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がん化学療法用尿酸分解酵素製剤(ラスブリカーゼ製剤) 解説
がんかがくりょうほうようにょうさんぶんかいこうそせいざい(らすぶりかーぜせいざい)
がん化学療法用尿酸分解酵素製剤(ラスブリカーゼ製剤)の解説
薬の解説
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尿酸をアラントインという物質に変換させ体外へ排泄させる作用により腫瘍崩壊症により引き起こされる高尿酸血症を改善する薬
- 腫瘍崩壊症はがん化学療法などによって腫瘍が崩壊し、腫瘍細胞の内容物が大量に血液中に放出されることで循環機能などが障害され、場合によっては致死的な症状を引き起こす
- 腫瘍崩壊症の中で特に重要な症状として重篤な高尿酸血症があり、腎臓の尿細管に尿酸の結晶が大量に沈着することで急性腎不全など重篤な症状を引き起こす
- 本剤は尿酸をアラントインという物質に変換させる作用をあらわし血清中の尿酸値を低下させる
腫瘍崩壊症は、大きな腫瘍が崩壊し、腫瘍細胞の内容物が大量に血液中に放出されることで、身体全体の循環機能が障害され、場合によっては致死的な症状に至る。
症状としては高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症、血清クレアチニンの上昇、重篤な不整脈、痙攣などがあらわれることが考えられ、特に化学療法や放射線治療などへの感受性が高い腫瘍(急性白血病やリンパ腫など)で起こりやすいとされる。
症状の中でも重要な症状として重篤な高尿酸血症がある。化学療法などによって腫瘍が崩壊すると腫瘍細胞の内容物が大量に血液中に放出されるが、その中には核酸も含まれる。核酸の一つであるプリン化合物の分解において、ヒポキサンチンからキサンチンという物質を経て尿酸が産生され、尿酸が大量に血液中へ放出されることで、重篤な高尿酸血症を生じ、腎臓の尿細管に尿酸の結晶が大量に沈着することで急性腎不全、電解質異常、致死的な不整脈、痙攣などを引き起こす。
高尿酸血症には尿酸の産生を阻害するアロプリノールなどの薬剤もあり、ヒポキサンチンからキサンチンを経て作られる尿酸産生を阻害することで効果をあらわす一方で、既に産生されている尿酸、すなわち治療前に高値となった血清中の尿酸濃度を減少させることは困難となる。
本剤(ラスブリカーゼ)は、尿酸を更に酸化させアラントインという物質に変換させる尿酸酸化酵素として作用する。尿酸を水溶性の比較的高いアラントイン(尿酸に比べ尿への可溶性が5倍ほど高いとされる)に変換させることで腎臓から容易に排泄可能にし、既に産生されている尿酸も含めて効果的に血清中の尿酸値を低下させることが期待できる。
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肝機能障害
- ASTやALTの上昇などを伴う肝機能障害があらわれる場合がある
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電解質異常
- ナトリウムやカリウムなどの電解質異常があらわれる場合がある
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ショック、アナフィラキシー
- 頻度は稀とされるが、アナフィラキシーショックを含む過敏症があらわれる場合がある
- アレルギーを起こしやすい体質である場合は特に注意する
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メトヘモグロビン血症
- 頻度は非常に稀とされるがチアノーゼ、頭痛などの症状を引き起こすメトヘモグロビン血症があらわれる場合がある
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貧血
- 頻度は非常に稀とされるが貧血(溶血性貧血)があらわれる場合がある
- 顔色が悪い、疲れやすい、だるい、頭が重い、動悸、息切れなどがみられる場合は放置せず、医師や薬剤師へ連絡する
- 本剤は通常、がん化学療法開始4〜24時間前に投与を開始する
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