処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
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アスピリン「ヨシダ」の基本情報
基本情報
COX(シクロオキシゲナーゼ)という体内の酵素の働きを阻害することで血小板凝集を抑える作用(抗血小板作用)をあらわし、血栓の形成を抑えて血管をつまらせないようにする薬
- バファリン配合錠A81
- バイアスピリン
- タケルダ配合錠
- キャブピリン配合錠
体内で炎症などを引きおこす体内物質プロスタグランジンの生成を抑え、炎症や痛みなどを抑え、熱を下げる薬
- ロキソニン
- アスピリン
- セレコックス
- ボルタレン
- ナイキサン
- 関節痛
- 筋肉痛
- 月経痛
- 頭痛
- 打撲痛
- 捻挫痛
- 歯痛
- 関節周囲炎
- 急性上気道炎の解熱
- 急性上気道炎の鎮痛
- 結合織炎
- 強直性脊椎炎
- 術後疼痛
- 症候性神経痛
- 痛風の痛み
- 変形性関節症
- 腰痛症
- リウマチ熱
- 川崎病
- 関節リウマチ
- 川崎病による心血管後遺症
- 急性気管支炎を伴う急性上気道炎の解熱
- 急性気管支炎を伴う急性上気道炎の鎮痛
- 1.関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛の場合:アスピリンとして、1回0.5〜1.5g、1日1.0〜4.5gを経口投与する
- なお、年齢、疾患、症状により適宜増減する
- 但し、前記の最高量までとする
- 2.急性上気道炎の解熱・鎮痛の場合:アスピリンとして、1回0.5〜1.5gを頓用する
- なお、年齢、症状により適宜増減する
- 但し、原則として1日2回までとし、1日最大4.5gを限度とする
- また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい
- 3.川崎病の場合:急性期有熱期間は、アスピリンとして1日体重1kgあたり30〜50mgを3回に分けて経口投与する
- 解熱後の回復期から慢性期は、アスピリンとして1日体重1kgあたり3〜5mgを1回経口投与する
- なお、症状に応じて適宜増減する
副作用
注意事項
- 禁止
- アスピリン喘息
- 過敏症
- 重篤な肝障害
- 重篤な心機能不全
- 重篤な腎障害
- 出血傾向
- 消化性潰瘍
- 重篤な血液異常
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作
- 原則禁止
- 15歳未満の水痘
- 15歳未満のインフルエンザ
- 慎重投与
- 過敏症
- 肝障害
- 気管支喘息
- 血液異常
- 出血傾向
- 消化性潰瘍
- 心機能異常
- 腎障害
- 手術前1週間以内
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍
- アルコール常飲
- 心臓カテーテル検査前1週間以内
- 抜歯前1週間以内
- 注意
- 消耗性疾患
- 手術前1週間以内
- 15歳未満の水痘
- 15歳未満のインフルエンザ
- 投与に際する指示
- 15歳未満の水痘
- 15歳未満のインフルエンザ
- 禁止
- 妊婦・産婦
- 原則禁止
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 乳児
- 幼児・小児
- 相対禁止
- 妊婦・産婦
- 慎重投与
- 妊婦・産婦
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 乳児
- 幼児・小児
- 高齢者
- 注意
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 乳児
- 幼児・小児
- 高齢者
- 投与に際する指示
- 新生児(低出生体重児を含む)
- 乳児
- 幼児・小児
- 高齢者
- 原則禁止
- 15歳未満の水痘(0歳〜14歳)
- 15歳未満のインフルエンザ(0歳〜14歳)
- 慎重投与
- 15歳未満の川崎病(0歳〜14歳)
- 川崎病の小児(0歳〜14歳)
- 低出生体重児(0日〜27日)
- 新生児(0日〜27日)
- 乳児(0日〜364日)
- 幼児(0歳〜6歳)
- 小児(0歳〜14歳)
- 高齢者(65歳〜)
- 注意
- 長期間投与されている女性
- 15歳未満の水痘(0歳〜14歳)
- 15歳未満のインフルエンザ(0歳〜14歳)
- 高熱を伴う小児(0歳〜14歳)
- 高熱を伴う高齢者(65歳〜)
- 高齢者(65歳〜)
- 小児(0歳〜14歳)
- 投与に際する指示
- 15歳未満の水痘(0歳〜14歳)
- 15歳未満のインフルエンザ(0歳〜14歳)
- 高齢者(65歳〜)
相互作用
- 薬剤名
- 影響
- クマリン系抗凝血剤
- 作用を増強し出血時間の延長・消化管出血
- ワルファリンカリウム
- 作用を増強し出血時間の延長・消化管出血
- 血液凝固阻止剤
- 出血の危険性が増大
- ヘパリン製剤
- 出血の危険性が増大
- ダナパロイドナトリウム
- 出血の危険性が増大
- 10a阻害剤
- 出血の危険性が増大
- リバーロキサバン
- 出血の危険性が増大
- 抗トロンビン剤
- 出血の危険性が増大
- ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
- 出血の危険性が増大
- トロンボモデュリン アルファ
- 出血の危険性が増大
- 血小板凝集抑制作用を有する薬剤
- 出血の危険性が増大
