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デノスマブ製剤 解説
でのずまぶせいざい
デノスマブ製剤の解説
薬の解説
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多発性骨髄腫や骨巨細胞腫などの骨病変を進行させるRANKLという物質を阻害する薬
- 体内物質のRANKLは骨を壊す過程(骨吸収)を亢進させる作用をあらわす
- 多発性骨髄腫や固形がんの骨転移における骨病変ではRANKLによって腫瘍細胞の増殖因子の放出亢進がおこり、がん細胞の増殖が進行する
- 骨巨細胞腫の病変部位ではRANKLが巨細胞という細胞に作用し骨を溶かす作用が亢進し腫瘍が大きくなる
- 本剤はRANKLに結合しRANKLの働きを阻害する作用をあらわす
- 本剤の成分(デノスマブ)は多発性骨髄腫や骨巨細胞腫以外に、骨粗しょう症で使用する場合がある
骨に転移したがん細胞は副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)などを放出し骨芽細胞を刺激し、この細胞からRANKリガンド(RANKL)という物質を産生させる。RANKLは骨を壊す細胞である破骨細胞の形成、機能などを亢進させ骨を壊す過程(骨吸収)が亢進し骨基質から腫瘍細胞の増殖因子(IGFなど)が放出されがん細胞の増殖が進行する。
また骨巨細胞腫の病変部位では巨細胞や間質細胞というものが増えており、間質細胞によりRNAKLが産生され、RANKLが巨細胞に作用することで巨細胞の骨を溶かす作用が亢進し腫瘍が大きくなるとされる。
本剤はRANKLに結合しRANKLの働きを阻害することで、多発性骨髄腫や骨転移を有する固形がんの骨病変の進行抑制作用、骨巨細胞腫における抗腫瘍作用などをあらわす。また本剤の投与により低カルシウム血症があらわれる場合があるため、(血清補正カルシウム値が高値でない限り)カルシウム及びビタミンD製剤を併用することになる。(通常、デノタスチュアブル配合錠などが併用される)
なお、デノスマブは上記疾患の他、骨粗しょう症の治療薬(商品名:プラリア)としても使用する場合があり、それぞれの疾患で使用する用法・用量などが異なる。
本剤は特定物質に結合する抗体として造られたモノクローナル抗体であり、特定分子の情報伝達を阻害する分子標的薬となる。
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皮膚症状
- 発疹、痒み、皮膚乾燥などがあらわれる場合があり、非常に稀だが蜂巣炎などの重篤な皮膚感染症があらわれる場合もある
- 発赤、腫脹、疼痛、発熱などがあらわれた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
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消化器症状
- 吐き気・嘔吐、下痢、食欲減退、腹痛、口内炎などがあらわれる場合がある
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全身症状
- 疲労感などがあらわれる場合がある
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低カルシウム血症
- QT延長、痙攣、テタニー、しびれなどを伴う低カルシウム血症があらわれる場合がある
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顎骨障害
- 頻度は稀だが、顎骨壊死、顎骨骨髄炎などがあらわれる場合がある
- 歯肉の痛み・腫れ・炎症、歯のぐらつき、顎のしびれなどがみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
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疾患における用法・用量など
- 多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変:通常、成人には本剤の成分(デノスマブ)として120mgを4週間に1回投与する
- 骨巨細胞腫:通常、本剤の成分(デノスマブ)として120mgを第1日、第8日、第15日、第29日、その後は4週間に1回投与する
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