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カッコいい薬剤師

漫画

危険な“呪文”から患者を解き放て

 ある日突然、スーパーの棚からココアが姿を消したことがあった。世に言う、ココア売り切れ事件である。「ココアが健康にいい」と一言、お昼どきに電波を通じて世の中に伝えた人がいた。ことの発端は、ただそれだけだ。

 ブルーベリーの時もそうだった。日焼けしたあの人の「目にいい」の一言で、ブルーベリーブームが沸き起こった。「健康にいい」「身体にいい」は、今や人々をスーパーやドラッグストアへと走らせる“呪文”と化している。

 街の健康博士たる薬局薬剤師としては、常にテレビや新聞・雑誌をチェックして、どのような“呪文”が発せられているかを知っておきたいものである。患者が「○○がいいと聞いたのだが……」と尋ねてきた時に、うまく答えられないと、「あの人は何も知らない」という具合に、「素人」のレッテルを貼られかねないからだ。

 患者の言う健康法を、頭ごなしに否定するのも考えものだ。「あの人は全くわかっていない」と、これまた素人扱いされてしまう。“呪文”というものは、理屈が通じにくい、なかなかやっかいなものなのである。

 もちろん中には、とんでもない“呪文”もある。そんな時は、かかりつけ薬局の威信にかけて、患者を“呪文”から解き放たねばならない。

 たとえ「鰯の頭」であろうとも、身体に害がなく治療の妨げにならない健康法ならば、優しく見守ってあげる度量の広さを持ち、危険な健康法に手を染めそうな患者がいたら、毅然としてそれをやめさせる——。豊富な知識を基に、こうした対応を自信を持って行える薬剤師はカッコいいと思う。

(婆)