- チクロピジン塩酸塩
- 出血の危険性が増大
- シロスタゾール
- 出血の危険性が増大
- 硫酸クロピドグレル
- 出血の危険性が増大
- トロンボキサン合成阻害剤
- 出血の危険性が増大
- オザグレルナトリウム
- 出血の危険性が増大
- プロスタグランジンE1製剤
- 出血の危険性が増大
- プロスタグランジンI2誘導体製剤
- 出血の危険性が増大
- ベラプロストナトリウム
- 出血の危険性が増大
- サルポグレラート
- 出血の危険性が増大
- イコサペント酸エチル
- 出血の危険性が増大
- 血栓溶解剤
- 出血の危険性が増大
- ウロキナーゼ
- 出血の危険性が増大
- 組織プラスミノゲンアクチベーター製剤
- 出血の危険性が増大
- 糖尿病用薬
- 作用を増強し低血糖
- ヒトインスリン
- 作用を増強し低血糖
- トルブタミド
- 作用を増強し低血糖
- メトトレキサート製剤
- 副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化器障害等>が増強
- バルプロ酸
- 作用を増強し振戦
- フェニトイン
- 総フェニトイン濃度を低下させるが非結合型フェニトイン濃度を低下させない
- 副腎皮質ホルモン剤
- サリチル酸中毒
- ベタメタゾン
- サリチル酸中毒
- プレドニゾロン
- サリチル酸中毒
- メチルプレドニゾロン
- サリチル酸中毒
- ループ利尿剤
- サリチル酸中毒
- フロセミド
- サリチル酸中毒
- リチウム製剤
- 類薬<インドメタシン等>でリチウム中毒
- チアジド系薬剤
- 類薬<インドメタシン等>でチアジド系利尿剤の作用を減弱
- ループ利尿剤
- 利尿作用を減弱
- フロセミド
- 利尿作用を減弱
- β−遮断剤
- 降圧作用が減弱
- プロプラノロール
- 降圧作用が減弱
- ACE阻害剤
- 降圧作用が減弱
- カプトプリル
- 降圧作用が減弱
- ニトログリセリン
- 作用を減弱
- 尿酸排泄促進剤
- 作用を減弱
- プロベネシド
- 作用を減弱
- ベンズブロマロン
- 作用を減弱
- 乳酸ナトリウムを含有する輸液
- 本剤の作用が減弱
- インドメタシン製剤
- 血中濃度を低下
- ジクロフェナク
- 血中濃度を低下
- インドメタシン製剤
- 消化器系の副作用を増強
- ジクロフェナク
- 消化器系の副作用を増強
- インドメタシン製剤
- 出血
- ジクロフェナク
- 出血
- インドメタシン製剤
- 腎機能低下
- ジクロフェナク
- 腎機能低下
- オキシカム系消炎鎮痛剤
- 両剤又は一方の薬剤の副作用の発現頻度を増加
- ピロキシカム
- 両剤又は一方の薬剤の副作用の発現頻度を増加
- スリンダク
- 消化器系の副作用の発現率が上昇
- スリンダク
- 活性代謝物<スルフィド体>の血中濃度が低下
- イブプロフェン
- 本剤の血小板凝集抑制作用を減弱
- ナプロキセン
- 本剤の血小板凝集抑制作用を減弱
- ピロキシカム
- 本剤の血小板凝集抑制作用を減弱
- スルピリン
- 本剤の血小板凝集抑制作用を減弱
- 炭酸脱水酵素阻害剤
- 副作用を増強し嗜眠・錯乱等の中枢神経系症状・代謝性アシドーシス
- アセタゾラミド
- 副作用を増強し嗜眠・錯乱等の中枢神経系症状・代謝性アシドーシス
- 塩酸ドネペジル
- 消化性潰瘍
- タクロリムス水和物
- 腎障害
- シクロスポリン
- 腎障害
- ザフィルルカスト
- 血漿中濃度が上昇
- プロスタグランジンD2受容体拮抗剤
- 非結合型分率が上昇
- トロンボキサンA2受容体拮抗剤
- 非結合型分率が上昇
- セラトロダスト
- 非結合型分率が上昇
- ラマトロバン
- 非結合型分率が上昇
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤
- 皮膚の異常出血<斑状出血・紫斑等>
- フルボキサミンマレイン酸塩
- 皮膚の異常出血<斑状出血・紫斑等>
- 塩酸セルトラリン
- 皮膚の異常出血<斑状出血・紫斑等>
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤
- 出血症状<胃腸出血等>
- フルボキサミンマレイン酸塩
- 出血症状<胃腸出血等>
- 塩酸セルトラリン
- 出血症状<胃腸出血等>
- アルコール<経口>
- 消化管出血が増強
- ジドブジン製剤
- グルクロン酸抱合を阻害
- アルコールを含むもの<ジン、ウオッカ、ラム、ウイスキー、ブランデー など>
処方理由
この薬をファーストチョイスする理由(2020年11月更新)
・安価で有効性も高く、エビデンスも十分あるので、頻用しています。ただ、抗血小板薬はステント留置後など特定の疾患の特定の患者では、どの薬剤が最も適しているかが異なるので、何でもかんでも1剤で良いという訳ではありません。(40歳代病院勤務医、循環器内科)
・一般内科ではクロピドグレルが必須という場面はない。シロスタゾールは血管拡張させたい患者に使用することはあるが、脈拍増加の副作用がある。バイアスピリンは消化性潰瘍のデメリットがある。患者背景により使い分けています。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・各種効果に対するエビデンスが揃っていることや、副作用についての情報も豊富であることが本薬剤を選択する大きな理由の一つとなっている。また、薬価も安いため患者負担が少ないことも大きなメリットとなっている。(20歳代病院勤務医、代謝・内分泌内科)
