薬剤師道一直線

「武士は食わねど高楊枝」という言葉がある。武士としての強がり、やせ我慢を表現した言葉である。かの孔子も「渇しても盗泉の水は飲まず」という言葉を残した。孔子は、旅先で盗泉という名の泉に立ち寄った際、のどは乾いていたが、その名を嫌って口にしなかったという。どちらも「絶対にこれだけはやらない」「人が何と言おうとこれだけは守る」といった強い意志を持ったこだわり、人生哲学、いわゆる「美学」を表している。
では、あなたにとって、薬剤師としての美学とは、いったいなんだろうか。薬剤師として、これだけは絶対にやらない。逆に、これだけは絶対に守る──。
例えば、どんなに忙しかろうと、情報提供をするために来局した、MR さんやMS さんに「患者さんのための情報提供をありがとうございました」とお礼を言う。人が何と言おうと、講習会や研修会の会場に入るときは「よろしくお願いいたします」と一礼をし、出るときは「ありがとうございました」と一礼をする。ほかの人から見たら「バカじゃないか」と思われることでも、自分が決めたことは何があってもやる。やり通す。守り通す。
では、「これだけは絶対にやらないこと」は? 孔子が盗泉の水を絶対に飲まなかったように、薬剤師たるもの、「患者さんにとって不利益となる処方は絶対に調剤しない」というのはどうだろう。たとえ、医師と意見が違ったとしても、絶対に譲らない。それはもう薬剤師の美学というより、覚悟とも言える。切腹覚悟の武士であり、まさに「武士道」、いや「薬剤師道」である。
そのせいで、医師の怒りをかい、処方せん発行が停止したとしても、処方せん枚数が減り、収入が減ったとしても……。自分の美学を貫くことに何ら迷いはない。まさに「武士は食わねど高楊枝」を決め込めばいいのだから。
(結城 真吾)
- 薬剤師道一直線に進むべし
- 薬剤師の原点に立ち返るべし
- 「礼」と「間合い」を習得すべし
- 最後まで、気を抜くべからず
- 薬剤師、美学を持つべし
- 薬剤師たるもの体を鍛えるべし
- 顔に責任を持つべし
- 離れて物事を見るべし
- 「理想の上司」となるべく精進せよ
- 身近な人にまず認められよ
- ラストサムライの心意気を見せよ
- 肩書を捨て実力で勝負せよ
- 薬剤師たる覚悟を新たにせよ(後)
- 薬剤師たる覚悟を新たにせよ(前)
- 薬剤師に休息の時はなし
- 患者とともに歩め
- 分け隔てなく患者に接せよ
- いつも患者のそばに立つべし
- 非常時を想定し鍛錬せよ
- 10年後の自分を思い描け
- 最高責任者として行動せよ
- 環境問題を考え行動せよ
- プロに言い訳は禁物
- たかが挨拶と侮ることなかれ
- 日々の仕事こそ荒行と心得よ
- 初心忘るべからず
- 一日の計は掃除にあり
- 弟子を取ってこそ一人前
- 薬は奇しきものと心得よ
- 名を名乗る