5).無顆粒球症、汎血球減少(頻度不明):無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等)、汎血球減少が現れることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
6).麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺が現れた場合には投与を中止する。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意する。
7).間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
8).抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):症状として低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等が現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行う。
9).QT延長、心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、心室細動(頻度不明):定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
10).肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ−GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2.その他の副作用
1).循環器:(5%以上又は頻度不明)起立性低血圧、心電図異常(QT延長等)、頻脈、不整脈、心ブロック、血圧上昇、(0.1%〜5%未満)血圧降下、動悸。
2).精神神経系:(5%以上又は頻度不明)眠気、知覚異常、幻覚、譫妄、精神錯乱、攻撃的反応、激越、悪夢、抑うつ悪化、記憶障害、離人症、ミオクロヌス、意識障害、(0.1%〜5%未満)パーキンソン症状・振戦・アカシジア等の錐体外路障害、躁状態、不眠、あくび、性機能障害、(0.1%未満)言語障害、不安、集中力欠如、運動失調[このような場合には、減量又は休薬等適切な処置を行う]。
3).抗コリン作用:(5%以上又は頻度不明)口渇、眼内圧亢進、緑内障、尿閉、(0.1%〜5%未満)排尿困難、視調節障害(散瞳等)、便秘。
4).皮膚:(5%以上又は頻度不明)光線過敏症、脱毛[このような場合には投与を中止する]。
5).過敏症:(0.1%〜5%未満)発疹、そう痒感[このような場合には投与を中止する]。
6).血液:(5%以上又は頻度不明)白血球減少、血小板減少、紫斑、点状出血、好酸球増多[定期的に血液検査を行うことが望ましく、異常が認められた場合には投与を中止する]。
7).肝臓:(5%以上又は頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)[観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止する]。
8).消化器:(5%以上又は頻度不明)味覚異常、(0.1%〜5%未満)悪心・嘔吐、食欲不振、(0.1%未満)下痢。
9).内分泌:(5%以上又は頻度不明)プロラクチン分泌促進、乳房肥大、乳汁漏出、体重増加。
10).長期投与:(5%以上又は頻度不明)口周部不随意運動等の不随意運動[投与中止後も持続することがある]。
11).その他:(5%以上又は頻度不明)ふらつき・眩暈、食欲亢進、浮腫、(0.1%〜5%未満)倦怠感、脱力感、頭痛、発汗、異常高熱、熱感。
(禁忌)
1.閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
2.本剤の成分又は三環系抗うつ剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
3.心筋梗塞の回復初期の患者[症状を悪化させる恐れがある]。
4.尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある]。
5.MAO阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩)の患者[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等が現れる恐れがある]。
6.QT延長症候群のある患者[心室性不整脈を起こす恐れがある]。
(慎重投与)
1.開放隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
2.排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある]。
3.心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者[循環器系に影響を及ぼすことがある]。
4.てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。なお、米国における臨床試験の結果、本剤の用量とてんかん発作出現に明らかな相関関係が認められている]。
5.躁うつ病患者[躁転、自殺企図が現れることがある]。
6.脳器質障害又は統合失調症素因のある患者[精神症状を増悪させることがある]。
7.衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある]。
8.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図が現れることがある]。
9.副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫、神経芽細胞腫等)のある患者[高血圧発作を引き起こすことがある]。
10.重篤な肝障害・重篤な腎障害のある患者[代謝・排泄障害により副作用が現れやすい]。
11.低血圧のある患者[高度の血圧低下が起こることがある]。
12.低カリウム血症のある患者[低カリウム状態はQT延長の危険因子と考えられる]。