・安価であり、問題点もなく、多数処方しています。以前はシロスタゾールが多かったですが、心不全に使えないので減りました。(60歳代病院勤務医、脳神経外科)
この薬をファーストチョイスする理由(2019年5月更新)
・使い慣れているので、副作用も含めて使いやすい。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・患者さんの抵抗感が少ない。(20歳代その他、初期研修医)
・循環器では標準。(60歳代病院勤務医、循環器内科)
・副作用が少ない。(40歳代診療所勤務医、外科系診療科)
この薬をファーストチョイスする理由(2019年3月更新)
・確実な主作用と、副作用が少ない点が長所だと思うが、オペ前のしばらくの間は休薬が必要な点が短所。(40歳代開業医、眼科)
・安価であり、脳梗塞、冠動脈疾患の予防に広く使用可能で、長期エビデンスがあるため本剤を第一選択としている。(50歳代開業医、消化器外科)
・エビデンスが最も蓄積された歴史的な薬剤であり、かつ、コストパフォーマンスに最も優れている。大腸癌に対するエビデンスもあるなど、抗血小板薬に留まらない作用も期待できる。(30歳代診療所勤務医、腎臓内科)
・とにかく安価。胃腸障害の懸念はあるが、PPIのジェネリックと併用すれば大抵大丈夫、という印象。(60歳代開業医、一般内科)
・消化管出血の懸念が常にある。高齢でADLが低下した患者など、適応を疑問に思いながら処方継続している例が結構ある。(50歳代病院勤務医、総合診療科)
・エビデンスが豊富であること、慢性腎不全患者に対しても比較的に安心して使用できること、出血しても休薬すれば速やかに元の状態に復すること、などがあげられます。(60歳代病院勤務医、一般外科)
この薬をファーストチョイスする理由(2017年8月更新)
・コスト面、エビデンス面からバイアスピリンをよく使っています。腸溶剤でも胃粘膜障害が起こることは十分理解していますが、プラビックスはコスト面、代謝の個人差、併用薬との相互作用の問題から使いにくいところがあると思っています。(40歳代診療所勤務医、循環器内科)
・PCI後のDAPTとして使用します。クロピドグレル、プラスグレルと組み合わせますが、結果的にアスピリンの使用頻度が一番高い。(40歳代病院勤務医、循環器内科)
・PCI後のステント再狭窄の予防に使用する。安価であるが、高齢者にはほとんどPPIを併用している。クロピドグレル75mgを使うことも多い。(60歳代開業医、循環器内科)
・安価であり、脳梗塞、冠動脈疾患、末梢動脈疾患の2次予防に広く使用できる。消化器科Drの意見では、他の抗血小板薬に比べ難治性の消化管出血を生じ易い印象があるとのこと。(50歳代病院勤務医、循環器内科)
・やはり長期エビデンスがあるため本剤を第一選択としている。シロスタゾールなどと併用することが多いが、比較データが欲しいところ。1剤でよいならそれに越したことはないので。(60歳代診療所勤務医、一般内科)
・脳梗塞、虚血性心疾患の既往歴のある方が多いため、前医からの継続処方として出すことが多い。自分から開始する場合は尿蛋白減少効果を期待してジピリダモールを処方することがある。(30歳代病院勤務医、内科系専門科)
・圧倒的に安いから。二次予防を積極的に行おうとする場合には、クロピドグレルを使用している。薬価面で問題になる場合は、アスピリンになっている。(50歳代病院勤務医、一般内科)
・陳旧性脳梗塞を持った人が母数としては一番多いので。ASOなんかがあれば、積極的にプレタールなんかを用いますけれど。(60歳代病院勤務医、放射線科)
・圧倒的な量のエビデンスと著しく安いコスト。ただし、上部消化管障害、消化管出血は無視できない位に多い。今のところあまり投与していないが、最初からタケルダ配合錠を投与するのが合理的なのかもしれない。(50歳代診療所勤務医、一般内科)
この薬をファーストチョイスする理由(2015年9月更新)
・疾患によりアスピリン以外の抗血小板薬の処方も少なくはないが、処方頻度という点では、今でもアスピリンが最多になっている。歴史の長い薬剤であること、抗血小板薬としてのアスピリンは鎮痛に使用する場合に比べて非常に低用量であることから、安全性は高いと思われるが、アスピリンには直接胃粘膜障害作用があると考えられており、消化管出血には留意が必要である。(40代勤務医、一般外科)
・急性期から慢性期まで幅広く使えるので、脳梗塞、心筋梗塞の二次予防では第一選択として処方しています。胃潰瘍の既往がある人には、プロトンポンプ阻害薬(PPI)との合剤のタケルダが便利です。(50代勤務医、一般内科)
・川崎病の標準治療だから。(50代開業医、小児科)
・急性期脳梗塞に対し、ガイドラインでファーストチョイスなので。(40代開業医、脳神経外科)
・バイアスピリンはバイパス手術後は必須のため、よく使用します。副作用も少ないので使用しやすいと思います。(40代勤務医、心臓血管外科)
・最もエビデンスが多く、広く使用しやすい。検査時等も、中止基準が明確。(30代診療所勤務医、内科系専門科)
・抗血小板薬は、ガイドラインでどの疾患・病態に何を出すかがしっかり決まっており、それに基づいて処方すればアスピリンが多くなるはずです。(30代勤務医、循環器内科)
・最も多くのエビデンスを有し、薬価も安価で医療経済面からも推奨される。冠動脈疾患、非心原性脳梗塞や閉塞性動脈硬化症(ASO)などはもとより、大腸癌や関節リウマチの発症リスクが低下するなどの新たなエビデンスが現在も出続けている、素晴らしい薬剤と認識する。(50代開業医、神経内科)
・薬価も安く使用しやすかったのですが、最近出血リスクなどの見直しがされており、再考の必要もありそうです。(50代勤務医、循環器内科)
