カッコいい薬剤師

“七色の日本語”で薬局を患者のふるさとに
少子高齢化の時代である。加えて人材の流動化が進んでいる。
例えば、愛知県丹羽郡扶桑町に就職した青森県西津軽郡木造町出身の一人息子が、年老いた親を勤務地に呼び寄せるというような事例が、日本各地で発生している。つまり、あなたの薬局には全国から、ほかの土地で長く暮らした“異邦人”としてのお年寄りがやって来る。
異郷の高齢者は、ただでさえ心細い。しかも病気である。薬局へと向かう足取りは自然と重く、心は晴れない。
それを救うのが、あなただ。もし患者が、あまり口を開けずにボソッと「おばんです」とつぶやきながら薬局に入ってきたならば、あなたは「東北の北の端の出身だ」とピンと気づき、津軽弁で「どんだば」と言いながらニコッと微笑み迎え入れる。
その瞬間から患者にとっては、この薬局がふるさとだ。子供のころの想い出が瞬時に頭の中を駆け巡り、顔には生気が蘇り、そしてあなたに対しては、親へのような信頼感が生まれてくる。
もちろん、患者が四国の北の方の出身だとしたら「どしたんな」、九州の西の方だとしたら「どげんしたとな」というように、すぐに対応できるようにするための勉強は常に欠かせない。
そして患者が足繁くあなたの薬局を訪れるようになったら、仕上げとして、壁に貼ってある「GET THE ANSWERS」のポスターには、「ゲットジアンサーズ」というわかりにくい片仮名の代わりに、その患者の出身地の言葉で振り仮名を振っておこう。例えば、「なんでもちいでけせ」(仙台弁の場合)というように。
(爺)
- 第36回 カッコいい薬剤師にライバル出現! その正体は?
- 第35回 カッコいい薬剤師にカッコいい仲間
- 第34回 調剤技術に名をつけて後世に伝えよう
- 第33回 かぎ分けられる?薬のにおい
- 第32回 カッコいい薬剤師、武道に礼節を学ぶ
- 第31回 印鑑に「こだわり」を持とう
- 第30回 薬包紙アーティストと呼ばれたい
- 第29回 敬語は正しくお使いなさい
- 第28回 薬剤師のための漢字の蘊蓄?
- 第27回 患者を虜にする「いい声」を身につける
- 第26回 温泉でカッコよく英気を養おう
- 第25回 カッコいい薬剤師も「歯が命」
- 第24回 患者の心に残る「決めゼリフ」を考えよう
- 第23回 「カッコいい」の精神を後世に伝えよう
- 第22回 カッコいい薬剤師は朝をこう過ごす
- 第21回 クリスマスケーキ作りは薬剤師の独壇場?
- 第20回 調剤の待ち時間を正確にはじき出せ
- 第19回 絵心のある薬剤師はカッコいい
- 第18回 こだわりの「マイスパーテル」を持とう
- 第17回 「カッコいい薬剤師になる!」と叫ぼう
- 第16回 「正しいモノ言い」で好感度アップ!
- 第15回 薬局外からの視線にも気を配ろう
- 第14回 「知りません」と言い切る勇気を持とう
- 第13回 雨にも負けず、風にも負けない体力作りを
- 第12回 患者向けの名刺をさりげなく手渡そう
- 第11回 電話パフォーマンスで患者の信頼をゲット
- 第10回 危険な“呪文”から患者を解き放て
- 第09回 外国人サポーターに流暢な英語で服薬指導
- 第08回 きれいな手書き文字で温かみを演出
- 第07回 “七色の日本語”で薬局を患者のふるさとに
- 第06回 “七つ道具”を収納できる「オリジナル白衣」を
- 第05回 「0円」の温かいスマイル
- 第04回 患者の信頼感を左右する“背中の表情”
- 第03回 “町の化学者”を演出する眼鏡
- 第02回 ブラインドタッチで患者指導
- 第01回 ガラス越しのパフォーマンス