13.高度慢性便秘のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある]。
14.小児又は高齢者[小児に投与する場合には4歳以上に投与することが望ましい]。
(重要な基本的注意)
1.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する。
2.うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図の恐れがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察する。
3.不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等が現れることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行う。
4.自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめる。
5.家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化が現れるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導する。
6.投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害、筋攣縮等の離脱症状が現れることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行う。
7.ナルコレプシーに伴う情動脱力発作を有する患者では、投与量の急激な減少ないし投与の中止により、反跳現象(情動脱力発作の急速な増悪)が現れることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行う。
(相互作用)
本剤の代謝には肝薬物代謝酵素CYP2D6が関与している。また、CYP1A2、CYP3A4、CYP2C19も関与していると考えられている。
1.併用禁忌:MAO阻害剤<リネゾリド・ゾニサミド以外>(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>)[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等が現れることがあるので、MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からMAO阻害剤に切り替えるときには、2〜3日間の間隔をおくことが望ましい(本剤は活性アミンのシナプス内への取り込みを阻害して、受容体の感受性を増強する)]。
2.併用注意:
1).副交感神経刺激剤(ピロカルピン、セビメリン)[これらの薬剤の作用が減弱されることがある(本剤の抗コリン作用によりこれらの薬剤と拮抗的に作用すると考えられている)]。
2).抗コリン作用を有する薬剤(トリヘキシフェニジル、アトロピン等)[口渇、便秘、尿閉、視力障害、眠気等が現れることがある(いずれも抗コリン作用を有するため)]。
3).アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン、フェニレフリン等)[心血管作用<高血圧等>を増強することがある(本剤は交感神経末梢へのノルアドレナリン等の取り込みを抑制し、受容体部位へのアドレナリン作動性を上昇させ、作用を増強させる)]。
4).アトモキセチン[相互に作用が増強する恐れがある(ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある)]。
5).中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)、全身麻酔剤(ハロタン等)、抗不安剤(アルプラゾラム等)、アルコール、サリドマイド[中枢神経抑制作用が増強されることがある(いずれも中枢神経抑制作用を有するため)]。
6).フェノチアジン系精神神経用剤(レボメプロマジン等)[鎮静、抗コリン作用の増強が現れることがある(いずれも中枢神経抑制作用、抗コリン作用を有するため)]。
7).選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(フルボキサミン、パロキセチン等)[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されることがあり、セロトニン症候群が現れる恐れがある(これらの薬剤は本剤の肝臓での酸化的な代謝を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられ、また、相互にセロトニン作動性が増強される可能性がある)]。
8).セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>(ミルナシプラン)、リチウム製剤、三環系抗うつ剤(アミトリプチリン、イミプラミン等)、トラマドール塩酸塩、リネゾリド[セロトニン症候群が現れる恐れがある(相互にセロトニン作動性が増強される可能性がある)]。
9).肝酵素誘導作用を持つ薬剤(バルビツール酸誘導体、フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン等)[本剤の血中濃度が低下し作用が減弱する恐れがある(これらの薬剤の肝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられている)]。
10).フェニトイン[他の三環系抗うつ剤<イミプラミン>でフェニトインの作用が増強するとの報告がある(フェニトインの代謝が阻害され、フェニトインの血中濃度が上昇すると考えられている)]。
11).抗不整脈剤(キニジン、プロパフェノン)、メチルフェニデート、シメチジン、黄体・卵胞ホルモン製剤、シナカルセト、サキナビル[本剤の作用が増強される恐れがある(これらの薬剤により、本剤の肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられている)]。
12).テルビナフィン[他の三環系抗うつ剤<イミプラミン>で活性代謝物の血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意する(テルビナフィンのCYP2D6の阻害により、イミプラミン又はその活性代謝物の代謝が遅延する)]。