添付文書
1.関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛。
2.次記疾患の解熱・鎮痛:急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)。
3.川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)。
1.関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛の場合:アスピリンとして、1回0.5〜1.5g、1日1.0〜4.5gを経口投与する。なお、年齢、疾患、症状により適宜増減する。但し、前記の最高量までとする。
2.急性上気道炎の解熱・鎮痛の場合:アスピリンとして、1回0.5〜1.5gを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、原則として1日2回までとし、1日最大4.5gを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
3.川崎病の場合:急性期有熱期間は、アスピリンとして1日体重1kgあたり30〜50mgを3回に分けて経口投与する。解熱後の回復期から慢性期は、アスピリンとして1日体重1kgあたり3〜5mgを1回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.原則として川崎病の診断がつき次第、投与を開始することが望ましい。
2.川崎病では発病後数カ月間、血小板凝集能が亢進しているので、川崎病の回復期において、本剤を発症後2〜3カ月間投与し、その後断層心エコー図等の冠動脈検査で冠動脈障害が認められない場合には、本剤の投与を中止する(冠動脈瘤を形成した症例では、冠動脈瘤の退縮が確認される時期まで投与を継続することが望ましい)。
3.川崎病の治療において、低用量では十分な血小板機能の抑制が認められない場合もあるため、適宜、血小板凝集能の測定等を考慮する。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用
1).ショック、アナフィラキシー(頻度不明):ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2).出血(頻度不明):
(1).脳出血等の頭蓋内出血:脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心、嘔吐、意識障害、片麻痺等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
(2).肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等:肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
3).中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎(頻度不明):中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
4).再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少(頻度不明):再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
5).喘息発作の誘発(頻度不明):喘息発作を誘発することがある。
6).肝機能障害、黄疸(頻度不明):著しいAST上昇(著しいGOT上昇)、著しいALT上昇(著しいGPT上昇)、著しいγ−GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
7).消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍(頻度不明):下血(メレナ)を伴う胃潰瘍・十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍が現れることがあり、また、消化管出血、腸管穿孔、小腸狭窄・小腸閉塞・大腸狭窄・大腸閉塞を伴う小腸潰瘍・大腸潰瘍が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2.その他の副作用
1).消化器:(頻度不明)食欲不振、胸やけ、悪心・嘔吐、胃痛、腹痛、胃腸障害、便秘、下痢、食道炎、口唇腫脹、吐血、胃部不快感等。
2).過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、(0.1〜5%未満)発疹、浮腫、鼻炎様症状等[症状が現れた場合には投与を中止する]。
3).血液:(0.1%未満)貧血、血小板機能低下(出血時間延長)等[異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
4).皮膚:(頻度不明)皮膚そう痒、発汗。
5).精神神経系:(頻度不明)眩暈、頭痛、興奮等[症状が現れた場合には減量又は投与を中止する]。
6).肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)。
7).腎臓:(0.1%未満)腎障害。
8).循環器:(頻度不明)血圧低下、血管炎、心窩部痛。
9).呼吸器:(頻度不明)気管支炎。
10).感覚器:(頻度不明)耳鳴、難聴、角膜炎、(0.1〜5%未満)結膜炎。
