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プロテアソーム阻害薬 解説
ぷろてあそーむそがいやく
プロテアソーム阻害薬の解説
薬の解説
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細胞周期に重要な役割を果たすプロテアソームという酵素を阻害し、腫瘍細胞の自滅(アポトーシス)を誘導する薬
- 骨髄腫細胞などの腫瘍細胞では細胞周期に重要な役割を果たすプロテアソームという酵素にも何らかの異常があるとされる
- 細胞内で不要になったタンパク質はプロテアソームによって分解される
- 本剤はプロテアソームを阻害し、不要になったタンパク質を細胞内へ蓄積させる作用などにより腫瘍細胞の自滅(アポトーシス)を誘導する
- 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。
骨髄腫細胞などの腫瘍細胞では細胞周期に重要な役割を果たすプロテアソームという酵素複合体にも何らかの異常があるとされる。
細胞内で不要となったタンパク質は目印が付加(ユビキチン化)されて、プロテアソームにより分解される。
本剤はプロテアソームを阻害することで不要になったタンパク質を細胞内へ蓄積させ細胞の自滅(アポトーシス)を誘導する作用をあらわすとされる。
本剤の中、ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)は転写因子であるNF-κB(この因子の活性が高まるとがん細胞の増殖や転移が亢進する)の活性阻害作用やがん抑制遺伝子であるp53の分解抑制作用などによっても細胞のアポトーシスを誘導させ、これらの作用により抗腫瘍効果をあらわすとされる。
カルフィルゾミブ(商品名:カイプロリス)はプロテアソーム(20Sプロテアソーム)のβ5サブユニットという部分に結合しこの部分のキモトリプシン様活性を阻害することでプロテアソーム活性を阻害する作用をあらわす。この薬剤はボルテゾミブに耐性を示すがん細胞株においても細胞障害作用をあらわすことが確認されている。
なお、プロテアソーム阻害薬はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる。
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末梢神経障害
- 末梢性ニューロパチー、神経障害性疼痛などがあらわれる場合がある
- 手足がピリピリとしびれる・ジンジンと痛む、手足の感覚がなくなる、物がつかみづらい、つまづくことが多いなどがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
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肺障害
- 頻度は稀だが、間質性肺炎、胸水、急性肺水腫などの重篤な肺障害があらわれる場合もあり十分注意する
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骨髄抑制
- 血小板減少、白血球減少、貧血、好中球減少などがあらわれる場合がある
- 上記などにより、敗血症などの重篤な感染症があらわれる場合もあり十分注意する
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心障害
- 頻度は稀だが、うっ血性心不全などがあらわれる場合がある
- 動くと息苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急な体重増加、めまいなどがみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
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肝機能障害(B型肝炎ウイルスの再活性化によるものなどを含む)
- 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気・嘔吐、痒みなどがみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
- 通常、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫などで使用する
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他剤との併用療法に関して
- 多発性骨髄腫:VMP療法(本剤、メルファラン、プレドニゾロン)などがある
- マントル細胞リンパ腫:VCR-CAP療法(本剤、リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロン)などがある
- 通常、再発又は難治性の多発性骨髄腫で使用する
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他剤との併用療法に関して
- 本剤は通常、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法(KRd療法)で使用する・本剤とデキサメタゾンとの2剤での併用療法が行われる場合もある
- 通常、再発又は難治性の多発性骨髄腫で使用する
- 本剤は通常、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法で使用する
- 本剤は内服薬で通常、空腹時に週1回、3週間(1、8及び15日目)経口投与した後、13日間休薬(16〜28日目)し、この4週間を1サイクルとする
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