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HCNチャネル阻害薬(イバブラジン) 解説
かぶんきょくかっせいかかんじょうぬくれおちどいぞんせいちゃねるそがいやく(いばぶらじん)
HCNチャネル阻害薬(イバブラジン)の解説
薬の解説
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心臓の洞結節の興奮を抑え、心拍数を減少させて心臓の負担を軽減する薬
- 慢性心不全では交感神経の亢進により弱った心臓が無理に動かされ、心臓の機能がより悪化する傾向にある
- 心臓の心拍数は洞結節という部位の自発興奮が自律神経によって修飾されることで決定する
- 本剤は洞結節の自発興奮に関わるHCNチャネルを阻害し、心拍数を減少させる
心不全は何らかの原因により心臓の働きが弱くなり、全身に血液を送りづらくなっている状態で、息切れ、息苦しさ、体のむくみなどの症状があらわれる。慢性心不全では一般的に、弱くなった心臓の機能を補うために交感神経の働きが亢進することによって弱っている心臓を無理に働かせ、この状態が続くことで心臓の機能がより悪化する傾向にある。
正常な心臓の心拍数は、心臓内の洞結節と呼ばれる部位の自発興奮が自律神経(交感神経、副交感神経)によって修飾され決定するとされる。洞結節細胞の自発興奮機能(自動能)は、電気的拡張期に働く電位依存性のイオンチャネル(イオンの通り道)や心筋細胞内のカルシウムイオンの働きなどによって維持される。過分極活性化内向き電流(If)は、電位依存性のイオンチャネルのひとつで洞結節の自動能形成に寄与し、HCNチャネル(Hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channel:過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル)などによって形成される。
本剤はHCNチャネル(主にHCN4チャネル)を阻害することでIfを抑制し、拡張期脱分極相における活動電位の立ち上がりを遅らせることで、心拍数を減少させ、心臓の負担を軽減する効果をあらわす。
なお、慢性心不全の治療では心拍数を抑える交感神経β受容体遮断薬などが使われているが、本剤はこれらの薬を使っていても心拍数が一定(治療目標)まで低下しない病態などへの有用性が考えられる。
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循環器症状(徐脈など)
- 心拍数減少、徐脈などがあらわれる場合がある
- 徐脈に関連して、めまい、倦怠感・疲労、血圧変動などがあらわれる場合もある
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眼症状
- 光視症(視野の一部に一瞬光が走って見えるなど)、霧視(霧がかかったように見える)、複視などがあらわれる場合がある
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消化器症状
- 便秘、吐き気、下痢、腹痛などがあらわれる場合がある
- イバブラジン製剤
- 通常、1日2回食後に服用する
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