11).その他:(頻度不明)過呼吸、代謝性アシドーシス、倦怠感、低血糖等[減量又は投与を中止する(血中濃度が著しく上昇していることが考えられる)]。
(禁忌)
1.本剤又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.消化性潰瘍のある患者[胃出血の発現又は消化性潰瘍が悪化する恐れがある]。
3.[関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛、急性上気道炎の解熱・鎮痛に使用する場合]重篤な血液異常のある患者[血液の異常を悪化させる恐れがある]。
4.[関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛、急性上気道炎の解熱・鎮痛に使用する場合]重篤な肝障害のある患者[肝障害を悪化させる恐れがある]。
5.[関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛、急性上気道炎の解熱・鎮痛に使用する場合]重篤な腎障害のある患者[腎障害を悪化させる恐れがある]。
6.[関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛、急性上気道炎の解熱・鎮痛に使用する場合]重篤な心機能不全のある患者[心機能を悪化させる恐れがある]。
7.アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[喘息発作を誘発する恐れがある]。
8.[関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛、急性上気道炎の解熱・鎮痛に使用する場合]出産予定日12週以内の妊婦。
9.[川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)に使用する場合]出血傾向のある患者[出血を増強する恐れがある]。
10.[川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)に使用する場合]出産予定日12週以内の妊婦[海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後出血、分娩時間延長、難産、死産、新生児体重減少・新生児死亡などの危険が高くなる恐れを否定できない]。
(慎重投与)
1.消化性潰瘍の既往歴のある患者[消化性潰瘍を再発させる恐れがある]。
2.血液異常又はその既往歴のある患者[血液の異常を悪化又は再発させる恐れがある]。
3.出血傾向のある患者(関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛、急性上気道炎の解熱・鎮痛の場合)[血小板機能異常が起こることがある]。
4.肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させる恐れがある]。
5.腎障害又はその既往歴のある患者[腎障害を悪化又は再発させる恐れがある]。
6.心機能異常のある患者[心機能を悪化させる恐れがある]。
7.過敏症の既往歴のある患者。
8.気管支喘息のある患者[アスピリン喘息を誘発する恐れがある]。
9.高齢者。
10.妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は禁忌>又は妊娠している可能性のある女性。
11.小児。
12.アルコール常飲者[消化管出血を誘発又は消化管出血増強することがある]。
13.手術前1週間以内、心臓カテーテル検査前1週間以内又は抜歯前1週間以内の患者[手術、心臓カテーテル検査又は抜歯時の失血量を増加させる恐れがある]。
14.非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者[ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与する]。
(重要な基本的注意)
1.サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤を15歳未満の水痘、15歳未満のインフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する[ライ症候群:小児において極めてまれに水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST(GOT)・ALT(GPT)・LDH・CK(CPK)の急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖症等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である]。
2.解熱鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意する。
3.慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮する。
1).慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を長期投与する場合には定期的に臨床検査(尿検査、血液検査及び肝機能検査等)を行い、また、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずる。
