カッコいい薬剤師

カッコいい薬剤師にライバル出現! その正体は?
カッコいい薬剤師にライバルが出現した。それは『カッコいい患者』である。容姿端麗、筋骨隆々、高学歴・高収入(推測)、それでいて限りなく優しいときている。待合室で立っているご老人がいれば席を譲り、泣いている子供がいれば手遊びであやし、妊婦さんには胎教を考えた音楽まで奏でるのである。最近よく薬局に現れる『カッコいい患者』のファンは多く、薬局の女性職員たちもすっかり彼の虜だ。
いよいよ『カッコいい患者』に薬を渡す時が来た。「こんにちは!」光る真っ白い歯を見せながらいきなり握手を求めてきた。握手である。どうやら帰国子女の噂は本当らしい。浅黒く、鋼を束ねたような筋肉質な右腕を真っ直ぐこちらに向けている(本当にこれでどこか疾病があるのだろうか?)。
しかし、カッコいい薬剤師であるならば、ここで決してひるんではいけない、しっかり握手を交わして、服薬指導に入らなければならない。Get The Answersの精神を持ってである。
いよいよ竜虎相打つ瞬間。薬局全体に緊張感が広がった——その時である。「実は私も薬剤師です」。何と『カッコいい患者』は薬剤師だったのだ。患者になったカッコいい薬剤師がほかの患者さんに慈しみの心で接し、薬局スタッフにまで気を使っていたのだ。
立場が変わっても、状況が変わっても、カッコいい薬剤師は『カッコいい』のだ。だから自分が患者になった時には『カッコいい患者』になる。薬剤師の最終目標、それはつまり『カッコいい人間』なのかもしれない。
(鬼)
「カッコいい薬剤師」は今回が最終回です。長い間、ご愛読ありがとうございました。
- 第36回 カッコいい薬剤師にライバル出現! その正体は?
- 第35回 カッコいい薬剤師にカッコいい仲間
- 第34回 調剤技術に名をつけて後世に伝えよう
- 第33回 かぎ分けられる?薬のにおい
- 第32回 カッコいい薬剤師、武道に礼節を学ぶ
- 第31回 印鑑に「こだわり」を持とう
- 第30回 薬包紙アーティストと呼ばれたい
- 第29回 敬語は正しくお使いなさい
- 第28回 薬剤師のための漢字の蘊蓄?
- 第27回 患者を虜にする「いい声」を身につける
- 第26回 温泉でカッコよく英気を養おう
- 第25回 カッコいい薬剤師も「歯が命」
- 第24回 患者の心に残る「決めゼリフ」を考えよう
- 第23回 「カッコいい」の精神を後世に伝えよう
- 第22回 カッコいい薬剤師は朝をこう過ごす
- 第21回 クリスマスケーキ作りは薬剤師の独壇場?
- 第20回 調剤の待ち時間を正確にはじき出せ
- 第19回 絵心のある薬剤師はカッコいい
- 第18回 こだわりの「マイスパーテル」を持とう
- 第17回 「カッコいい薬剤師になる!」と叫ぼう
- 第16回 「正しいモノ言い」で好感度アップ!
- 第15回 薬局外からの視線にも気を配ろう
- 第14回 「知りません」と言い切る勇気を持とう
- 第13回 雨にも負けず、風にも負けない体力作りを
- 第12回 患者向けの名刺をさりげなく手渡そう
- 第11回 電話パフォーマンスで患者の信頼をゲット
- 第10回 危険な“呪文”から患者を解き放て
- 第09回 外国人サポーターに流暢な英語で服薬指導
- 第08回 きれいな手書き文字で温かみを演出
- 第07回 “七色の日本語”で薬局を患者のふるさとに
- 第06回 “七つ道具”を収納できる「オリジナル白衣」を
- 第05回 「0円」の温かいスマイル
- 第04回 患者の信頼感を左右する“背中の表情”
- 第03回 “町の化学者”を演出する眼鏡
- 第02回 ブラインドタッチで患者指導
- 第01回 ガラス越しのパフォーマンス