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アデノシンA2A受容体拮抗薬 解説
あでのしんえーつーえーじゅようたいきっこうやく
アデノシンA2A受容体拮抗薬の解説
薬の解説
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脳内の運動機能を低下させる物質の作用を抑え、パーキンソン病における運動機能低下などを改善する薬
- パーキンソン病では脳内のドパミン量が不足している
- 脳内の一部の神経細胞ではドパミンが不足するとアデノシンという物質が優位になり運動機能の低下などがおこる
- 本剤は脳内のアデノシンA2A受容体を阻害し、アデノシンの作用を抑える
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本剤は主にパーキンソン病におけるwearing off(ウェアリング・オフ)現象を改善する
- レボドパ製剤の長期使用により効き目が悪くなり「一旦レボドパ製剤を服用しても次の服用時間の前にパーキンソン病の症状が出てしまう」ことを「wearing off現象」という
パーキンソン病では脳内のドパミンが不足することで手足の震えや筋肉のこわばりなどがおこる。
脳内の大脳基底核というところにある神経細胞ではドパミンが不足すると脳内にあるアデノシンという物質が優位になる。この神経細胞ではアデノシンが優位になるとGABAという体の動きなどを抑える物質が分泌される。過剰に放出されたGABAにより運動機能の低下などの障害があらわれる。
本剤は脳内のアデノシンA2A受容体を阻害しアデノシンの働きを抑え、運動機能の低下を引き起こすGABAの分泌を抑えることで、運動機能などの改善作用をあらわす。
パーキンソン病の治療では脳内に移行した後でドパミンへ変換されるレボドパ製剤が中心となるが、レボドパ製剤による治療が長期になり、ドパミンを蓄えたり再利用する能力が低下するとwearing-off(ウェアリング)現象と呼ばれる効果持続時間の短縮による症状の日内変動がみられる場合がある。本剤は主にwearing-off現象が認められるパーキンソン病治療に用いられる。
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突発的傾眠、睡眠
- 頻度は稀であるが前兆のない突発性の眠気などが現れる場合がある
- 服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作は控える
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精神神経系症状
- 幻覚、妄想、不安、不随意運動などの症状が現れる場合がある
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消化器症状
- 便秘、吐き気、胃炎、消化不良などの症状が現れる場合がある
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うつの悪化、抑うつ
- 頻度は稀である
- 不眠、物事に興味がなくなった、気分が落ち込んだなどの症状がみられる場合がある
- 上記のような症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師へ連絡する
- 食事による薬の吸収などへの影響は少ないとされ、通常は食事を摂らない場合でも決められた時間に服用する
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併用に注意する薬剤や食品などに関して
- 本剤は主に肝臓の薬物代謝酵素によって代謝を受けるため、この代謝酵素などに影響を与える薬剤や食品などとの相互作用(飲み合わせ)に注意が必要
- 併用に注意する薬剤や食品などの例・一部の抗真菌薬(イトラコナゾールなど)、一部の抗菌薬(クラリスロマイシンなど)、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)含有食品、タバコ(喫煙)など
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