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過酸化ベンゾイル製剤 解説
かさんかべんぞいるせいざい
過酸化ベンゾイル製剤の解説
薬の解説
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尋常性ざ瘡(ニキビ)の原因菌の増殖を抑えたり毛穴の閉塞を改善することでニキビを減らす薬
- ニキビは皮脂の分泌増加や毛穴が古い角質により塞がれることで菌(アクネ菌など)が増殖することによっておこる
- ニキビの初期は面ぽう(白ニキビ、黒ニキビ)という状態だが、増殖した菌により炎症がおこり赤ニキビや膿がたまった状態の黄ニキビへ移行していく
- 過酸化ベンゾイルはニキビの原因菌に対する抗菌作用や毛穴の閉塞の改善作用などをあらわす
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過酸化ベンゾイルに加え他の成分を配合したニキビ治療薬がある
- 過酸化ベンゾイルとクリンダマイシン(抗菌薬)の配合剤:デュアック配合ゲル
- 過酸化ベンゾイルとアダパレンの配合剤:エピデュオゲル
尋常性ざ瘡(ニキビ)は主にホルモン(男性ホルモン)などの影響により皮脂の分泌が増えたり古い角質により毛穴が塞がれたりすることで毛穴の中に菌(アクネ菌など)が増殖することによっておこる。
初期の段階では面ぽう(白ニキビ、黒ニキビ)という状態だが、増殖した菌が炎症を起こす物質をつくることで、炎症を伴う紅色丘疹(赤ニキビ)、さらに膿がたまった状態の膿疱(黄ニキビ)へと移行していく。
過酸化ベンゾイルは塗布後、皮膚中などの生体内で分解され酸化ベンゾイルラジカルやフェニルラジカルなどのフリーラジカルと呼ばれる物質が生じる。このフリーラジカルが尋常性ざ瘡(ニキビ)の原因となるアクネ菌やブドウ球菌など細菌の膜構造やDNA・代謝などを阻害し抗菌作用をあらわす。また塞がった毛穴の上方部分(毛漏斗部)においてフリーラジカルがタンパク質を変性させることで角質細胞同士の結合を弛めて角層の剥離を促す。これらの作用により本剤は尋常性ざ瘡(ニキビ)の改善作用をあらわす。
なお、尋常性ざ瘡治療薬として使われる過酸化ベンゾイル製剤には、過酸化ベンゾイルに加えクリンダマイシンやアダパレンといった成分を配合した製剤もある。
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皮膚症状
- 刺激感、紅斑、乾燥、皮膚に粉がふいたりうすく剥がれるなどの症状があらわれる場合がある
- 上記の症状は通常、軽度で比較的初期にあらわれ、その後やわらいでくることが多いとされる
- 使用継続中に症状の消失又は軽減が認められない場合は医師や薬剤師に相談するなど適切に対応する
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紫外線に対する注意
- 日光など紫外線にさらされることで皮膚の容認性の減少や皮膚刺激性が強くなる可能性がある
- 本剤使用中は帽子をかぶるなどして強い日光に本剤を塗った部分を長時間あてないように工夫する
- 日焼けランプの使用や紫外線療法は避ける
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漂白作用に関する注意
- 本剤は漂白作用をあらわすため、髪や衣料などに付着しないように注意する
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主に尋常性ざ瘡(にきび)の治療に使う塗布薬(ゲル剤)
- 眼、口唇、その他の粘膜や傷口への使用は原則として避ける・これらの部位に本剤が付着した場合はすぐ水で洗い流す
- 凍結を避け、涼しい場所(通常、25℃以下)で保存する
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過酸化ベンゾイルとクリンダマイシン(抗菌薬)の配合製剤
- クリンダマイシンはニキビの原因菌となるアクネ菌に対する抗菌作用や皮膚への抗炎症作用などをあらわす
- 眼、口腔、口唇、その他の粘膜、刺激及び傷のある皮膚への使用は原則として避ける・これらの部位に本剤が付着した場合はすぐ水で洗い流す
- 凍結を避け、冷所(2〜8℃)で保存する
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過酸化ベンゾイルとアダパレンの配合製剤
- アダパレンはニキビを初期の段階で治療し炎症の強いニキビへの移行を防ぐ効果をあらわす
- 眼、口唇、鼻翼及び粘膜への使用は原則として避ける・眼の周囲に使用する場合は眼に入らないように注意し、万一、眼に入った場合は直ちに水で洗い流す
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