2).慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、薬物療法以外の療法も考慮する。
4.急性疾患に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮する。
1).急性疾患に対し本剤を用いる場合には、疼痛、発熱の程度を考慮し投与する。
2).急性疾患に対し本剤を用いる場合には、原則として同一の薬剤の長期投与を避ける。
3).急性疾患に対し本剤を用いる場合には、原因療法があればこれを行う。
5.患者の状態を十分観察し、副作用の発現に留意する。過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等が現れることがあるので、特に高熱を伴う小児及び高熱を伴う高齢者又は消耗性疾患の患者においては、投与後の患者の状態に十分注意する。
6.感染症を不顕性化する恐れがあるので、感染による炎症に対して用いる場合には必要に応じて適切な抗菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に投与する。
7.他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい。
8.高齢者及び小児には副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与する。
9.手術前1週間以内にアスピリンを投与した例では失血量が有意に増加したとの報告があるので、術前の投与は慎重に行う。
10.川崎病の急性期に対して投与する場合には、適宜、肝機能検査を行い異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずる。
11.川崎病患者(川崎病による心血管後遺症を含む)に対して長期間投与する場合には、定期的に臨床検査(尿検査、血液検査及び肝機能検査等)を行い、また、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な措置を講ずる。
(相互作用)
併用注意:
1.抗凝固剤:
1).クマリン系抗凝固剤(ワルファリンカリウム)[クマリン系抗凝固剤の作用を増強し出血時間の延長・消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど、慎重に投与する(本剤は血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させ、また、本剤は血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する)]。
2).血液凝固阻止剤(ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第10a因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等)[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大する恐れがあるので、観察を十分に行い、注意する(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強される恐れがある)]。
2.血小板凝集抑制作用を有する薬剤(チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール、クロピドグレル硫酸塩、トロンボキサン合成酵素阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、プロスタグランジンE1誘導体製剤及びプロスタグランジンI2誘導体製剤(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA製剤等)[これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大する恐れがあるので、観察を十分に行い、注意する(本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強される恐れがある)]。
3.糖尿病用剤(ヒトインスリン、トルブタミド等)[糖尿病用剤の作用を増強し低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与する(本剤は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させ、また、本剤は大量で血糖降下作用を有する)]。
4.メトトレキサート[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化器障害等>が増強されることがある(本剤は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させ、また、本剤はメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている)]。
5.バルプロ酸ナトリウム[バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し振戦等を起こすことがある(本剤は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる)]。
6.フェニトイン[総フェニトイン濃度を低下させるが非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察する(本剤は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる)]。
