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微小管阻害薬(タキサン系) 解説
びしょうかんそがいやく(たきさんけい)
微小管阻害薬(タキサン系)の解説
薬の解説
薬の効果と作用機序
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細胞分裂で重要な役割を果たす微小管に作用し細胞分裂を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
- がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
- 細胞増殖は細胞が分裂することでおこるが、細胞分裂に重要な役割を果たす微小管という物質がある
- 細胞分裂の後半では、束になっている微小管がばらばらになる(脱重合する)必要がある
- 本剤は微小管の脱重合を阻害し細胞分裂を阻害する作用をあらわす
詳しい薬理作用
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し、細胞を障害し組織を壊したり、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。
細胞増殖は細胞の分裂によっておこるが、細胞分裂に重要な役割を果たす微小管という物質がある。細胞分裂の中期くらいまでは微小管同士が束になって(重合して)いる状態だが、分裂の後半になると微小管がばらばらに解離(脱重合)する必要がある。
本剤は細胞分裂に重要な役割を果たす微小管の重合を促進し(脱重合を阻害し)微小管の安定化・過剰形成を引き起こすことにより、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果をあらわす殺細胞性抗がん薬(細胞障害性抗がん剤)となる。
なお、本剤はイチイ科の植物(学名:Taxus baccata)の成分から開発された経緯により、学名からタキサン系という種類に分類される。
主な副作用や注意点
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消化器症状
- 食欲不振、吐き気・嘔吐、下痢、口内炎などがあらわれる場合がある
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皮膚症状
- 脱毛(薬剤によっては高頻度で発現)、爪の障害(爪の変形・変色など)、発疹などがあらわれる場合がある
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末梢神経障害
- しびれなどの末梢神経障害や稀に麻痺などがあらわれる場合がある
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筋骨格系症状
- 関節痛、筋肉痛、筋力低下などがあらわれる場合がある
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骨髄抑制
- 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少などがあらわれる場合がある
- 上記などの副作用に伴い、敗血症、肺炎などの重篤な感染症があらわれる場合がある
- 突然の高熱、寒気、喉の痛み、手足に点状出血、あおあざができやすい、出血しやすいなどがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
一般的な商品とその特徴
タキソール
- パクリタキセル(略号:PTX、PAC)製剤
- 卵巣がん(TC療法)、非小細胞肺がん、胃がん、食道がん、乳がんなどで使用する
- エタノールが含有しているため、アルコール過敏の体質をもつ場合は注意が必要
タキソテール ワンタキソテール
- ドセタキセル(略号:DTX、DOC)製剤
- 乳がん、非小細胞肺がん(CDDP+DTX療法)、前立腺がん(DTX+PSL療法)、胃がん、食道がんなどで使用する
- タキソテールは添付溶解液に、ワンタキソテールは製剤自体にそれぞれエタノールが含有しているため、アルコール過敏の体質をもつ場合は注意が必要
薬の種類一覧
微小管阻害薬(タキサン系)の医療用医薬品(処方薬)
注射薬:液剤
注射薬:散剤
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