薬剤師道一直線

「礼に始まり、礼に終わる」。剣道や柔道、茶道、華道などで「礼」が重視されることは、ご存じの方も多いだろう。薬剤師も、日ごろの業務で「礼に始まり、礼に終わる」を実践してみるのはいかがであろうか。
礼とは、「人と交わるに当たり、まずその人格を尊重し、これに敬意を表すること」であり、「相手に不快な思いをさせない」という最低限の心遣いである。礼には、立礼や座礼のように動作・作法としての形の意味もあるが、大切なのは、その心である。
患者さんの前に立ったとき、相手の人格を尊重し、敬意を表し、不快な思いをさせないことを意識しているだろうか。もちろん、いついかなる時もである。自分が忙しかろうが、体調が悪かろうが。しかも、「礼に始まり、礼に終わる」のだから、患者さんが薬局に一たび足を踏み入れた瞬間から、薬局を出るまで、最初から最後まで、徹頭徹尾、この「礼」の意識を持ち続ける必要がある。
その際、患者さんとの「間合い」にも気を配るようにしたい。ここでいう間合いとは、物理的な距離のことではなく、患者さんとの心の距離のことである。いくら礼を尽くし、敬意を持って接したとしても、間合いが近過ぎると患者さんは警戒するし、遠過ぎればせっかくの敬意も伝わらない。
遠くもなく、近くもなく。無条件に「この人と話したい」「この人に相談したい」と患者さんに思わせるような絶妙な間合い。それが実現できれば、患者さんは、薬剤師から聞かれるまでもなく、自分の体のことや病気のこと、悩みを打ち明けてくれるようになるだろう。そして、その相談に薬剤師は礼を尽くして応える。適切な間合いさえ保てていれば、それもさほど難しくはないはずだ。
今年こそ、絶妙な「間合い」をものにしよう。うまくいかなくても諦めることなく、「まあいいヤ」なんて言わずに。
(結城 真吾)
- 薬剤師道一直線に進むべし
- 薬剤師の原点に立ち返るべし
- 「礼」と「間合い」を習得すべし
- 最後まで、気を抜くべからず
- 薬剤師、美学を持つべし
- 薬剤師たるもの体を鍛えるべし
- 顔に責任を持つべし
- 離れて物事を見るべし
- 「理想の上司」となるべく精進せよ
- 身近な人にまず認められよ
- ラストサムライの心意気を見せよ
- 肩書を捨て実力で勝負せよ
- 薬剤師たる覚悟を新たにせよ(後)
- 薬剤師たる覚悟を新たにせよ(前)
- 薬剤師に休息の時はなし
- 患者とともに歩め
- 分け隔てなく患者に接せよ
- いつも患者のそばに立つべし
- 非常時を想定し鍛錬せよ
- 10年後の自分を思い描け
- 最高責任者として行動せよ
- 環境問題を考え行動せよ
- プロに言い訳は禁物
- たかが挨拶と侮ることなかれ
- 日々の仕事こそ荒行と心得よ
- 初心忘るべからず
- 一日の計は掃除にあり
- 弟子を取ってこそ一人前
- 薬は奇しきものと心得よ
- 名を名乗る