7.副腎皮質ホルモン剤(ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等)[サリチル酸中毒を起こすことが報告されている(機序は不明;併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸系製剤の血中濃度が増加したとの報告がある)]。
8.リチウム製剤[類薬<インドメタシン等>でリチウム中毒を起こすことが報告されている(類薬(インドメタシン等)は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させる)]。
9.チアジド系利尿剤[類薬<インドメタシン等>でチアジド系利尿剤の作用を減弱させることが報告されている(類薬(インドメタシン等)は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、チアジド系利尿剤の作用を減弱させることがある)]。
10.ループ利尿剤:
1).ループ利尿剤(フロセミド等)[これらの薬剤の利尿作用を減弱させる恐れがある(本剤が腎のプロスタグランジン生合成を抑制することにより、これら薬剤の作用を減弱させるためと考えられる)]。
2).ループ利尿剤(フロセミド等)[サリチル酸中毒が発現する恐れがある(腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れるためと考えられる)]。
11.β−遮断剤(プロプラノロール塩酸塩等)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル等)[降圧作用が減弱することがある(本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、プロスタグランジンを介した降圧効果を減弱させる)]。
12.ニトログリセリン[ニトログリセリンの作用を減弱させる恐れがある(本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、ニトログリセリンの血管拡張作用を減弱させる)]。
13.尿酸排泄促進剤(プロベネシド、ベンズブロマロン)[これらの薬剤の作用を減弱させることがある(サリチル酸系製剤は尿酸の排泄を抑制することが知られているため、これら薬剤の効果が減弱すると考えられる)]。
14.乳酸ナトリウム[本剤の作用が減弱されることがある(乳酸ナトリウムにより尿がアルカリ性となり、サリチル酸の尿中排泄が増加し、血中濃度が治療域以下になることがある)]。
15.非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤:
1).インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等:
(1).インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等[これら薬剤の血中濃度を低下させる恐れがある(本剤との併用により、これら薬剤の血漿蛋白結合部位からの遊離置換によると考えられる)]。
(2).インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等[消化器系の副作用を増強させる恐れがある(機序不明)]。
(3).インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等[出血及び腎機能低下を起こすことがある(作用機序は不明)]。
2).オキシカム系消炎鎮痛剤(ピロキシカム等)[両剤又は一方の薬剤の副作用の発現頻度を増加させる恐れがある(機序不明)]。
3).スリンダク[消化器系の副作用の発現率が上昇し、また、スリンダクの活性代謝物<スルフィド体>の血中濃度が低下する(機序不明)]。
4).イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、スルピリン[本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある(血小板のシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)と本剤の結合を阻害するためと考えられる)]。
16.炭酸脱水酵素阻害剤(アセタゾラミド等)[アセタゾラミドの副作用を増強し嗜眠・錯乱等の中枢神経系症状・代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている(本剤は血漿蛋白に結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる)]。
17.ドネペジル塩酸塩[消化性潰瘍を起こすことがある(コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される)]。
18.タクロリムス水和物、シクロスポリン[腎障害が発現することがある(腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
19.ザフィルルカスト[ザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある(機序不明)]。
