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Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬) 解説
なとりうむちゃねるしゃだんやく(いちぐんこうふせいみゃくやく)
Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)の解説
薬の解説
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脈に関与する電気信号の一つであるNa(ナトリウム)イオンの通り道を塞ぎ、乱れた脈(主に頻脈)を整える薬
- 不整脈は何らかの原因で脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れる
- 脈(脈拍)はNaやK(カリウム)などの金属イオンの心筋細胞への出入りによる電気信号(活動電位)によりおこる
- 本剤はNaイオンの通り道であるNaチャネルを遮断し、脈の乱れを整える作用をあらわす
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抗不整脈薬はその作用などによって、I〜IV群に分類される
- 本剤はI群に属する薬剤となる
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本剤はNaチャネル遮断作用以外の作用や特徴によりさらにIa群、Ib群、Ic群に分けられる(薬剤の中には複数の作用をもつものもある)
- Ia群は活動電位がおさまるまでの時間を延長する
- Ib群は活動電位がおさまるまでの時間を短縮する
- Ic群は活動電位がおさまるまでの時間を変えない
通常であれば、一定のリズムで脈を打っている心臓が、何らかの原因で脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れたりする状況をまとめて不整脈という。
脈(脈拍)は心臓の拍動による振動が末梢血管に伝わったものであり、心臓の拍動は心筋細胞の活動によっておこる。心筋細胞は電気信号(活動電位)によって活動し、この電気信号に乱れが生じることで不整脈がおこる。電気信号にはNa+(ナトリウムイオン)、Ca2+(カルシウムイオン)、K+(カリウムイオン)といった+(プラス)の電荷をもった金属イオンが関わり、通常は心筋細胞内にNa+が流入し細胞の活動が始まり、K+が細胞外へ放出されて活動がおさまる。しかし不整脈では何らかの原因によって普段はおこらないところで心筋細胞の活動がおこることがある。K+の細胞外への放出による活動電位がおさまりきる前に再びNa+の電気信号により心筋細胞の活動が始まってしまうような頻脈性の不整脈では、Na+の細胞内への流入を阻害することで活動電位の立ち上がりの速度を抑えることが改善方法の一つとなる。
本剤は心筋細胞におけるNa+の通り道であるNaチャネルを阻害(遮断)し、Na+の細胞内への流入を抑えることで活動電位の立ち上がり速度を抑えて脈を整える作用をあらわす。抗不整脈薬はその作用などにより、I群からIV群に分類されるが、本剤はI群に属する薬剤となる。
本剤はNaチャネル遮断作用以外の作用や特徴などによりさらに、Ia群、Ib群、Ic群に分類される。
- Ia群はK+の細胞外への放出による活動電位がおさまるまでの時間を延長させる作用ももつ。
- Ib群はK+の細胞外への放出による活動電位がおさまるまでの時間を短縮させる作用ももつ。
- Ic群はK+の細胞外への放出による活動電位がおさまるまでの時間を変えない特徴をもつ。
ただし、薬剤の中には(例として)Ia群とIb群の両方の特徴をもつなど複数の作用をもつものもある。
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消化器症状
- 吐き気、食欲不振などがあらわれる場合がある
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精神神経系症状
- めまい・ふらつき、頭痛などがあらわれる場合がある
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催不整脈作用による心不全など
- 稀に既存の不整脈を悪化させたり、新たな不整脈を誘発させる場合がある
- 動くと息苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急に体重が増える、めまい、動悸、胸が痛むなどの症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
- Ia群に分類される
- カプセル剤、R錠(徐放性製剤)、注射剤(リスモダンP静注)があり用途などによって選択される
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その他の特徴的な作用などに関して
- 神経調節性失神(神経起因性失神)などで使用する場合もある
- 抗コリン作用(アセチルコリンを阻害する作用)をもち、口渇、排尿困難などがおこる可能性があるため注意する
- Ia群に分類される
- 錠剤、注射剤があり用途などによって選択される
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その他の特徴的な作用などに関して
- 抗コリン作用(アセチルコリンを阻害する作用)をもち口渇、排尿困難などに注意が必要だが、本剤の抗コリン作用は比較的弱いとされる
- Ib群に分類されるが、Ib群とIa群の両方の特性があるとされる
- カプセル剤、注射剤があり用途などによって選択される
- 過量投与などにより、精神神経系症状(めまい、ふらつきなど)があらわれやすくなるため注意する
- Ib群に分類される
- カプセル剤、注射剤があり用途などによって選択される
- 不整脈治療の他、神経障害性疼痛の緩和目的などで使用する場合もある
- Ic群に分類される
- カプセル剤、注射剤があり用途などによって選択される
- 発作性心房細動などで頓用で使用する場合もある
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