処方薬事典データ協力:株式会社メドレー
※キーワードをスペースで区切るとAND検索に、半角の「|」で挟むとOR検索になります
分子標的薬(モガムリズマブ〔ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体〕) 解説
ぶんしひょうてきやく(もがむりずまぶ)
分子標的薬(モガムリズマブ〔ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体〕)の解説
薬の解説
薬の効果と作用機序
-
腫瘍細胞の表面に発現しているCCR4に結合し腫瘍細胞を障害する薬
- 成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)ではリンパ球T細胞のがん化がおこる
- 多くのATLでは白血球遊走の因子となるケモカインの受容体であるCCR4というものが強く発現している
- 本剤は腫瘍細胞の表面で強く発現しているCCR4に結合することで腫瘍細胞を障害する作用をあらわす
- 本剤は特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
詳しい薬理作用
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は1型ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)によって引き起こされる白血病で、リンパ球T細胞のがん化がおこる。白血球遊走(遊走因子の刺激を受け、白血球が血管内から組織内へ浸潤し炎症局所へ移動・集積すること)に関与するケモカインという物質がありケモカイン受容体に結合し作用をあらわす。ATLの多くでケモカイン受容体であるCCR4が強く発現することがわかっている。
本剤は腫瘍細胞で強く発現しているCCR4に特異的に結合し、抗体依存性細胞障害(ADCC)により抗腫瘍効果をあらわす。
本剤は特的物質に結合する抗体として造られたモノクローナル抗体であり、特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる。
主な副作用や注意点
-
インフュージョンリアクション(薬剤投与による免疫反応などによりおこる有害事象)
- 発熱、悪寒、息切れ、動悸、脈が速くなる、頭痛、吐き気、めまいなどがあらわれる場合がある
-
皮膚障害
- 痒み、湿疹、発疹などがあらわれる場合があり、頻度は稀だが皮膚粘膜眼症候群などの重篤な皮膚障害があらわれる場合もある
-
腫瘍崩壊症候群
- 体内の尿酸が増えたり、カリウムなどの電解質バランスが崩れるなどがあらわれる場合がある
- 治療開始後、尿量が減ったなどがみられた場合は医師、看護師、薬剤師に連絡する(初回投与後48時間以内は特に注意する)
-
血液障害
- リンパ球減少、白血球減少、好中球減少など重度の血液毒性があらわれる場合もあり十分注意する
- 細菌、真菌、ウイルスによる感染症があらわれる場合があり、重篤な感染症として帯状疱疹などがあらわれる場合もあり十分注意する
-
B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎や肝炎の増悪
- 上記のウイルスによる劇症肝炎や肝炎の増悪により肝不全などがあらわれる場合があり十分な観察が必要となる
-
肝機能障害
- ALT、ASLなどの増加に伴う肝機能障害があらわれる場合がある
- 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気・嘔吐、痒みなどがみられ症状が持続する場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
一般的な商品とその特徴
ポテリジオ
- 成人T細胞白血病リンパ腫の他、(CCR4陽性の)末梢性Tリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫で使用する
-
インフュージョンリアクション予防に対する前投与に関して
- 通常、本剤投与30分前に抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬、副腎皮質ホルモンなどの前投与を行う
処方薬事典は医療・医薬関係者向けのコンテンツです。