20.プロスタグランジンD2受容体拮抗剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤(セラトロダスト、ラマトロバン)[ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、本剤によりこれら薬剤の非結合型分率が上昇することがある(これら薬剤が本剤と血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる)]。
21.選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>(フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン等)[皮膚の異常出血<斑状出血・紫斑等>、出血症状<胃腸出血等>が報告されている(SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる)]。
22.アルコール<経口>[消化管出血が増強される恐れがある(アルコールによる胃粘膜障害と本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる)]。
(高齢者への投与)
高齢者では、副作用が現れやすいので、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.出産予定日12週以内の妊婦には投与しない[妊娠期間延長、動脈管早期閉鎖、子宮収縮抑制、分娩時出血増加につながる恐れがある。海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後出血、分娩時間延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなる恐れを否定できないとの報告がある。また、ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常が現れたとの報告があり、更に、妊娠末期のラットに投与した実験で、弱い胎仔動脈管収縮が報告されている]。
2.妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は除く>又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。川崎病を除く効能又は効果で妊婦<出産予定日12週以内の妊婦は除く>又は川崎病を除く効能又は効果で妊娠している可能性のある女性に投与する際には、必要最小限にとどめ、適宜羊水量を確認するなど慎重に投与する。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。[動物実験(ラット)で催奇形性作用が現れたとの報告があり、妊娠期間延長、過期産につながる恐れがある]。
3.授乳中の女性には本剤投与中の授乳は避けさせる[母乳中へ移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
1.解熱・鎮痛及び抗炎症剤として用いる場合:低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児には副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与する[小児等に対する安全性は確立していない]。
2.小児等では、副作用が現れやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。川崎病の小児等の治療において、肝機能障害の報告があるので、適宜、肝機能検査を行い、注意する。
3.15歳未満の水痘、15歳未満のインフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する。
4.本剤投与中の15歳未満の川崎病の患者が水痘、インフルエンザを発症した場合には、投与を中断することを原則とするが、やむを得ず投与を継続する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する。
(過量投与)
1.過量投与時の徴候と症状:耳鳴、眩暈、頭痛、悪心・嘔吐、消化管出血・消化管潰瘍、難聴、軽度の頻呼吸等の初期症状から血中濃度の上昇に伴い、重度過呼吸、呼吸性アルカローシス、代謝性アシドーシス等の酸塩基平衡障害、痙攣、昏睡等の中枢神経系障害、心血管虚脱、呼吸不全等が認められる。
2.過量投与時の処置:催吐、胃洗浄を行い、その上で活性炭や下剤を投与し、ブドウ糖輸液などにより体液と電解質のバランスの維持を図る。過量投与時の小児の高熱には、スポンジ浴を行う。過量投与時、炭酸水素ナトリウムの静脈注射などによりアシドーシスを補正すると共に尿のアルカリ化を図る(重篤な場合、血液透析、腹膜灌流などを考慮する)。
(適用上の注意)
服用時:本剤は空腹時の投与は避けることが望ましい。
(その他の注意)
1.In Vitroの試験において、アスピリン等のグルクロン酸抱合により代謝される薬剤が抗ウイルス剤(ジドブジン)のグルクロン酸抱合を阻害したとの報告がある。
2.非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において一時的不妊が認められたとの報告がある。
(取扱上の注意)
本剤は吸湿によって脱アセチル化がおこり、この際生じる酢酸が更に変化を促進するので、乾燥をよほど厳密にしないとびん等気密容器にたくわえることはかえってよくない。
(保管上の注意)
密閉容器。
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