13).ホスアンプレナビル[本剤の血中濃度が上昇する可能性がある(ホスアンプレナビルの活性代謝物であるアンプレナビルは本剤の代謝を競合的に阻害すると考えられる)]。
14).降圧剤(グアネチジン)[降圧剤の作用を減弱することがある(本剤がアドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤の交感神経ニューロンへの取り込みを阻害し、また、本剤は交感神経ニューロンへのカテコラミン取り込み阻害作用も有する)]。
15).インスリン製剤(インスリン)、スルホニル尿素系糖尿病用剤(グリベンクラミド、グリクラジド)[併用により過度の血糖低下を来すことがある(本剤での機序は不明であるが、他の三環系抗うつ剤(ドキセピン)により低血糖に対する反応性が変化するか、インスリンに対する感受性が増大し、血糖降下作用が増強すると考えられている)]。
16).クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[他の三環系抗うつ剤ノルトリプチリンとの併用によりクマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長するとの報告がある(機序不明)]。
17).スルファメトキサゾール・トリメトプリム[本剤との併用により抑うつが再発又は悪化することがある(本剤の代謝促進又は両剤の受容体レベルでの拮抗作用によるものと考えられている)]。
18).電気ショック療法[痙攣閾値を低下させ痙攣状態に陥る恐れがある(本剤は痙攣閾値を低下させると考えられている)]。
19).QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(スニチニブ、ダサチニブ、マプロチリン等)[QT間隔延長、心室性不整脈<Torsade de Pointesを含む>等の重篤な副作用を起こす恐れがある(いずれもQT間隔を延長させる恐れがあるため)]。
20).デスモプレシン[低ナトリウム血症性の痙攣発作を起こすことがあるので、血清ナトリウム、血漿浸透圧等をモニターする(いずれも低ナトリウム血症が現れる恐れがあるため)]。
21).ゾニサミド[高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変化及び筋強剛等の副作用が現れる恐れがある(相加・相乗作用によると考えられる)]。
(高齢者への投与)
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する[高齢者では、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等が現れやすい]。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい[新生児に呼吸困難、嗜眠、チアノーゼ、興奮性、低血圧、高血圧、痙攣、筋痙縮、振戦等の離脱症状を起こしたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期に本剤を投与された患者群において、胎児での心血管系異常(心室中隔欠損又は心房中隔欠損等)の相対リスクは本剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。動物実験(ウサギ)において静脈内投与した場合、胎仔死亡率増加が認められている。また、他の三環系抗うつ剤(イミプラミン)の動物実験(ウサギ)で催奇形作用が報告されている]。
2.本剤投与中は授乳を避けさせる[ヒト母乳中へ移行する]。
(小児等への投与)
小児に投与する場合には4歳以上に投与することが望ましい[低出生体重児、新生児又は乳児に対する使用経験がない]。
(過量投与)
1.過量投与時の徴候、症状:最初の徴候、症状は通常服用30分〜2時間後に高度の抗コリン作用を主症状として出現する[中枢神経系:眠気、昏迷、意識障害、運動失調、情動不安、激越、反射亢進、筋強剛、アテトーシス及び舞踏病アテトーシス様運動、痙攣、セロトニン症候群、心血管系:低血圧、頻脈、不整脈、伝導障害、ショック、心不全、非常にまれにQT延長、トルサード・ド・ポアン、心停止、その他:呼吸抑制、チアノーゼ、嘔吐、散瞳、発汗、乏尿、無尿等]。
2.過量投与時の処置:特異的な解毒剤は知られていないので、催吐もしくは胃洗浄を行い活性炭を投与する(なお、腹膜透析又は血液透析はほとんど無効である)。
必要に応じて、次の様な処置を行う。過量投与による症状が重篤な場合には、直ちに入院させ、少なくとも48時間は心モニターを継続する(心電図異常がみられた患者は、心電図が正常に復した後であっても再発の可能性があるため、少なくとも72時間は、心機能の観察を継続する)。
1).過量投与による呼吸抑制:挿管及び人工呼吸。
2).過量投与による高度低血圧:患者を適切な姿勢に保つ、血漿増量剤、ドパミン、あるいはドブタミンを点滴静注。
3).過量投与による不整脈:症状に応じた処置を行う(ペースメーカー挿入を必要とする場合もある)。過量投与により低カリウム血症及びアシドーシスがみられた場合はこれらを是正する。
4).過量投与による痙攣発作:ジアゼパム静注又は他の抗痙攣剤(フェノバルビタール等)投与(但し、これらの薬剤による呼吸抑制、低血圧、昏睡の増悪に注意)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(その他の注意)
1.三環系抗うつ剤の長期投与でう歯発現の増加を招くことが報告されている。
2.連用中は定期的に肝機能・腎機能検査及び血液検査を行うことが望ましい。
3.本剤投与中にコンタクトレンズを使用している場合、角膜上皮の障害が現れる恐れがある[本剤は抗コリン作用があり、涙液分泌を減少させるため]。
4.海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
5.主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
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